クラウドファンディング実行のための税金と確定申告、丸わかり徹底解説!

ノウハウ

クラウドファンディングすると税金はかかるのか。クラウドファンディングで資金を調達したら、確定申告はどうすればいいのか。
クラウドファンディングに関する税金と確定申告についての疑問を種類別、実行者の視点を中心に解説します。
クラウドファンディングを実行したいけれど、税金が気になっている人、必見です!

クラウドファンディングで資金調達したら税金はかかる

クラウドファンディングで資金調達したら、税金はかかります。
ただし、クラウドファンディングの種類によって税金がかかるタイミングが異なります。

購入型、または寄付型クラウドファンディングの場合、調達した資金の総額や年間の所得総額が一定額を越えたときが、税金のかかるタイミングです。税金の種別では、所得税または贈与税の対象となります。詳しくは、種類別の項目で解説します。

投資型クラウドファンディングでは資金を調達するだけでは、税金の対象とはなりません。資金を調達し、その資金を元に事業を行った際に利益が出たら、課税対象となります。

【種類別】クラウドファンディング実行者の税金一覧

クラウドファンディングで実行者が調達した資金にかかる税金は、クラウドファンディングの種類によって異なります。ここでは、購入型、寄付型、投資型というクラウドファンディングの種類別で、資金調達した場合に発生する税金の種類についてわかりやすく簡単に解説していきます。

購入型クラウドファンディングの支援金にかかる税金

購入型の場合、プロジェクト実行者が資金を調達した時点で課税の対象です。商品やサービスを販売したことと同じなので、所得扱いになります。

プロジェクト実行者が事業者であれば、事業所得としてその年の所得に計上し申告しましょう。個人事業主の場合は所得税の、法人の場合には所得税と法人税の課税対象です。

プロジェクト実行者が給与所得者や主婦などの場合、雑所得扱いになります。雑所得は総合課税の対象なので、他の所得と合算されて所得税が課税されます。

寄付型クラウドファンディングの支援金にかかる税金

プロジェクト実行者が寄付を受けた資金は課税対象となります。寄付を誰から寄付を受けたかによって、税金の種類が変わります。


個人から個人=贈与税
法人から個人=個人所得税&住民税
個人から法人、法人から法人=法人税

寄付型の場合、支援者だけでなくプロジェクト実行者の立場も課税される税の種類に関係します。

投資型クラウドファンディングの支援金にかかる税金

投資型の場合、購入型と違い資金調達した時点では課税されません。調達した資金を元に、事業を運営し、事業利益が出た時点で課税の対象となります。

【重要】クラウドファンディングを実行した場合の節税対策

クラウドファンディングで調達した資金も節税が可能です。具体的には3つの対策が出来ます。

  • プロジェクト実行で発生した経費を計上する
  • 青色申告特別控除を活用する
  • 基礎控除を活用する

クラウドファンディングを実行した時に行うべき3つの節税対策について、詳しく解説します。

特に、個人事業主でクラウドファンディングを実行する人は、要チェックです!

クラウドファンディングの費用は経費として計上する

原則、プロジェクトに関連する費用はすべて経費として計上できます。経費として計上できる費用は、以下があります。

  • クラウドファンディングサイトの手数料(支払手数料)
  • リターン提供のための費用(売上原価)
  • リターン品の発送料(運送費)
  • インターネット回線利用料(通信費)など


クラウドファンディングをするしないに関係なく、事業に関連した費用は全て確定申告で計上できる経費です。

ただし、事業とは全く関係のない費用まで計上すると税務署から指摘が入り、ペナルティを受ける恐れもあります。申告は適切に行いましょう。

青色申告での特別控除を活用する

購入型での資金調達などにかかる所得税は、青色申告特別控除を活用すると、大幅な節税になります。

青色申告特別控除は最大65万円まで。

ただし、対象となるのは青色申告承認申請書を提出している事業者に限られます。

クラウドファンディングで資金調達した後に開業する場合は、開業届と同時に、青色申告承認申請書を必ず提出しましょう。

基礎控除を活用する

既に、白色申告で確定申告をしている場合でも、基礎控除を活用することはできます。

基礎控除=合計所得金額2,400万円以下のすべての申告者に無条件で適用

所得が2,400万円以下の場合、48万円の基礎控除が所得から差し引かれます。

課税所得の計算式は、以下の通りです。

課税所得=所得(収入-経費)-所得控除

青色申告者でなくても、クラウドファンディングで調達した資金を所得として申告すれば、所得の総額から48万円差し引かれた金額が課税対象となります。

寄付型の場合、贈与なら年間総額110万円以下で非課税となります。

クラウドファンディングと確定申告の必要性

クラウドファンディングでのお金の動きは、確定申告する必要があるのでしょうか。プロジェクト実行者と支援者それぞれの場合で解説します。

プロジェクトを実行した場合は確定申告が必要

クラウドファンディングを実行したときは、確定申告が必要です。
購入型クラウドファンディングの場合には、一般的な売買取引と同じように会計処理します。
所得税については、プロジェクト実行者が事業者か給与所得者かで非課税になる範囲が異なるので、要確認です。

個人事業主は総所得額48万円以下で非課税
給与所得者はクラウドファンディングでの所得が20万円以下の場合、申告が不要

支援した場合は寄付金控除希望なら必要

支援者の場合、基本として確定申告不要です。ただし、寄付金控除を受ける場合は、確定申告が必要です。確定申告には、寄付金の金額を示す領収書や受領証などの書類が必要になります。

投資型クラウドファンディングでの分配金の所得税も、確定申告すると還付される可能性があります。年間所得を合算して控除した後の金額より源泉徴収された金額のほうが多い場合には、確定申告で払い過ぎた分が還付金として戻ってきます。

クラウドファンディングで発生する税金と確定申告の注意点

クラウドファンディングで調達した資金にかかる税金や、それに伴う確定申告は複雑です。制度や法律を正しく理解して、ミスや漏れなどなく税金の計算や納付を行いましょう。クラウドファンディングでの税金に関する注意点を3つ解説します。

課税事業者は消費税も発生する

プロジェクト実行者が消費税の課税事業者の場合、購入型クラウドファンディングで資金調達をした金額も消費税の課税対象になります。
資金調達時点では非課税事業者であっても、クラウドファンディングで調達した資金と売上の合計が1,000万円を超えた場合、2年後から消費税の課税事業者と扱われます。

リターンで先行販売を行う場合は差額に注意する

購入型クラウドファンディングでリターンとして提供する試作品と一般発売の商品との販売価格に差がある場合には注意が必要です。
クラウドファンディングでのリターン価格が一般販売より高い場合、差額を寄付の扱いとして、受贈益として処理する必要があります。
クラウドファンディングでは特別割引価格販売し、一般販売価格の方が高い場合は該当しません。

申告に使用した経費書類は7年間保管する

確定申告をしたら、経費書類は申告後7年間手元に保存しておきましょう。

クラウドファンディングでの税金と確定申告に関するよくある質問Q&A

クラウドファンディングでの税金に関するよくある質問について、Q&A方式で解説します。

100万円資金調達したら税金はいくらかかるか

クラウドファンディングで100万円を調達した場合、税金は資金の性質によって異なります。

事業所得
個人事業主が購入型クラウドファンディングで資金調達した場合適用されます。100万円から必要経費を引いた額が課税対象。青色申告特別控除や基礎控除を活用できれば、税負担を軽減することも可能です。

雑収得
個人や給与所得者が購入型で資金調達した場合、雑所得として扱います。100万円から必要経費を引いた額が課税の対象です。基礎控除は48万円が適用可能。必要経費が52万円以上なら税金がかかりません。

贈与税
寄付型クラウドファンディングに適用。年間110万円未満までの基礎控除があります。100万円の調達では贈与税は発生しません。

非課税対象の金額内で資金調達することはできるか

クラウドファンディングで節税しながら資金調達したい場合には、非課税の範囲内で資金を集めることもできます。
税金にはそれぞれ控除額があり、控除額までの資金調達であれば税金はかかりません。確定申告も原則として不必要です。

  • 個人事業主は総所得額48万円以下で非課税
  • 贈与の場合は年間総額110万円未満で非課税
  • 会社員は20万円以下で非課税(年収2,000万円以下で年末調整をしている場合

支援者ができる節税対策はあるか

資金提供者には税金が発生しませんが、事業経費として計上可能な場合もあります。
寄付金控除の対象となるのは、個人が一定の団体に対して寄付を行った場合です。
個人宛てに寄付金を行った場合は、贈与と見なされるため、寄付金控除は受けられません。
投資型クラウドファンディングで出資した際の分配金の所得税は、確定申告すると還付される可能性があります。

クラウドファンディングで発生する税金は正しく理解して対策する

クラウドファンディングで発生する税金は、正しく理解をして必要な対策をしましょう。

クラウドファンディングを実行する場合、実行するプロジェクトの種類で税金の対象額がかわります。

購入型=所得税&消費税
寄付型=贈与税

どんな目的でクラウドファンディングでの資金調達をするかで、知っておくべき税金と確定申告の項目は違います。

細かい疑問は、税務署や税理士に相談して、適正な納税ができるように準備しておくことが重要です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。