『対談!スバキリ一味』では、チャレンジする人を応援するアーティスト集団「スバキリ一味」の“中の人たち”50人超のなかから、毎回テーマに合わせた2人で対談を繰り広げます。
第10回は、最近スバキリ商店の事務所「商売農場」でスムージー販売を始めた “もなみん”と、ファッションでブランディングを支援するスタイリスト、櫻井絵美子さん。偶然にも、スバキリ一味ではお二人ともフォロー担当をされています。
今回のテーマは、「愛されキャラのリアル」。
お二人と面識のある方なら、「ああ! どっちもそういうキャラだよね〜」と納得されるのではないかと思いますが、当のご本人たちは、「ええ⁈ なんで私がこのテーマ?」「こんな対談成立するの?」と、困惑のご様子でした(笑)
さて、そんなお二人の口から、実際にどんな言葉が語られたのでしょうか? 早速対談をスタートします!
◆愛されキャラの自覚「ゼロ」な二人
聞き手:今回のテーマ、お二人とも依頼したときから「自分は愛されキャラじゃない」という反応でしたよね(笑) でも、お互いにお相手のことは「愛されキャラって言われるのがわかる〜」ともおっしゃっていて、見事に同じリアクションでした。
だって、もなみんは誰が見ても「愛されキャラそのもの」じゃないですか〜! 私一度、もなみんのインスタライブに参加したことがあって、そこでの雰囲気が、まさに「存在しているだけでいい! 愛されてる〜」ってかんじでした。
今日は寒かったね~とか、風邪が流行ってるから気をつけてね〜とか、お友だちに語りかけるような他愛もない言葉が胸に染みてくる感じ。アイドルやインフルエンサーと同じで、もなみんが話すから聞きにきてる! みんな、もなみんの「ファン」なんです。
いや、それは褒めすぎ……というか、言い過ぎですけどね(汗) でも、ライブはいろんな人と交流できてすごく楽しいです! 常連の方もいて、本当にありがたいなと思ってます。
元々将来カフェを持ちたくて、そのときのために「顔を売っておきたい」と思ってラインやインスタでライブを始めたんです。7〜8年前くらいかな。
そこから何となく続けてきたけど、まあ特に目的もないから、むしろそんなゆるい雰囲気が気軽で入りやすいんじゃないでしょうか〜。
もなみんの声とか話し方のトーンって聞きやすいし、自然体だし、みんな癒されるだろうな〜。だから「また参加しよう」って思うんだよね! きっと。
いやいや、私は櫻井さんこそ、「愛されキャラ」だと思ってましたよ〜! だって私、櫻井さんにまだ会ったこともない、詳しく話したことのないときから、「なんかこの人好きかも〜」って思ってましたもん。
普段からファッショナブルですごく素敵だし、スバキリ一味のフォローの仕事とかでも頼れる雰囲気でバリバリ進めていくのに、時々ちょっとお茶目なところが垣間見えて。すごく好きです〜!!
聞き手:相思相愛ですね(笑)やはりお互い、お相手のことだけ「愛されキャラ認定」しているという……。誰でも、自分のことはわからないもの、ということでしょうか。
◆学生時代はどんな性格だった?
聞き手:「愛されキャラ」についてはさておき、私から見ても、お二人はすごく「話しかけやすい」タイプだと思うんですね。自然と人を引き寄せる、というか。その辺りの性格や雰囲気は、学生時代からですか?
いや〜私は高校生くらいまで、めちゃくちゃ人見知りでした。友達とも仲良くなるまで時間がかかる方で、それまではあんまり喋れないんです。「怖い」なんて言われている時期もありましたね。
聞き手:えーーー⁉︎ 今のもなみんからは想像もできませんね。そこからどんなふうに、「明るくて話しやすい雰囲気」になっていったんですか?
一番大きく変わったのは、大学に入学したときですね。このままの性格では、私のキャンパスライフは終わる……と思って(笑)それで人見知りを克服しようと決めました。
幸い、自分の高校から同じ大学に行く人が誰もいなかったので、「あいつキャラ変えたな」とか思われる心配もなくて。あの頃は結構、一生懸命周りに話しかけてたかな。
聞き手:自分の意志で変えていくってすごい!
大学時代に、接客のアルバイトをした経験も大きかったですね。イベントスタッフとして、サッカースタジアムでチケットを売ったり、総合案内所でお客様の対応したり、コンサート会場の入口でチケットを切ったり。とにかくイベントに関するいろいろなことをしていました。
そのバイトが、とにかく楽しくって! イベント独特の“ワクワク感”の中で、困っている人の役に立って問題を解決できる、その上感謝までされるのがうれしいし、やりがいも感じていたんだと思います。
そこから人と関わることが全然苦じゃなくなりましたね! むしろ楽しさがわかったというか。
聞き手:人と関わるアルバイトが、大きなきっかけになったんですね。
櫻井さんは、学生時代の友達付き合いはどうでしたか?
中高生の頃は、勝手にクラスメイトの面白いところを探していましたね。
Aさん、Bさん、Cさんがいたら、Aさんは〇〇なところが面白いな、Bさんはまた違って▲▲な面がいいな、Cさんは××だな〜というかんじで、それぞれの長所を見つけて一人でうれしくなってニヤニヤしたり、最高だな〜って感動したりしてましたね(笑)
「人のいいところをコレクションする」のが大好きなんですよ! それは今も変わっていなくて、身近な人や仕事で関わる人のいい部分、素敵なところを見つけて、ほくそ笑んでいます(笑)人を褒めるのも、結構好きですね。
すごーい! 私は褒められるのも褒めるのも苦手だから、すごく尊敬します。
聞き手:すごい才能ですね! 人の悪いところに気づく人は多いかもしれないけれど、いいところを自然に見つけるなんて、素敵すぎます!
お二人とも、人との関わりを楽しんだり、プラス面を発見したりできる。そういった内面がにじみ出ているから、自然と周りに人が集まってくるんでしょうね〜。
◆愛されキャラの秘訣は「自然体」
聞き手:お二人はお仕事上でも人と接したり、やり取りしたりする機会が多いと思いますが、その際に心がけていることや意識していることはありますか?
う〜ん、「自然体」でいることは大切にしているかな。
私、中高時代は「いい子」を演じていた部分があって、無意識に、自分のダメな部分を見せないようにしていたと思うんですよね。当時はそのほうがラクだと思っていたんです。
だけど、大学時代にそういう「ちゃんとしたふりをしている自分」を徐々に手放していったら、そっちのほうが断然よかった。無駄に自分を隠さない方が、相手も打ち解けやすいんだってわかりました。
そこから、頑張って“いい自分”を見せるんじゃなくて、ちょっとおバカだと思われても自然体でいた方がいいや〜って思うようになって。だから、できるだけ無理せず、ありのままの自分で人と接するようにしていますね。
確かに、私も人と接する時は、まずは自分自身が無理しないようにしているかも。そうすると、相手にもプレッシャーがかからないから、お互いいい感じでコミュニケーションが取れるっていうのは、あるかもしれないですね。
無理していいところを見せようって頑張っても、結局あんまりうまくいかないってこれまでの経験でわかっちゃった。だから最近は、できるだけ早く自分のダメな部分を知ってもらうようにしています(笑)
あとは、対「人」だけでなく、自分自身と向き合う姿勢も変わってきたかなって思っていて。昔はもっと自分に厳しくて、嫌なことに遭遇して腹を立ててしまった自分を「なんて未熟者なんだ」と責めてしまう……というかんじでした。
だけど今は、「怒った自分」ともうまく折り合いをつけて、そんな心持ち、気分も味わうようにしています。「こうじゃなきゃダメ」と自分を型にはめなくなって、ありのままを受け入れるようにしたら、人にも何かを押し付けなくなったかな。
聞き手:自分をよく見せようとする部分や、自分自身を縛る気持ちが人付き合いを難しくしている。確かにそうですよね……。それを手放したら、自然とコミュニケーションがスムーズになる。お二人の「愛されキャラ」は、その延長線上にあるのかもしれません。
◆「寄り添う力」を磨いた意外な共通点
人と関わる、人の話を聞く、という意味では、私は大学時代にずっとコールセンターでアルバイトしていたんですよ。いわゆる「クレーム処理」的な仕事も多かったので、いろいろな場面で「人と接する」こと自体に慣れているっていう部分はあるかな。
私もイベントスタッフの仕事は、クレーム処理的な要素が強かったな〜。特にサッカースタジアムでは、試合に負けるとおっちゃんがちょっとしたことに怒って文句を言いにくる……なんてこともありました。
聞き手:ええっ! めちゃくちゃ怖い。どんなふうに対処したんですか?
まあ、最初はびっくりしますけど、慣れれば全然平気ですよ。話を聴いてあげると、意外と治まりますし。
そうそう、大体収束する方向とか、パターンがあるんですよね。話をしっかり聴いて、こちらが適切な言葉をかけていけば、だんだん落ち着いてきて、最後はちゃんと納得してくれる。
まあ、もちろんすごく理不尽に怒る人もいて、泣いた経験とかもありますけど、毎回そんな嫌な人ばかりってわけじゃない。それに、相手が怒ったり文句を言ったりしている背景がわかれば、「まあ確かに、そりゃ怒るよね」って思うこともあります。
もう何度も電話しているのにずーっとつながらなくて、何十分も待たされて……っていう状態なら、オペレーターにつながったときに文句の一つや二つ言いたくなる。そんな気持ちもわかりますよね。
そうそう! 私も最初は、試合に負けて怒ってくるなんてヒドい!って思っていましたけど、話を聞いていたら、そんなに好きなチームが負け続けていたらつらいよな、怒りたくもなるよな、って理解できたというか。
相手のことを少し考えて、どんな状態なのか、どんな気持ちなのかを想像すると、ちゃんと対応できるんですよね。まあもちろん、仕事だからやれたっていう部分はあったと思うけど、すごく苦痛でやりたくないという状態にはならなかったかな。
聞き手:仕事とはいえ、相手に寄り添って、想像力を働かせて共感するという行為は、誰でもできるわけではないと思います! お二人の「寄り添い力」「共感力」がとても高いことの表れですね。
◆フォロー担当でも発揮!「寄り添う力」
聞き手:意外な共通点が出てきたところで、お二人のもう一つの共通点、スバキリ一味での「フォロー担当」の仕事についてもお聞きします。
フォロー担当も人と関わるお仕事ですが、チャットなどのデジタルツールだけで人間関係を築くのは難しいのではないでしょうか?
そうですね、難しさはありますが、文字や画面上の情報からも、わかることが結構あるんですよね。
レスが早めなのか、のんびりタイプか、言葉遣いはきっちり派か、ふんわりしているのか。こうしたことで、ある程度クライアントさんがどんな雰囲気の人なのかわかります。それに合わせて対応するようにしていますね。
私も同じです! 絵文字を多く使う人ならこちらも使うし、ある程度ペースや雰囲気を合わせていますね。そうすると、やり取りがスムーズになります。
そうそう! あとは、同じ内容を伝えるにしても、その方のタイプによって文言やタイミングを変えることもあるかな。
例えば「SNSで告知をしましょう」という内容でも、どんどんやり方を教えてほしい! という方もいれば、こちらからの情報がプレッシャーに感じてつらくなってしまう方もいます。
せっかく勇気を出してクラウドファンディングに挑戦したんだから、最終的に「やってよかった」って思ってほしいじゃないですか。「無理にやらされている」と感じないように注意していますね。
クライアントさんが自分のペースで最後まで活動できて、「やってよかったです」「学びがありました」などと言ってくれると、すごく安心しますね。
聞き手:細やかな心づかい! フォローのお仕事でも、お二人が得意とする「人に寄り添って、支える」という部分がめちゃくちゃ発揮されているんですね。まさにお二人にぴったりな役割です。
◆愛されキャラは「鎧を脱いだ」先にある
聞き手:お二人の過去の経験や考え方などを紐解いていくと、その根底には「人を肯定的に受け入れる包容力」と「優しさ」があるんだな〜と実感しました。それが「愛されキャラ」と呼ばれる理由なのではないかと思います!
う〜ん、何かうまくまとめすぎな気もするけど(笑)
まあ、私ももなみんも、確かに似たような経験をしていた部分はありましたね。もなみんの話で「わかる〜!」と思ったことも多かったし。
そうそう、意外と共通点が多かったですよね!
聞き手:そして、お二人の話から、「自分を必要以上によく見せようとしない」ことが、人間関係を円滑にする上での大事なポイントなんだな、と感じました。
私の場合は、それに気づいたことがすごく大きかったです! 人見知り時代は、勉強できそうとか、運動できそうとか、勝手にイメージを作られてしまって。だけど実際はすごく運動音痴だし、マジで全然得意なものなんてないのに(笑)
最初そこからスタートすると、実際の自分を知られたらどんどん下がってしまうだけで、全然いいことがないんです。だったら最初から自分でハードルを下げて、「私はポンコツです」ってところをじゃんじゃん出していった方が絶対いいな、って。
うんうん、そうだよね! 私も全く同じだな〜。ガチガチに鎧を着込んで自分をよく見せたい!って思っていた時期もあるけど、最初にポンコツだってわかってもらった方がラクだと気づいたの。
最近はそれがもっと進んで(?)「私に期待しないで、あきらめて」っていうスタンスになってる。自分のダメな部分をわかってもらった上で、付き合ってもらえるのがベスト(笑)
まあもちろん、「よく見られたい」っていう気持ちはゼロにはならないけど、そこを少しだけでも手放すと、だんだん生きやすくなっていくんじゃないかなと思いますね。
聞き手:お二人ともすごく肩の力が抜けていて、見習いたいです。そして、そういう飾らないところが、“愛されキャラ”を体現しているんだと思います! 素敵なお話、ありがとうございました。
◆対談を終えて
この対談のテーマを見たとき、「愛されキャラ」という言葉は、もなみんと櫻井さんの雰囲気やお人柄にピタっとはまっていて、絶妙なチョイスだな〜と感じました。 そして、私もその「リアル」がどこにあるのか知りたい! と取材を楽しみにしていました。
とはいえ、対談当日はどんな展開になるんだろう、お二人のお話をうまく深掘りできるだろうか……と密かにドキドキしていたのも事実。
ですが、実際にお話をお聞きしてみると、私が引き出すまでもなく、お二人から優しい言葉が溢れ出して、「魅力の源泉」を覗かせてもらったような納得感がありました!
・必要以上に自分をよく見せようとしないこと
・(怖いけど)自分の心の鎧を脱ぐ勇気を持つこと
・どんな人にも怒ったり感情的になったりする「理由」があること。それに少しだけ想いを馳せてみること。
こうした「自分にも周りにも優しいまなざしを向けること」が、「愛されキャラ」のベースになっているんだなと実感しました。
そして、お二人が語ってくれた「心のあり方」は、人付き合いのハードルを下げ、生きることをちょっぴりラクにしてくれる要素が詰まっているとも思います。
私のような「隠れ人見知り」タイプの方はもちろん、そうでない方も、きっと今後のコミュニケーションの参考になるのではないかと思います。
イラスト おととごと。
取材・執筆 川崎ちづる