従来、ゲーム機開発は莫大な資金と技術力を持つ大手メーカーだけが挑戦できる領域でした。
しかし、クラウドファンディングの登場により、独自のビジョンを持った開発者が「第三の選択肢」となるゲーム機を市場に投入する道が開かれています。
この記事では、次世代ゲーム機開発に強い関心を持つゲームファンや開発者に向け、クラウドファンディングによるゲーム機開発の実践的なアプローチを解説します。
クラウドファンディングがゲーム開発に活用される背景
近年、ゲーム業界では大きな転換期を迎えています。ソニーの PlayStation 5(プレイステーション5 以下 PS5 と表記)や、2025年に発売予定とされる任天堂のNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)の後継機種、Nintendo Switch 2(以下 Switch2 と表記)いった次世代ゲーム機への期待が高まる中、革新的なゲームハードウェア開発の新たな可能性が模索されています。
こうした状況下で注目されているのが、クラウドファンディングという資金調達手法です。
PS5 や Switch 2といった大手メーカーの次世代機に期待しつつも、より特化した機能や独自の魅力を求めるコアゲーマーにとって、クラウドファンディングで実現する新たなゲームプラットフォームは大きな可能性を秘めています。
ゲームファンから見たクラウドファンディングが持つ魅力と相性
クラウドファンディングが支援されるには、応援したくなる要素があるかどうかです。ゲームとクラウドファンディングは、その面でもとても相性が良いと言えます。
ゲームファンが多くのプロジェクトを支援する本当の理由とゲームと相性が良いプラットフォームについて、解説していきましょう。
クラウドファンディングの仕組みと最大の魅力
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を調達する方法です。
ゲーム機開発においては主に「購入型」が採用され、支援者に対して開発中のゲーム機やその限定版、あるいは関連グッズなどをリターンとして提供します。
次世代ゲーム機ファンにとって、クラウドファンディングの最大の魅力は「開発プロセスに参加できる」点にあります。
PS5 やSwitch 2の開発は企業秘密として進められますが、クラウドファンディングによるゲーム機開発では、支援者は開発の初期段階から関わり、自分の声が実際の製品に反映される可能性があります。
特に技術志向の強いコアゲーマーにとって、間接的とはいえゲーム開発にリアタイ参加できる点は、クラウドファンディングを支援する上で非常に魅力的です。
ゲームファンがクラウドファンディングを支援する本当の理由
多くのゲーム関連プロジェクトが成立し、ゲームファンがクラウドファンディングを支援する背景には、主に4つの理由があります。
- 技術的革新への期待: 既存製品にはない革新的機能へのチャレンジを期待する気持ち
- ニッチ市場への期待: 大手が手がけないジャンルや機能の実装を望む気持ち
- コミュニティへの帰属意識: 独自ハードウェアの開発者コミュニティに所属する満足感がある
- 先行者優位性の高い見返りを期待: 限定版や早期アクセスなど、他のプレイヤーに先駆けて新しい体験ができる特典を手に入れられる
これらの理由は、裏返せば開発側にとっても、メリットとなる部分が重なる場合もあります。
つまり、ゲーム開発に関するクラウドファンディングは、支援するゲームファンにも開発するエンジニアにとっても、win-win な要素がかなり強いのと言えるでしょう。
ゲームと相性の良い主要プラットフォーム 3選
ゲーム関連のプロジェクトは、国内でも海外でも多く実行されています。
クラウドファンディングの実行には、プラットフォーム選びが重要な要素です。ゲーム開発の場合、ゲーム関連プロジェクトに適したプラットフォームを選ぶことが重要です。
主要プラットフォームの中で、ゲーム関連プロジェクトに強いプラットフォームは以下の3つです。
- Kickstarter:海外ゲーマーへのリーチが強く、Ouya など革新的ゲームハードウェアの成功事例が多い
- INDIEGOGO: 柔軟な資金調達方式が魅力で、目標額に達しなくても資金を受け取れる「フレキシブルファンディング」が選択可能。
- Kibidango:ゲーム関連やガジェット系のプロジェクトに強く、独自 EC サイトでの販路も確保できる。 TSUTAYAグループの運営する GREENFUNDING との提携掲載も可能。
その他、国内最大のプラットフォームであるCAMPFIRE は、幅広い層へのアプローチが可能。Makuake もデジタル系ガジェットに強いプラットフォームのため、ゲームプロジェクトに適しています。
海外向けには Kickstarter や INDIEGOGO を使い、国内向けには、Kibidango やCAMPFIRE、Makuake を利用するという戦略もありでしょう。
次世代ゲーム機開発でクラウドファンディングを活用する3つのメリット
ゲーム開発にクラウドファンディングを活用するメリットは3つあります。
それは、ゲーマー主体の開発、先進技術へのチャレンジ、ニッチジャンルへの特化という点です。詳しく解説していきましょう。
①ゲーマーコミュニティ主導の機能開発が可能
ゲーム開発でクラウドファンディングを活用すべき一番のメリットは、ハード面でもソフト面でもゲーマー主体での開発プロジェクトを実行できること。
クラウドファンディングを実行する最大のメリットは、支援者からの直接的なフィードバックを開発に反映できる点です。支援者は、プロジェクトに参加をしているという実感から、将来のコアファン&ヘビーユーザーに育つ可能性が高い存在です。
これまでの PSP5 や Switch 2での開発では、知的財産権の情報漏洩という観点から新製品開発は正式発表までトップシークレット扱いでした。
しかし、クラウドファンディングを活用することで、大企業では実現困難な「ユーザー主導の開発プロセス」を構築できます。
クラウドファンディングによる支援者との共同開発で、以下のようなフィードバックを反映できると考えられます。
- 定期的な支援者向けアンケートによる機能の優先順位付け
- プロトタイプの早期テストと改善サイクルの確立
- 支援者要望の多いジャンルでのゲームソフト開発が本体と同時並行で可能
- ユーザーコミュニティからのアイデアを直接製品に反映するシステム
こうしたプロセスにより、大手メーカーでは見落とされがちな細部へのこだわりを実現できます。
②先進技術の実験的導入が可能
クラウドファンディングをゲーム開発に活用するメリットには、新技術実装への実験的導入がしやすくなる点も挙げられます。
大手メーカーは幅広いユーザー層を想定するため、革新的ではあっても実験的な技術の採用には慎重になりがちです。
一方、クラウドファンディングによるゲーム機開発では、ニッチであっても先進的な技術を取り入れることができます。
例えば以下のような技術のテストマーケティングも可能です。
- 特殊な入力デバイス(触覚フィードバック、動作認識など)
- 拡張現実(AR)や仮想現実(VR)に特化した機能
- モジュラー設計による自由なハードウェアカスタマイズ
これらの新技術は、大手メーカーでは採用を躊躇する可能性がある機能ですが、より高機能なプレイ環境を次世代機に期待するコアゲーマーにとっては非常に魅力的です。
クラウドファンディング支援者限定の少数受注生産制で、これまでにない機能を搭載した次世代機の開発も夢ではありません。
③ニッチジャンルに特化した開発が可能
クラウドファンディングを活用すれば、市場規模の制約から大手メーカーが積極的に対応しないニッチなジャンルに特化したゲーム機の開発も可能になります。
ライフスタイルやネット環境、年齢によって、ゲームの楽しみ方や優先的に求める機能もさまざまです。
- レトロゲーム愛好家向けの高品質エミュレーション機能
- 格闘系ジャンルに最適化されたコントローラー
- インディーゲーム開発者を優先的にサポートする開発環境
このようなニッチ市場向けの機能は、少数派だが熱心なコアゲーマーの強い支持を得ることができます。
クラウドファンディングは、ニッチジャンルのプロジェクトにこそ活用するメリットが大きいのです。
ゲーム機開発クラウドファンディング成功事例 3選&ゲームソフト事例
ゲーム機開発を目的としてクラウドファンディングの成功事例を3つ紹介します。ハードがあっても、ソフトが無ければゲームはプレイできませんので、過去の名作シリーズを復活させたゲームソフト事例も併せて紹介します。
「夢を、超えた」ゲーム機 X38000 の復活プロジェクト第2弾
2025年ゲーム業界的大ニュースのひとつ、X38000 Z2プロジェクトの3億円達成!プロジェクトの紹介です。

1987年に発売された X38000。「夢を、超えた」というキャッチコピーが表現するように、ゲーム少年の夢を叶えてさらにその上をいくゲーム体験を提供。当時では先進的なワークステーションとして、多くのゲーマーがプレイしました。
その初号機の魂を受け継ぎながら、最新技術を融合させたこのプロジェクト。約3,300万円の支援を目指した結果、その10倍以上となる3億4,400万円以上の支援を5,482人のファンから集めています。
オリジナルマシンの持つ特徴的な垂直2段構造のデザインを踏襲しつつ、現代のゲームやアプリが動作する仕様。ノスタルジーと実用性を両立させた点が多くのファンから評価されたと考えられます。
X38000 の復活劇は、すでに2年前から始まっています。第1弾の驚異的な伸びもレジェンド級です。

前回のプロジェクトでは、目標金額は3300万円が設定されていたが,開始3日後には,目標額の5倍以上となる約1億6730万円を集め、最終的には6,627人のファンから3億5400万円を超える支援を達成する結果となりました。
プロジェクト実行者である、株式会社瑞起のプロフィールには、こんな理念が掲げられています。
今まで創り上げてきた日本特有のホビーPC文化を継承させるべく、株式会社瑞起はその過程を皆様と共有しながら、さらなる文化の継承と発展を目指します。
瑞起が実行し達成した2つのプロジェクトは、コアなファン層からの熱い支持を背景に、日本発のレトロハードウェア復活事例として、クラウドファンディングの新たな可能性を示しています。
次世代Windowsハンドヘルド AYANEO 3 プロジェクト

AYANEO 3 プロジェクトは、2025年1月に INDIEGOGO で開始されたクラウドファンディングプロジェクトです。モジュラー式コントローラーを世界で初めて採用したWindowsハンドヘルド機として注目を集めています。
目標金額100万円を開始数時間で達成し、2025年3月3日時点で目標の50倍以上となる5,068万円を調達済み。プロジェクト期間は、残り23日ありますので、まだまだこの支援の伸びは続くでしょう。
早期支援者向けに限定カラーモデル(ホワイト/ブラック)と専用ケースを提供。Magic Module 全6種セットが付く 64GB 4TB モデル総額2,099ドル(日本円で319,291円)の早期購入14%offプランが最も多くの支援者に選択されています。ゲーマー層のモジュラー設計への期待の高さを示しています。

こちらは、2024年に同じく INDIEGOGO で実行されたプロジェクトです。
AYANEO Pocket DMG は、任天堂のゲームボーイ(DMGシリーズ)をオマージュした縦型Androidゲーミングデバイス。レトロゲームから最新Androidタイトルまで最適化された表示が特徴です。最大16GB LPDDR5Xメモリ・1TB UFS 4.0ストレージを実現。6000mAhバッテリーで最大10時間の連続プレイが可能となっています。
デザイン面では、仮想右スティックとして機能するタッチパッドを採用し、美的統一性を保ちつつ操作性を向上。左側面には「MagicSwitch」ダイヤルを配置し、音量・明るさ・ファン速度を即時調整可能です。カラーバリエーションはアークティックブラック、ムーンホワイトに加え、限定版レトロモデルを用意。RGB照明付きボタンや水晶質感のAYAボタンなど、細部までこだわったデザインが特長です。
ゲーマー向けにアクティブ冷却システムを採用し、長時間プレイ時の熱対策を強化。ステレオスピーカーとマイクロSD拡張スロットを備え、エミュレーション性能の高さが評価される一方、タッチパッド操作には習熟が必要との指摘もあります。
AYANEO シリーズは、創業者Arthur Zhang(アーサー・チャン)氏自身熱烈なゲーム愛好家として知られており、学生時代にゲームコミュニティ運営などの経験があり「ゲーマー本位」の哲学を形成、ハードウェア設計にも反映されています。
その結果、レトロゲーミング文化と現代のモバイル技術を融合させたプレミアムハンドヘルドとして、コアなユーザー層を獲得しています。
Android搭載マイクロコンソール Ouya(ウーヤ)プロジェクト
2012年に実行されたAndroid搭載家庭用ゲーム機 Ouya のプロジェクトは、ゲーム業界に革命を起こしクラウドファンディングの可能性を世界に示した象徴的存在となりました。
創業者のジュリー・ウーマンが率いるチームは、「誰もがアクセスできる開かれたゲームプラットフォーム」というビジョンを掲げ、2012年7月10日にKickstarterで資金調達キャンペーンを開始。
このプロジェクトは、目標額95万ドル(約1億4,323 万円)をわずか8時間22分で達成し、24時間で約259万ドル(約3億9,047万円)を集めるという当時の Kickstarter 史上最速記録を樹立しました。最終的には6万3416人の支援者から約860万ドル(約12億9657万円)を調達。
当時、どれだけの快挙だったかは、Kickstarter 公式のブログから推し量れます。
99ドル(約15,000円)という低価格と、開発者にとっての参入障壁の低さを売りにした Ouyaは、当時のコンピューターゲームカテゴリで過去最高額を記録。
大手ゲーム機メーカーの牙城に挑む「アンダードッグ」として熱狂的な支持を集め、クラウドファンディングによるハードウェア開発の先駆けとなりました。
番外編:伝説のゲームソフト「 シェンムーIII」プロジェクト
ゲームソフトプロジェクトも1つ紹介します。
2015年6月16日、ソニーのE3カンファレンスで発表されたゲームソフト「シェンムーIII」のリリースは、ゲームファンを歓喜させる瞬間となりました。1999年に始まったセガの伝説的アドベンチャーゲーム「シェンムー」シリーズの続編は、14年もの間、多くのファンが待ち望んでいたもの。
クリエイターである 鈴木裕 氏からも同時に公式でクラウドファンディングを実施する報告が出され、リリース発表とプロジェクトが同日に開始されるという、まさに大サプライズな幕開けでした。
鈴木裕氏が運営する YS NET が実行した Kickstarter でのプロジェクトは開始からわずか9時間で目標額200万ドル(当時の円相場換算で 247,858,853円) を達成し、最終的には81,087人の支援者から717万ドル(日本円で884万円)以上を集めるという偉業を成し遂げました。
このプロジェクトは「最速で100万ドルを集めたビデオゲーム」としてギネス世界記録にも認定され、長年眠っていた人気ゲームを復活させることができるという、クラウドファンディングが持つコアファンへの訴求力を証明した事例となりました。
【実行ガイド】コアゲーマーを魅了する開発プロジェクト構築の5ステップ
次世代ゲーム機開発を目的とした、コアなゲームファンから喜ばれ支援を集めるためのクラウドファンディング実行に必要なプロジェクト構築の5ステップについて、それぞれのステップごとに詳しく解説します。
ステップ1. 次世代機への期待と現行機の不満点の徹底調査
成功するプロジェクトの第一歩は、ターゲットユーザーの深い理解から始まります。次世代ゲーム機にどんな希望や要望があり、現行機に対してどんな点に物足りなさを感じているかを徹底的に調査しましょう。
- ゲーム専門フォーラムやSNSでの議論分析
- PS、Switch ユーザーへのアンケート実施
- 競合ハードウェアのレビューや評価の体系的収集
こうした調査を基に、バッテリー持続時間、画面性能、入力デバイスの精度などの現行機が抱えている改善点と、次世代機への期待されているクラウドゲーミング統合、AR / VR 対応、モジュラー性など、それぞれの機能へ対する需要割合や熱望度の強さを明確にしましょう。
ユーザー目線でのゲーム機開発を目的とするには、ターゲット層が何を求め、どんなゲーム体験を楽しみたいかを明確にすることです。その具体性が、プロジェクトの明暗を分けると言っても過言ではありません。
ステップ2. 差別化ポイントを明確にしたプロトタイプ開発
ステップ1で市場調査の結果を基に、他社との差別化を明確にしたプロトタイプで独自の価値提案を具体化します。
- 3Dプリンティングによる筐体プロトタイプ制作
- 核となる独自機能の技術検証
- 実際のゲームプレイ体験を示す技術デモ映像の制作
特にコアゲーマーに訴求するには、単なるコンセプトではなく、実際に動作する技術デモが不可欠です。
「こんなことができるかもしれない」という漠然としたイメージではなく、「これが実際に動いている」ことを示すことで、技術的信頼性を獲得できます。
ステップ3. ゲームファンに刺さるプロジェクトページづくりとリターン設計
支援を獲得するには、ゲームファンに刺さるプロジェクト紹介ページと魅力的なリターン設計が重要です。
プロジェクトページには、ユーザー目線からの開発目的とストーリー、どんな体験を提供するか、詳細なスペック、デモ動画などを必ず掲載しましょう。
支援の動機付けにもなるリターンでは、機体の早期割引以外にもさまざまな、先行者特典を用意しましょう。
- 開発者向けキット : ハードウェア仕様書やSDKへの早期アクセス権
- 限定版ハードウェア : 支援者限定デザインや拡張機能付きモデル
- 限定コミュニティ:Discord など双方向コミュニケーションがとれる承認制コミュニティへの参加
- ネーミングライツ : UIの特定機能や画面にスポンサー名を記載
- ベータテスター権 : 開発版ハードウェアでのテスト参加権やオフ会の実施
- 開発会議の傍聴権:開発状況の定期報告や実装される機能などの詳しい裏話などを提供
特に、PS5 や Switch 2 に関心の高いゲーマーには、「これまでの次世代機では体験できない独自機能へのアクセス」を強調することが効果的です。
ステップ4. 戦略的プロモーション
クラウドファンディング実行には、戦略的なプロモーションが欠かせません。特に、スタートアップでのゲーム機開発では、コアゲーマーにリーチするために、適切なチャネルでのプロモーションが欠かせません。
- ゲーム専門メディアへの優先的なプロトタイプ貸出
- 影響力のあるゲーム実況者やレビュアーとのコラボレーション
- ゲーム開発者カンファレンスでの技術デモ展示
- Reddit などの海外ゲーム掲示板でのテクニカルなディスカッションを主催
PS5 や Switch 2への興味関心が高まるタイミングでの情報発信は、関連キーワードで検索するユーザーの関心を引き、プロジェクトへの注目を集める効果があります。
ステップ5. 透明性の高い開発プロセスとフィードバックシステム
支援獲得後も、活動報告などを更新し、支援者とのコミュニケーションを継続的に行う姿勢が成功の鍵です。
- 週1回または月ごとの開発進捗レポートを公開
- 技術的課題や解決策の詳細な共有
- 支援者限定のフィードバックシステムを設置
- プロトタイプ変更点の理由や変更による影響などの透明性高い説明を実施
ゲーム開発は、予定より難航するケースも多々あります。こうした透明性の高い開発プロセスにより、遅延や仕様変更があっても支援者の理解と継続的な支持を得ることができます。
コアゲーマーを支援者に変える効果的な告知活動のポイント
全てのゲーマーから支援を受けられるとは限りません。しかし、コアなゲームファンからの関心を集め続けるには、効果的な告知活動が欠かせません。
PS5 やSwitch ユーザーへのアプローチとして、独自性とサービス内容の提示の2つの点から効果的な告知ポイントを解説します。
独自の強みを明確に打ち出す
PSP5やSwitch 2 などの大手企業が提供する製品への強い期待を持つファンを引きつけるには、これらの次世代機では実現できない独自の強みを明確にすることが重要です。
- 携帯性とパワーのバランス : バッテリー駆動時間と処理性能のトレードオフへの独自アプローチ
- 拡張性 : ユーザー自身によるハードウェアアップグレードの容易さ
- オープン性 : 制限の少ないプラットフォームとしての自由度
- 互換性 : 既存プラットフォームとの連携や互換機能
これらの強みは、単なる「スペック」ではなく、「ゲームプレイ体験をどう向上させるか」というユーザー観点から訴求することが効果的です。
その結果、ネームバリューや長年の実績以上の魅力を伝え、プロジェクトへの興味関心を向けるきっかけを作れます。クラウドファンディング実行は、まず「知ってもらう」ことから始まるのです。
特殊機能やサービスの明確な提示
大手メーカーが提供できないニッチな機能やサービスを具体的に示すことで、競合との差別化を図ります。
- オープンな開発環境 : 承認プロセスなしでゲームを配信できるエコシステム
- ハードウェアハック : ユーザー自身によるハードウェア改造やカスタマイズの公式サポート
- コミュニティ主導の機能開発 : ユーザーからの機能リクエストを直接実装するプロセス
- 名作コンテンツへのアクセス : 過去の名作を公式にプレイできる互換性ソリューション
これらの機能は、単なる「売り」ではなく、実際に実現可能なものであることを具体的な技術デモやプロトタイプで示すことが重要です。
クラウドファンディング実行により、大手メーカーではチャレンジできない特殊機能やサービスを実現できる。その事実を理解してもらうように告知をすることも、プロジェクトを成功させる重要なポイントとなります。
継続的な対話を促進するコミュニティの運営
支援者との関係性づくりは、資金調達だけでなく長期的な事業成功の鍵です。
- 開発者と支援者が直接対話できる Discord サーバーの設立
- 開発チームメンバーによる定期的な質疑応答セッション
- プロトタイプの改良に関する投票システムの導入
- 支援者からのアイデアを評価・採用する透明なプロセスの確立
こうしたコミュニティ中心のアプローチにより、支援者はただの「出資者」ではなく「共同創造者」としての満足感を得ることができます。
ゲーム開発でのよくある質問(FAQ)
ゲーム開発に関連するよくある質問について、以下にまとめています。
Q1.「大手メーカーと競合せずに独自のポジションを確立するには?」
直接的な競合を避け、ニッチ市場やアンダーサーブドな領域に注目することが重要です。例えば、PCゲーミングと携帯ゲーム機の良さを併せ持つアプローチや、特定ジャンル(シミュレーション、格闘、レトロなど)に特化した機能を提供することで、大手との差別化が可能です。また、大手プラットフォームとの連携機能を持つ「コンパニオンデバイス」としてのポジショニングも有効です。
Q2.「PS/Switch ファンが本当に求める機能とは?」
コアゲーマーが次世代機に求める主な機能には以下があります。
- 長時間のバッテリー駆動と高性能の両立
- クラウドゲーミングとローカル処理のシームレスな統合
- 拡張現実(AR)や仮想現実(VR)との連携機能
- 過去プラットフォームとの互換性と資産の継承
- カスタマイズ性の高いユーザーインターフェース
これらのニーズを、大手とは異なるアプローチで満たすことが差別化のポイントとなります。特に、VR は、メタバースの普及が進むにつれて、ゲーム機でも実装を求められる要素です。ライトユーザーの動向なども意識して、より実用性の高くゲーマーを楽しませられる機能を SNS 上の話題などからも積極的に検討していきましょう。
Q3.「独自ハードの最大の差別化ポイントをどう見極める?」
自社の製品が持つ他社との差別化ポイントを見極めるには、以下のステップが効果的です。
1. 現行機への不満点の体系的な収集と分析
2. 次世代機でも解決されそうにない課題の特定
3. 自社の技術的強みと組み合わせた独自ソリューションの検討
4. 小規模なテストグループでのプロトタイプ評価
最終的には「この1点だけは他のプラットフォームでは体験できない」という明確な強みを1〜2つ設定することが重要になります。それが、プロジェクトのメインテーマとして、クラウドファンディング実行に関する全ての部分に関わってくるからです。
Q4.「ソフト開発者の支援をどう獲得する?」
最も効率的なのは、既存プラットフォーム向けに開発したゲームを少ない労力で移植できる環境を整えることです。ゲームハードウェアの成功には、魅力的なソフトウェアラインナップが不可欠です。
以下のような取り組みは、初期のソフトウェアエコシステム構築に効果的です。
- ソフト開発者向けの早期アクセスプログラムの確立
- 低コストまたは無料の開発キットの提供
- オープンでアクセスしやすい開発環境の構築
- インディーゲーム開発者向けの収益分配モデルの改善
- クロスプラットフォーム開発を容易にする互換性レイヤーの提供
ゲームハードウェアの成功には、魅力的なソフトウェアラインナップが不可欠です。
ハードの開発と同時に、ゲーム配信者や過去の名作を生みだしたクリエイターとのソフト開発も進行できれば、ソフト付きのリターンを用意出来たり、相乗効果によるファンの獲得にもつながる可能性があります。
まとめ ユーザー目線の次世代機はクラウドファンディングから生まれる
今後、ゲームファンが望むユーザー視点から開発される次世代機は、クラウドファンディングから生まれていきます。
2020年創業のAYANEOをはじめ、ゲーム機開発でのクラウドファンディングでの成功事例は億レベルの案件がいくつもあります。その背景には、ゲームファンが持つ「好きなものへの課金文化」と他のジャンルより深いコミュニティ性との親和性やゲーム開発に適した環境が、既に10年前から整いつつあるからです。
クラウドファンディングによるゲーム機開発は、単なる資金調達手段にとどまらず、PS5 や Switch 2といった業界大手メーカーが開発する次世代機とは異なる価値を提供する「第三の選択肢」を市場に生み出す可能性を秘めています。
特に、大手メーカーが対応しきれないニッチ市場や特化型機能、コミュニティ主導の開発プロセスという独自の価値提案は、ゲームをもっと深く楽しみたいというコアゲーマーの心を掴む重要な要素となります。
将来的には、クラウドファンディングで立ち上げたプロジェクトから、持続可能なハードウェアビジネスへと発展させることも視野に入れることが重要です。
例えばこんなことが実現できるでしょう。
- 基本ハードウェアは低価格で提供し、拡張モジュールで収益を確保するモデル
- サブスクリプション型のソフトウェアサービスとの組み合わせ
- コミュニティ主導の開発を続けながらも、企業としての安定性を確保する組織設計
独自ゲーム機の開発は、技術的にもビジネス的にも大きな挑戦です。
PS5 や Switch 2 のような次世代機への期待が高まる今こそ、新たな選択肢を市場に提供するチャンスと言えるでしょう。
クラウドファンディングというツールを活用し、コアゲーマーとともに新たなゲーム体験を創造する旅に出発し、より自由に、よりゲームを楽しめる人を増やしていってください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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