クラウドファンディングは、多くの人の共感から支援を集める資金調達手段です。ここ数年、さまざまな分野でプロジェクトが実行され、クラウドファンディングの認知度も上がっています。しかし、目標額の達成には、より多くの人から支援を集める必要があります。
成功するクラウドファンディングに欠かせない支援の集め方とは?共感され支援を集められる7つの鉄則について解説します。
スバキリ商店でプロデュースした過去最高人数の支援者を集めた成功事例も紹介します!
クラウドファンディングとは何か?
クラウドファンディングとは、特定のプロジェクトやアイデアに対して、共感を得ることで複数の人々から資金を集める手法です。
この手法は、インターネットを通じて広がり、多くの人々が少額ずつ出資することで、目標金額を達成することが可能になります。従来の融資や投資の形とは異なり、クラウドファンディングは個人や小規模な企業にとって、資金調達の新しい道を開くものとなっています。
クラウドファンディングの仕組み
クラウドファンディングは、実行者、支援者、プラットフォームの3つによって成り立つ仕組みです。
実行者は、プラットフォームに自分の実行するプロジェクトを掲載し、支援を募ります。支援者は、プラットフォームを経由してプロジェクトを支援し、支援する金額を支払います。プラットフォームは、支援者からの支援金を一時的に預かり、掲載料などを差し引いた金額を実行者へ支払います。
支援が成立したら、実行者は支援者へ御礼と支援に対する見返りとなるリターンを履行します。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングは、性質によって3つの種類に分けられます。
一般的なイメージでは、クラウドファンディング=購入型ですが、社会貢献目的では寄付型クラウドファンディング、投資や融資を目的とする投資型クラウドファンディングがあります。投資型クラウドファンディングは扱う金融商品の性質で4つに分類されます。
寄付型、投資型については、それぞれ別記事で詳しくまとめています。
プロジェクトを掲載するプラットフォームの役割と重要性
クラウドファンディングには、プラットフォームが重要な役割を果たしています。
実行者は、プラットフォームの運営するWEBサイト上で、プロジェクトページを掲載し、支援を募集します。
支援者は、プラットフォームのWEBサイトを経由して、プロジェクトページを閲覧し、支援を申し込みます。
プラットフォームがあることで、集まった支援金だけでなく支援者の個人情報なども一か所に取りまとめ、管理することが出来ます。運営会社は、プロジェクトを支援する流れで集まった支援金から手数料を受け取ることで、サービス提供を行っています。
現在、クラウドファンディングの種類別にさまざまなプラットフォームが運営されています。実行者は、自分のプロジェクトに合ったプラットフォームを選ぶ事が、支援を集める上でとても重要になります。
クラウドファンディングの種類別に、主なプラットフォーム33サイトの情報と手数料にについてまとめた別記事がありますので、そちらもご確認ください。
【保存版】クラウドファンディングで支援を集める7つの鉄則
クラウドファンディングで支援を集めるための7つの鉄則について、詳しく解説していきます。7つの鉄則は、クラウドファンディング全体の流れで行う必須項目でもあります。プロジェクト概要の作成から目標金額の設定、魅力的なリターンの設計、効果的なプロモーション戦略まで、全てが支援を集めるために必要な重要タスクなのです。
- 魅力的なプロジェクトページの作成
- 具体的な目標金額の設定
- 支援したくなる魅力的なリターンの設計
- 応援したくなる告知活動
- プロジェクトの透明性
- 支援者とのコミュニケーション
- 御礼と目的実行に対する活動報告
初心者の方でも実践しやすいように、具体的な行動リストとして使えるよう項目を順序だててまとめています。
1. 魅力的なプロジェクトページを作成する
「なぜ、このプロジェクトでクラウドファンディングをするのか?」
プロジェクトの概要は、支援者の興味を引き、理解を得る重要な要素です。支援者は、そのプロジェクトを支援する価値があるかを即座に判断するため、誰もが興味関心を持つような魅力的な概要が必要です。
そのため、プロジェクトの概要が一瞬で伝わるプロジェクトページが必要になります。わかりやすく明確な目的や共感を誘うストーリー性、感情に訴えかける画像やキーワードなどを総合的に活用して概要を伝えることが、支援を集めるために必要な初めの第一歩となります。
プロジェクトを実行すると決めたら、以下の項目を言語化しましょう。ノートや紙に書き出しておくことをお勧めします。
- プロジェクトの目的を簡潔に説明する
- 実現したい具体的なビジョンを示す
- なぜ支援が必要なのかを明確にする
- 支援によってもたらされるメリットを強調する
これらの行動は、全て、プロジェクトページを作成する上で必要なプロジェクトの核となる部分です。実行者は常に、この4つを即答できるくらい、自分の言葉で言語化しておくと告知活動にも役立ちます。
プロジェクトのスケジュール、そして達成した際の具体的な成果を明示することで、支援者に対して信頼を築くことができます。目標が具体的であるほど、支援者は共感しやすくなります。
2. 具体的な目標金額を設定する
プロジェクトへの支援を集めるためには、現実的かつ魅力的な目標金額の設定が重要です。目的に対して低すぎる目標は信頼性を損ない、高すぎる目標では達成が困難になります。
目的を実行するために必要な予算とプロジェクト実行にかかる経費なども踏まえて、具体的な金額を算出した上で、さらに逆算をしましょう。
個人での実行プロジェクトの場合は、基本10~30万円の範囲で設定することが主流ですが、どう見積もっても100万円以上になる場合は、自己資金を使った上での必要最低限の金額を最初に提示し、最終目標額として全額で幾らかかるということをプロジェクトの説明文へ明記することも重要な情報開示になります。
目標金額の設定をする際にチェックする項目は以下の通りです。
- プロジェクトに必要な最低限の金額を算出する
- 手数料やリターン制作費を考慮に入れる
- 支援者数の予測に基づいて調整する
- 達成可能な金額に設定し、ネクストゴールを用意する
何人の人から、平均何円の支援が集まれば目標額に達成できるのか?その試算が、リターン設計をする際にリターンの数量や金額を決める基準値として活用できます。資金の必要額や具体的な内訳も、支援者からの信用を得るために重要な要素となるので、裏付けのある金額の方が支援を集めやすくなります。
3. 支援したくなる魅力的なリターンを設計する
より多くの人からの支援を集めるには、思わず支援したくなるような人を引き付ける魅力的なリターンが欠かせません。支援者にとってリターンは支援の動機付けとなり、プロジェクトへの参加意識や実行者への連帯感を高める要素も持っています。
クラウドファンディングでしか手に入らないオリジナルグッズや限定価格での製品提供、支援者参加型のイベントなど、プロジェクトの目的に準ずるリターンや実行者が持つスキルや商品をリターンにすることが一般的です。
寄付型クラウドファンディングや、社会貢献目的などの場合、物品サービスでの見返りを必要としない支援が集まることがあります。その場合は、支援に対する感謝を目に見える形で伝える工夫や集まった支援金を具体的に活用している活動報告を事細かに行うという誠意あるコミュニケーションが必要となります。
リターン設計をする際に、重要なチェック項目は以下の通りです。
- 複数の価格帯でリターンを用意する
- プロジェクトの特徴を活かした独自性の高いリターンを考案する
- 限定数や早期支援特典を設けて希少性を演出する
- リターンの価値と支援金額のバランスを取る
- リターンの実施にかかる原価や経費を計算し、目標金額に加算できるか検討する
魅力的なリターン設計については、別記事で詳しくまとめて解説しています。そちらもぜひご参考にしてください。
4. 応援したくなるような告知活動の戦略を立てる
より多くの人から支援を集めるためには、プロジェクトの認知度を高める告知活動が重要です。多くの人々にプロジェクトを知ってもらい、プロジェクトの目的に共感を得ることで、支援を集められる可能性が高まります。
告知活動では、実行するプロジェクトの目的を「なぜ?誰が?何のために?どうやって?」という 5W1H で、繰り返しわかりやすく伝えることが活動のベースになります。
クラウドファンディングを実行すると決めた時点で、告知活動は始まっています。SNS を活用するなら、準備段階からコツコツ発信していきましょう。メディア露出が出来る立場なら、新聞やラジオなどに出演や取材を受けることが出来ないか検討することもお勧めします。飲食店やクリエイター関係者なら、地元のイベント出店や自主イベントの開催などで、来場者へプロジェクトの告知を行うことが出来るかを検討することも重要です。
告知活動として、行動できることはいくつもあります。
- ターゲット層に合わせたSNSを選択し、定期的に情報発信する
- プレスリリースを作成し、関連メディアに配信する
- 開始前にプロジェクトページを限定公開し、「お気に入り登録」を依頼する
- 支援者や協力者を巻き込んだ口コミ戦略を展開する
- プロジェクトの進捗や裏側を積極的に共有する
- 活動報告を毎日更新する
- 募集終了3日前に、最後の案内を全員へ行う
特に、クラウドファンディングを成功する上で大きな指標になるのが、募集開始24時間以内の支援です。募集開始24時間以内に目標金額の20%以上を達成すると、「人気プロジェクト」としてプラットフォーム上でも掲載されます。その結果、より広範囲へプロジェクトの告知を行うことができるので、公開前にプロジェクトページの「お気に入り登録」者を集めていくことも、支援を集めるために必要な裏技です。
同様に、終了前3日間も支援が集まりやすいので、すでに支援している友人知人も含めて、声をかけられる全ての関係者へ案内を贈ることをお勧めします。
5. 実行者への信頼性を高める情報開示を行う
クラウドファンディングを実行する上で、見落とされがちなのは、実行者やプロジェクトに関する情報開示です。支援者は、プロジェクトの目的や資金の使い道、実行者のバックグラウンドや活動履歴などから実行者への信用や信頼を深めます。プロジェクト全般において、適切なタイミングで透明性の高い情報開示を行うことが、実行者への多くの信頼を獲得し支援を集めることに繋がります。
支援者は資金の使途や実行者の信頼性を重視するため、適切な情報開示が必要です。
プロジェクト実行に関する情報開示として、次の行動が重要となります。
- 資金の使途を具体的かつ透明性高く説明する
- 実行者や団体の背景、経験、実績を詳しく紹介する
- プロジェクトのリスクと対策を明示する
- 定期的な進捗報告と資金使用状況の共有を約束する
情報開示は、プロジェクトページを中心に行いましょう。プロジェクトページには活動報告が掲載されます。プロフィール欄では書ききれない過去の経験や実績などは、活動報告で詳しく紹介しておくと、実行者に対する親近感や信頼を得る情報となります。
クラウドファンディングは、実行者の信用を換金する装置という性質を持っています。できるだけ正直に状況や数値などの情報を公開して、支援者からの信用信頼を獲得しましょう。
6. 支援者とのコミュニケーションを大切にする
クラウドファンディングは、「お金と人を一度に集める」ことができる仕組みでもあります。プロジェクトを実行することで、支援者との関係性が生まれ、積極的なコミュニケーションを行うことで継続的な支援や関係性を築くことになります。支援に対する御礼メッセージや活動報告、SNS での発信ややり取りなどを介して支援者との関係性を構築することが、プロジェクトそのものへの信頼と共感を深め支援を集めやすい環境を作ります。
- すべてのコメントや質問に丁寧に対応する
- 感謝の気持ちを込めた個別メッセージを送る
- 支援者限定のアップデートや裏側情報を提供する
- 支援者の意見や提案を積極的に取り入れる
- トラブルに発展しそうな場合は、プラットフォーム側のサポートを頼る
全てにおいて、好意的なコメントやメッセージばかりとは限りませんが、小さな誤解によるトラブルへの発展もあります。どんな時も、冷静に丁寧な応対を心がけましょう。自分一人では対応に困る場合は、プラットフォームのサポートや専門家に相談することも大事なコミュニケーションの一つです。
7. 御礼と目的実行に対する活動報告
プロジェクトへの支援募集終了後からが、プロジェクトの正式な始まりです。クラウドファンディングで集まった資金を元に、プロジェクトの目的を実行しましょう。プロジェクトの目的を実行するにあたり、支援してくれた全ての人にクラウドファンディング支援への御礼と結果報告を行います。こうした姿勢が支援者の満足度をさらに高め、長期的な関係構築に寄与します。
- リターンを迅速かつ確実に提供する
- プロジェクトの成果や支援金の活用先を詳細に報告する
- 支援者への感謝を表す特別なイベントや報告会を開催する
- 次回プロジェクトの優先案内や特別特典を用意する
リターンの実施に関して、トラブルが起きないように、予防策についてまとめた記事もあります。ぜひそちらも目を通しておいてください。
【事例集】支援者を多く集めたクラウドファンディング成功例3選
スバキリ商店では、累計1,250件以上のクラウドファンディングをプロデュースしてきました。その中でも、ダントツに支援者を集めたプロジェクトを3つ紹介します。過去最高と言えるのは、1,060人の支援が集まった讃岐うどんのプロジェクトです。
ちなみに、スバキリ商店のプロデュースした実例では、100万円以上集まったプロジェクトの支援者数は平均100~150人。これから紹介するプロジェクトが支援者を多く集めたことのすごさが伝わるかと思います。
1000人以上の支援が集まった「讃岐うどんのフードロス防止」プロジェクト
過去最高の支援者数を集めたプロジェクトは、余剰乾麵のフードロスを防ぐために実行されました。
実行者は、香川県にある(株)さぬきシセイ。戦後間もない昭和22年から、乾麺の製造を行っている会社です。
プロジェクトの目的は、季節余剰在庫としてこれまで廃棄されてきた乾麺をフードロス防止の観点から、クラウドファンディングで販売したいというもの。食べ物を大切にしたいという、製造者の想いが支援につながり、1,000人を超える支援者が集まりました。
クラウドファンディングを実行することで、自社の製品を知ってもらう機会となり、プロジェクト終了のタイミングで始めた Instagram もかなりフォローされています。
クラウドファンディングに挑戦することが、フードロスだけでなく認知度向上にもなったケースです。
500人以上集まった映画の製作費調達プロジェクト
次に紹介するのは、映画の製作費用を調達する目的で実行されたプロジェクトです。
実行者は、東京の映画製作会社 REIZ INTERNATIONAL。製作中に、製作費が足りなくなったという理由でクラウドファンディングを実行されました。
実は、このプロジェクトの後に、「エンドロールに1000人の支援者を掲載したい」という目的で再度、クラウドファンディングに挑戦されています。
2つのプロジェクトで合計600人以上の支援者を集められているのは、活動報告がしっかり行われていることで、映画の製作に関われているという支援者の当事者意識による結果と考えられます。
360人以上集めた「応援アワード」プロジェクト
最後3つ目にご紹介するのは、イベント開催のための資金調達プロジェクトです。
実行者は、一般社団法人全日本応援協会の代表理事、朝妻久実さん。2009年から協会の前身となる「全日本女子チア部」で朝チア活動を続けてきた筋金入りの応援家です。応援アワードについては、別記事でもインタビュー形式にてご紹介しています。
「応援する人は、応援される。」という言葉を体現しているプロジェクト成功事例です。
スバキリ商店でプロデュースした事例では、500人近く集めた成功事例が今回紹介した以外にも幾つかあります。経験と実例から、実行者の目的に適した支援を集めるために必要なアドバイスやリターン設計などを行っております。お気軽に、ご相談ください。
クラウドファンディングで支援を集め成功するには、実行者の熱意と信頼が必要
クラウドファンディングで多くの支援を集め、目標金額を達成するためには、プロジェクト実行者の熱意と信頼が必要です。「クラウドファンディングは、信用を換金する装置」という言葉が表現するように、実行者は、相手にとって信用信頼に値するプロジェクトだから支援される、という支援者側の動機があることを忘れてはなりません。
クラウドファンディングは、お金と人を一度に集められる仕組みです。応援したいと思う人が集まるから、お金も集まる。そう表現した方が正しいのかもしれません。
クラウドファンディングに挑戦するには、勇気も労力も必要です。どうしてもプロジェクトを実行したいという、実行者の熱意とこれまで培ってきた信頼関係とが掛け合わさることで、支援が集まります。
今回ご紹介した、クラウドファンディングで支援が集まる7つの鉄則は、実行者への信頼を獲得するための行動です。どれも当たり前のことですが、実は、当たり前のことが一番出来ていない、難しい事でもあります。
だからこそ、これからクラウドファンディングに挑戦する全ての人に届いてほしいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
支援を集めるために必要なアドバイスはスバキリ商店へ聞け!
スバキリ商店でプロデュースしたプロジェクトオーナーさんたちのインタビューを記事にまとめています。
スバキリ商店へお問い合わせいただく前に、過去実行された人たちのご感想を読んでみてください。
支援者500人超えを目指したい!という人は、ぜひ当サイト内のノウハウ記事や広報ブログもご覧になっていただくと、実行するにあたり必要な情報を手に入れていただけると思います。
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毎週月曜日の夜は、Facebookグループで交流会もございます。こちらは、これからプロジェクトが公開される実行者さんやスバキリ商店のスタッフである、スバキリ一味が参加しています。