近年、スポンサーや補助金に加えて注目されているのが「クラウドファンディング」です。
地域社会とのつながりを活かし、選手への共感を資金に変える資金調達手段として、クラウドファンディングはスポーツ分野でも成功事例が増えています。
今回は、スポーツ関連プロジェクトの成功例や実行するときの重要ポイント、よくある質問への Q&A を詳しく解説していきます。
【基本】クラウドファンディングとは
クラウドファンディングという言葉は聞いた事があっても、どういう仕組みなのか。初めて知る人にもわかりやすく解説します。
お金と人を同時に集める仕組み
クラウドファンディングとは、「お金と人(ファン)を同時に集められる仕組み」です。
スポーツ関連事業を運営する中で、資金の確保は常に大きな課題です。施設整備や大会運営、選手の遠征費など、予算に悩む場面は多いのではないでしょうか。
また、せっかく施設や運営環境が調っていても、見に来てくれるファンがいないと盛り上がりに欠け、選手のモチベーションに影響するだけでなく、事業運営が継続できません。
クラウドファンディングは、スポーツに関するあらゆる事業や活動の資金調達とファン獲得手段として、幅広く活用されています。
クラウドファンディングは共感がベースである
なぜ、クラウドファンディングで資金調達だけでなく、ファンも獲得できるのか? それは、クラウドファンディングは、共感をベースとした信用取引だからです。
クラウドファンディングに成功するには、共感を多く集めることが絶対条件です。
「それいいね!」「ぜひ応援したい!」
プロジェクトを見た一人ひとりからの共感が集まったものが支援金です。
共感を集めるには、プロジェクトへの理解だけでなく、信頼が必要です。信頼を得るには、プロジェクトの目的や計画などがわかりやすく、実行者がどんな人や団体なのか見えることが重要になります。
「このプロジェクトにお金を払う価値がある」と信頼するから、支援するという行動を取る。
つまり、クラウドファンディングは、プロジェクトへの信頼と共感をベースにしてお金を集める信用取引なのです。
【成功事例】スポーツ分野でのクラウドファンディング活用例
スポーツ分野では、どのようなクラウドファンディングが成功しているのでしょうか。
個人から団体、サービスまで成功事例を紹介します。
18歳のサッカースペインリーグ挑戦プロジェクト
高校卒業したばかりの18歳が挑戦したスペインでのサッカー選手プロ契約を目指すプロジェクトです。

地元福岡県で小学校からサッカーを続け、大阪府のサッカー有名高校に入学。
サッカー選手になる夢を叶えるために、スペインでプロに挑戦したい。そのための渡航資金をクラウドファンディングで集めることに。
U18などの経歴もない、ほぼ無名の状態からのスタートでしたが、目標180万円に対して、223万円もの支援が集まりました。
寄付型クラウドファンディングに特化したプラットフォームである ForGOOD で成功しているということも、スポーツ分野のプロジェクトとしては異例です。
成功した理由として、リターンに「Instagram でのスポンサー権」や「LINEオープンチャット参加」などが用意されている点から、SNS に慣れている同世代やクラファン慣れしている30代以上の経営者などからの支援が集まりやすかったと考えられます。
地域と共創するJ1チーム30周年プロジェクト
こちらは、スポーツ専門のクラウドファンディングプラットフォーム Spportunity(スポチュニティ)で実行されたプロスポーツクラブの事例です。

福岡県に本拠地をおく、アビスパ福岡クラブが2025年に創立30周年を迎えるにあたり、2024年に博多を盛り上げる地域振興プロジェクトを実行。
チームカラーである「紺色」のチームフラッグを博多駅周辺の街角に飾り、街全体も活気づけたいという想いに共感した全国のサポーターから支援が集まりました。
Spportunity 内では、同様の地域連携企画が名古屋や大分でも行われ、それぞれ目標達成しています。その中でも、支援額が1000万円越えという結果を叩き出しているのは、アビスパ福岡のみ。
一番支援されたのは、街頭に掲載するフラッグのレプリカが入手できる11,000円のリターン。このリターンだけでなんと311人に支援されています。
「街を紺に染めたい」という目的への強い共感からチームとプロジェクトを応援したいというファンが集まったと言うことが、638人817件の支援実績からもわかる事例です。
ゴルフ練習場改装プロジェクト
こちらは、スバキリ商店がプロデュースしたシュミレーションゴルフバーの改装プロジェクトです。

実行者は、麹町ゴルフ倶楽部。初心者向けながらも、プロアマ問わず、ゴルフを楽しみ、ゴルフ人口を増やしたいと言う運営姿勢が多くのゴルフ愛好家から信頼されています。
会員同士の交流やゴルフ業界の活性化の場として、施設リニューアル資金調達のためにクラウドファンディングを実行。多くの会員様からの信頼が、463万円もの支援として集まりました。
学生から経営者まで幅広い会員層があることから、超大口の100万円スポンサー権が2口も支援された点が、支援総額を底上げしています。5000円から1万円台のリターンもしっかりと支援されているので、普段、施設を愛用している常連客からの信頼が伺える結果だと言えます。
クラウドファンディング実行で押さえるべき5つの成功ポイント
クラウドファンディングを活用して、資金調達を成功させるためには、抑えるべき重要ポイントが5つあります。
1. 共感を生むストーリー設計
プロジェクトの「背景」や「想い」を丁寧に伝えることで、支援者との感情的なつながりが生まれます。数値ではなく、物語で伝えることが鍵です。
2. 魅力的なリターンの構成
リターンは支援者にとっての“楽しみ”です。ユニフォームへの名前掲載、限定練習見学権、地域コラボ商品など、体験や特別感のある内容を意識しましょう。
3. 実行可能な目標金額とスケジュール設計
目標金額は「現実的に達成できる金額」であることが重要です。プロジェクトの規模に合わせて現実的に設定し、準備期間を含めて3ヶ月以上のスケジュールで計画を立てましょう。
4. SNS とリアルを組み合わせたPR戦略
SNSでの発信だけでなく、地域イベント、協賛企業との連携なども含めた立体的なPR戦略が成功の鍵になります。
クラブの公式アカウントや選手の個人アカウントもフル活用をし、関係者一丸となって PR をすることで、プロジェクトへの信用度を高め、話題性を高めると言う相乗効果も期待できるでしょう。
地元メディアへの取材依頼も、話題を提供し、幅広い層へプロジェクトの実行を伝える手段となるので、積極的に情報共有し、ファンからの拡散協力も期待できるような導線設計が理想的です。
5. チーム内での役割分担と運用体制
クラウドファンディングは情報発信・進行管理・支援者対応など業務が多岐に渡ります。役割分担を明確にし、無理のない体制づくりが必要です。
クラウドファンディングは、支援者とのコミュニケーションが支援を伸ばす重要な要素となります。各担当内で起きていることは、支援者も含めてリアルタイムで情報共有し、透明性の高いプロジェクト運営を行いましょう。
クラウドファンディング挑戦 よくある不安と対策3つ
クラウドファンディングに挑戦したいけれど、一歩踏み出せない3つの懸念材料について、対策を紹介します。
懸念その1「支援が集まらなかったらどうしよう?」
クラウドファンディングを実行する上で、最大の不安であり懸念材料は「支援が集まらない」ことです。
実際、クラウドファンディング全体での成功率は、3割といわれます。3件に1件しか、目標とする資金を調達していないことも事実です。
目標達成には、共感を多く集めること。そのためには、準備段階からの告知活動が欠かせません。
段階的な情報公開で“興味関心を温める”ことが大切です。
懸念その2「リターンの準備や発送が大変そう」
クラウドファンディングの挑戦をためらう懸念材料として、準備面の作業量や手間の多さがあります。
クラウドファンディングは、準備9割です。
そのため、個人でクラウドファンディングに挑戦するにしても、協力してくれる家族や友人とチームを組むことも重要です。
リターンに関しては、業務委託やデジタルリターン(お礼動画・壁紙など)も活用できます。作業効率も含めたリターン設計を行いましょう。
協力してくれそうな人を集めることができる「巻き込み力」も、クラウドファンディング成功に必要なスキルの一つです。
個人でも団体でも、いろんな人を巻き込んで、プロジェクトへの協力体制を作りながら準備を進めていくことを心がけてください。
懸念その3「クラブとしての信用性を問われそう」
すでに活動しているクラブやチームは、「信用性」を数値化されると言う懸念が起きるでしょう。
言い換えれば、クラウドファンディングはこれまでの活動への評価が支援という形で現れる機会です。支援者からの反応をきちんと受け止めることも、チームやクラブへの信用性を高めることにつながります。
クラウドファンディングを実行するにあたり、直近の収支報告や活動レポートを見直し、プロジェクトに関する活動状況を定期的に公開しましょう。運営側の透明性が信頼となり、結果としてファンと運営側とのつながりを強化する場合がほとんどです。
クラウドファンディングは、ファンとのつながりをより深く強くする試練石だと言えます。不安がらずに、活用することをお勧めします。
よく検索される4つの質問とその回答(FAQ)
スポーツ分野のクラウドファンディング実行に関して、インターネット上でよく検索されている4つの質問について、Q&A 形式で解説します。
Q. スポーツ団体でもクラウドファンディングは成功しますか?
A. はい、地域クラブや個人アスリートでも多くの成功例があります。保護者や学校側の同意があれば、小学生でもクラウドファンディングを実行することができます。
クラウドファンディングは、与信や実績がなくても、誰もが挑戦できる手段です。誰もが挑戦できるからこそ、強い共感を集めることが成功する絶対条件でもあります。
スポーツ分野で成功する場合は、特にファンや地域とのつながりを活かすことが重要です。
クラウドファンディングの成功には、友人知人関係者からの支援が欠かせません。身近にいる人をできるだけ多く巻き込み、応援してもらうことが成功への近道なのです。
Q. どんなリターンが効果的ですか?
A. クラウドファンディング限定グッズや体験型リターン(練習見学、記念品など)が人気です。特別感が強いリターンやわかりやすいリターンを用意しましょう。
リターンの数も選ぶ上で重要なポイントです。6つ前後が、選びやすいので、様子を見て追加するつもりで10個くらい候補を用意すrことをお勧めします。
支援金額に応じた段階的リターン設計も効果的です。松竹梅の法則と呼ばれる3段階でランク分けすると、支援者が選びやすくなります。
リターン設計に関する詳しい解説は、以下の記事をご参考ください。

Q. スポーツ関連はどのプラットフォームを選べば良いですか?
A.スポーツ分野では「スポチュニティ」などの専門プラットフォームもあります。

知名度や不特定多数への拡散力で言えば「CAMPFIRE」は、会員数が国内最大という点からも、初心者が挑戦しやすく幅広いジャンルに適しています。

学生支援や社会貢献要素が強い場合、READYFOR や ForGOOD でもスポーツ関連プロジェクトを成功させやすいでしょう。


プラットフォームの特性とプロジェクトの目的に応じて比較検討が重要です。
国内5大プラットフォームの比較をした記事と主要プラットフォーム33社の手数料比較の記事も以下よりご確認ください。


Q. クラファンの準備はどれくらい前から始めればいいですか?
A. 少なくとも2〜3ヶ月前から準備を始めるのが理想的なスケジュールです。
クラウドファンディングは、どこまできちんと準備に時間が割けるかが結果に比例します。プロジェクト全体の計画・プロジェクトページ制作・広報計画に時間が必要だからです。
90日でクラウドファンディングを実行する準備過程の詳しいまとめ記事もございます。準備スケジュールを立てる参考にぜひご活用ください。

まとめ スポーツ分野こそクラウドファンディングを“戦略的”に使おう
スポーツ分野こそ、クラウドファンディングを積極的かつ戦略的に使うべき時代です。
クラウドファンディングは、単なる資金調達ツールではなく、ファンとの接点を強化し、ブランド力を高めるマーケティング施策でもあります。
スポンサー契約無くして、選手活動やチーム運営が成り立たないのがスポーツ業界です。それを、企業だけでなくファン一人一人とのコミュニケーションを取りながら集めることができるのも、クラウドファンディングが持つ魅力です。
スポーツ団体・チームの未来を支える選択肢のひとつとして、ぜひクラウドファンディングを戦略的に導入してください。
クラウドファンディングにお悩みならスバキリ商店へ
スバキリ商店は、累計1300件以上という国内屈指のプロデュース件数をもつクラウドファンディングのプロ集団です。
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