「クラウドファンディングの支援金って税金かかるの?」
「確定申告って面倒くさそう…何をどうすればいいの?」
クラウドファンディングを実行した個人事業主の方の中には、確定申告に対して不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
特に、クラウドファンディングで得た支援金が「どのように税金の対象になるのか」「どんな経費を計上できるのか」など、分かりにくいポイントがたくさんあります。
クラウドファンディング実行者が確定申告でやるべきことをわかりやすく5つのステップで解説します。
クラウドファンディングの支援金は確定申告が必要?
クラウドファンディングで集めた支援金は、 確定申告が必要な場合と不要な場合があります。
確定申告が必要な場合
クラウドファンディングを実行して、確定申告が必要なのは購入型、つまり物品やサービスなどのリターンを提供して支援を集めるやり方でクラウドファンディングを実行した場合です。
その他にも、以下の場合でも支援金を確定申告する必要があります。
- 収益を上げる目的で資金調達した場合
- 目標金額以上の支援金を受け取った場合
新製品のテストマーケティングや、有料イベント開催、店舗の改装などもクラウドファンディングを事業の一部として行った場合に当てはまります。
また、目標額よりも多くの支援金が集まった場合は、余剰金をどのように使ったかという扱いも要注意です。活動報告で、最終の支出明細を公表しておきましょう。
確定申告が不要な場合
- 寄付型クラウドファンディングでの実行
(リターンなしの純粋な寄付) - 税制上の優遇を受ける特定の団体が実施した場合
自分のクラウドファンディングがどのタイプに当てはまるのかを確認することが大切です!
【保存版】 クラウドファンディングの確定申告でやるべき5ステップ
クラウドファンディングの確定申告は、 以下の5ステップで進めるとスムーズです。
ステップ① 収入を整理する
まず、一番最初にするべきことは、「いくらお金を受け取ったか」という収入の整理です。
クラウドファンディングで得た支援金の総額と、プラットフォームから支援金の振込がされた入金日を確認しましょう。
ここで確認すべきポイントは、以下の点です。
- 支援金の振込履歴
(プラットフォームの管理画面・銀行口座をチェック) - 実行したプロジェクトの種類
(購入型 or 寄付型)
「購入型」の場合は、基本的に課税対象となります。「寄付型」の場合、申告する年の1月から12月の間に受け取った支援金が110万円未満なら非課税となります。
寄付型クラウドファンディングの詳細は、以下の記事よりご確認ください。

ステップ② 必要経費をリストアップ
収入の整理ができたら、次は、経費のリストアップです。クラウドファンディングを実行する際にかかった費用は、必要経費になります。
確定申告では、支援金から必要経費を差し引くことで 税金を抑える ことができます。
⭐︎クラウドファンディングで発生する主な経費⭐︎
経費の種類 | 具体例 | 勘定科目の例 |
クラウドファンディング手数料 | プラットフォーム運営会社への手数料 | 支払手数料 |
リターンの制作費 | 商品の仕入れ、パッケージ費用 | 仕入高・販売促進費 |
リターンの発送費 | 配送料、梱包資材費 | 荷造運賃 |
宣伝費 | SNS広告、チラシ印刷 | 広告宣伝費 |
デザイン・制作費 | ロゴデザイン、動画制作 | 外注費 |
会場費 | イベント開催費用 | 会場費・地代家賃 |
人件費 | スタッフへの報酬 | 外注費・給与賃金 |
クラウドファンディングを実行するなら、プロジェクトに関する支払いの領収書やレシートをしっかり保管するのがポイントです。
ステップ③ 税区分を決める(事業所得 or 雑所得)
3つ目のステップでは、支援金に対する税金の区分を決めましょう。クラウドファンディングの収益は、 「事業所得」または「雑所得」 のどちらかに分類されます。
事業所得に該当するケース
「事業所得」とは、継続的に収益を上げることを目的とした活動から得られる所得(収入)のことです。
クラウドファンディングで得た支援金が以下の条件に当てはまる場合、事業所得として申告できます。
①クラウドファンディング後も継続して商品やサービスを提供する予定がある
会社員や主婦が商品やサービスを提供する目的でプロジェクトを実行した場合が、これに当てはまります。
クラウドファンディングをきっかけとして、商品を繰り返し生産したり、サービスを提供する予定がある場合は、新規事業の立ち上げになります。
- プロジェクトを通じて立ち上げた事業やサービスを継続して運営する
- クラウドファンディングで制作した商品を、今後も販売する予定がある
1度限りではなく、追加生産や本生産を行う予定がある場合、あるいはサービスの継続利用を求められ運営を続ける場合、事業所得になります。
②すでに個人事業主・フリーランスとして事業を行っている
クラウドファンディングで一番多いパターンは、すでに事業を行っている場合です。
- デザイナーが新しいブランドを立ち上げるための資金調達をした
- カフェ経営者が店舗拡大のためにクラウドファンディングを活用した
この場合は、通常の確定申告と同じで、クラウドファンディングも事業所得として計上します。
③「営利性・継続性・反復性」がある活動として判断される場合
①と重複しますが、以下に当てはまる場合は、事業者として判断されます。
- 売上を出すことを前提にしている(利益が発生=営利目的)
- 1回だけでなく、今後も同じような活動を続ける予定がある
(継続性と反復性) - クラウドファンディング以外にも、収益を得る仕組みがある(ECサイト、オンライン講座などを実施→継続した営利活動)
少額でも活動で得た収入を事業所得として申告すると、以下のメリットがあります。
- 青色申告を選択すれば、最大65万円の控除が受けられる(帳簿の要件あり)
- 赤字になった場合、翌年以降の黒字と相殺できる(損益通算)
- 経費を幅広く計上できるため、節税しやすい
雑所得に該当するケース
「雑所得」とは、事業所得や給与所得などの主要な所得に該当しない、一時的な単発収入に対する所得です。
ちなみに、似たような用語となる「雑収入」は本業に関連するが、どの勘定項目にも該当しない収入を営業外収入として区分するときに使います。
以下のようなケースでは、雑所得として申告することになります。
①クラウドファンディング後に活動を続ける予定がない
趣味で制作した作品の販売資金としてクラウドファンディングを利用したが、今後は販売しない場合は、1度きりの臨時収入になりますので雑所得になります。
②副業・個人プロジェクトとして資金調達をした
給料所得がある会社員がクラウドファンディングを行なった場合、副業として扱われます。その場合は、以下の両方が該当すれば、雑所得となります。
- 会社員が副業でクラウドファンディングを利用した(事業届を出していない)
- 趣味の延長でクラウドファンディングを実施し、特に事業化の予定がない
この場合も、1回限りで今後事業として行わないことが条件となります。副業として、今後も継続する場合は、当てはまりません。
③単発の資金調達目的である
事業者でも、今後同じ活動を行わない場合には、雑所得として扱うことができます。
- 誕生日などのイベント開催資金としてクラウドファンディングを利用した(非営利目的での実行)
- 友人と制作した記念小冊子を無料配布する出版費用を集めた
雑所得として申告する場合の注意点があります。
- 青色申告の控除(最大65万円)は受けられない
- 赤字になっても、他の所得と損益通算ができない
(その年の黒字としか相殺できない) - 事業所得よりも、経費の範囲が狭くなる可能性がある
事業所得と雑所得、どちらにすべきか迷ったら?
基本的な判断基準は、 「今回限りの活動か、それとも今後も続けるのか?」 です。
- 今後も同じ活動を続ける予定なら → 事業所得として申告
- 今回限りの活動で継続する予定がないなら → 雑所得として申告
また、 クラウドファンディングの支援金が「売上」なのか「寄付」なのかも重要なポイントです。
リターンを提供する購入型クラウドファンディングは 売上として計上するため、基本的に「事業所得」または「雑所得」に分類されます。
将来的にも同じ活動を続けるつもりなら「事業所得」、今回限りの活動なら「雑所得」になる可能性が高いと覚えておきましょう。迷った場合は、税理士に相談すると確実です。
ステップ④ 帳簿をつける
クラウドファンディングの収入・経費を帳簿につけ、しっかり記録しておくと、確定申告が楽になります。帳簿管理には、会計ソフトを活用すると、とても便利です。
おすすめの会計ソフトは、以下の3つです。
会計ソフトを使うと、経費の入力や振り分けが楽にでき、確定申告の負担がグッと減ります!
ステップ⑤ 申告書を作成して提出
会計ソフトに、収入と支出を入力したら、申告書が完成します。申告書を印刷して、自分で提出する 「紙提出」と、オンライン上で全てが完了する「e-Tax」があります。
e-Taxを利用すると、以下のメリットがあります。
- 24時間いつでも申告できる
- 控除額が増える(青色申告特別控除 最大65万円)
- 税務署に行かなくてもOK
申告期限は毎年3月15日です。土日にかかる場合は、その次の月曜日までになります。
もし、期限までに作成が間に合わなかった場合は、できるだけ早く税務署へ直接申請書を提出しましょう。
まとめ 購入型クラウドファンディングの確定申告は経費を整理しておけば大丈夫
クラウドファンディングで得た支援金は、確定申告が必要なケースと不要なケースがあります。
特に 「購入型クラウドファンディング」 は基本的に課税対象になるため、しっかりと収入・経費を整理しておくことが大切です。
確定申告をスムーズに進めるためには、プロジェクト終了後も活動を続けるのか、1回きりのプロジェクトなのかを最初から明確にしておきましょう。
支払ったレシートや領収書は、すべて保管して整理しておくことが大切です。
クラウドファンディング実行者にとって、 確定申告は避けて通れない重要な手続きです。
「難しそう…」と思うかもしれませんが、 今回紹介したステップを一つずつ進めていけば大丈夫です。
不安な方は、税理士に相談したり、会計ソフト運用会社のサポートサービスを活用しましょう。
やるべきことがわかれば、クラウドファンディングの確定申告もスムーズに進むはずです。ぜひ、この記事を参考にしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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