働きながらクラウドファンディングを実行し、成功させるためには、計画的な準備が必要不可欠です。どのくらい準備期間があれば、プロジェクトを公開できるのか。絶対に押さえておくべきタスクは何か。
開業資金や改装資金の調達を目指す飲食店や美容関連店舗の経営者、自分のお店を持ちたいと独立起業を考えている人向けに、3ヶ月の準備期間を想定した実践的なクラウドファンディング準備マニュアルを提案します。
【基本準備】クラウドファンディング実行3か月プラン
店舗運営をしながら、3か月=12週間でクラウドファンディングを実行するための準備スケジュールの見本です。クラウドファンディングを実行する準備の流れを今一度、確認してみましょう。
【1ヶ月目】プロジェクト設計
- 1週目:プロジェクトの目的を見える化、運営チームの役割分担
- 2週目:必要資金の見積もり、リターン内容の検討
- 3週目:写真・動画の撮影依頼、リターンの原価出し
- 4週目:必要書類の準備、SNS で発信開始
【2ヶ月目】プロジェクトページ&告知コンテンツ作成期間
- 1週目:告知用メイン写真・動画撮影
- 2週目:プロジェクトページ原稿作成
- 3週目:リターンの試作・撮影、原価の再確認
- 4週目:SNS 告知活動の計画作成、
【3ヶ月目】審査・公開準備期間
- 1週目:プロジェクトページの作成
- 2週目:審査対応、ポスターや案内チラシの作成
- 3週目:プロジェクト実施の案内、SNS 告知用素材の準備
- 4週目:公開直前確認とプロジェクト公開の告知
90日でクラウドファンディングを実行する上での詳しい準備作業については、以下の記事でまとめています。
そちらも併せてご覧ください。
クラウドファンディングの準備で押さえるべきポイント
クラウドファンディングに挑戦すると決めたら、まずは基本的な準備事項とスケジュールの流れを確認しましょう。プロジェクト公開までの準備期間は、最短2週間から3ヶ月が一般的な目安となります。
【基本】クラウドファンディング実行で最初にやるべき準備3つ
店舗運営に関する資金調達のプロジェクトを実行する場合、一番最初に準備としてやるべきことは、3つあります。
- プロジェクトの目的明確化
- スケジュールの見える化
- プロジェクト実行のためのチームづくり
店舗運営のために行うクラウドファンディングで、一番ハッキリさせておくべきことは何のためにプロジェクトを実行するのかという目的です。新規開店の資金調達なのか、今ある店舗の改装資金なのか、新規のお客様を呼び込む宣伝目的なのか。ここが、支援者にきちんと伝えられるように、しっかりと具体的な言葉で明確にする必要があります。
目的がハッキリすれば、具体的な費用の見積もりと必要金額の算出ができます。目標金額がザックリ決まれば、 支援者へ提供できる見返りの洗い出しをして、どうすれば目標金額を集めることが出来るかという作戦を立てられます。
既存の店舗の場合は、店舗営業と準備作業を両立するスケジュール表を作成することが必要です。時間を管理して、効率よくプロジェクトの準備が進められるようにするには、 繁忙期・閑散期を考慮した実施時期の決定や具体的な締め切りを1つ1つの準備項目ごとに決めておきましょう。
クラウドファンディングを実行する目的がハッキリと言語化し、全体のスケジュールが組めれば、あとはプロジェクトを実行するチームづくりや担当割りです。店舗スタッフへの協力を求め、情報を共有して、実務担当者を中心に準備を進めていきましょう。
準備期間中の店舗運営との両立方法
クラウドファンディングの準備と普段の仕事を両立させるためには、効率的な時間管理が重要です。以下のような工夫を行いましょう
- 準備作業は営業前の空き時間を活用
- 写真撮影は定休日に集中して実施
- 従業員とのミーティングは早朝や閉店後に設定
- タスクの優先順位付けと担当者の明確化
オーナーや店長、責任者が一人で全ての準備をすることは、ほぼ不可能です。特に、告知文の作成や写真撮影、プロジェクトページに使う画像や動画は、出来るだけプロに依頼して、営業中は普段通りに集中できる段取りを組みましょう。
よく言われることですが、店舗を運営する上で一番大事なことは何か、優先順位付けが肝心です。任せられることはどんどん周りを巻き込んで、時間と判断力を効率よく使うことが、プロジェクト実行と日々の業務との両立には欠かせない絶対条件です。
【店舗経営者必見】クラウドファンディング成功事例から学ぶポイント
スバキリ商店のプロデュースした過去のプロジェクトから、店舗運営のために行われた成功事例を3つ紹介します。飲食店の新規顧客開拓、レストランの業態変更と改装、美容サロンの新規出店という、店舗経営者必見の成功事例です。
飲食店の成功事例 2件
【成功事例1】出汁割烹の告知プロジェクト
2023年に実行された飲食店の宣伝目的で行われたプロジェクトです。
実行者は、dashi-sai ゆかり 代表の高見沢彩さん。和食の基本である出汁と、ソースで素材を引き立てるフランス料理の技法をベースに、旬の食材を使った創作料理を提供しています。
出汁が売りということもあって、炊き込みご飯のセットが人気リターン。限定のコースプランや、1年間20%offになる年間飲食パスポートなど、低価格から7万円まで幅広く工夫して支援者が選びやすく、お店への来店につながるリターン設計がされています。
【成功事例2】ハンターなシェフのジビエビストロ改装プロジェクト
2024年に、業態変更のため、店舗の改装資金調達目的で行われたプロジェクトです。
実行者は、フレンチレストラン「Bistro AMI」オーナーシェフの水越康之さん。16年続けたレストランを、狩猟免許を持つシェフ自らが獲ってきたジビエを自前で提供するビストロへの業態変更のための改装費用を調達する目的で実行されました。
なかなか手に入りにくいジビエを鍋料理で楽しめるセットやオープニングパーティ参加権など、こちらも来店につながるリターン設計がされています。狩猟免許を取りたい人向けのリターンなど珍しいリターンがある成功事例です。
美容関連サービスの成功事例
2024年に実行された、美容関連での新規出店告知目的プロジェクトです。
実行者は、株式会社AXLife(アクセライフ) 代表取締役の赤澤祐太さん。美容関連の事業を立ち上げたいという目標から、完全予約制脱毛サロンを出店。その広告宣伝目的でプロジェクトを実行されました。
会社の福利厚生に、脱毛ケアを取り入れることが出来るチケット付きスポンサー権リターンという、今までにない切り口で、個人だけでなく企業からの大口支援を獲得している珍しい事例です。美容関連でのプロジェクト実行を検討している人には参考事例となるかと思います。
その他にも、100万円以上支援を集めた成功事例を16ジャンル48件解説した記事もあります。詳しくは、以下よりご確認ください。
プロジェクトページ作成の具体的な準備作業
クラウドファンディングを実行する上で、支援者の共感を得るために重要なプロジェクトページに関する準備について、解説します。
特に重要な2つのポイント、ページ作成に必要な準備資料と写真撮影です。
共感されるプロジェクトに必要なストーリーが伝わる準備資料
魅力的なストーリーを作成するために、以下の資料を準備します。
- 店舗の基本情報
- 創業までの経緯
- 店舗コンセプト
- スタッフのプロフィール
- メニュー開発秘話
店舗を作る誕生秘話や、サービス提供への想いなどを、改めてスタッフ内で話し合ってみましょう。これまでの経験や経緯を振り返ることで、プロジェクトに共感されるオリジナルのストーリーが見えてきます。
サービスや商品の価値を裏付けるデータも、この機会に集めておくと良いでしょう。
- 市場調査結果
- 顧客アンケート
- 試作過程の記録
- 仕入れ先の情報
- 使用する材料や基材の特徴
飲食店であれば、産地や使用している調味料へのこだわりなどにもストーリーのネタがあります。ファッション系なら素材やデザインへのこだわり、美容系ならマシンや施術に使う美容基材なども他との違いをアピールするネタになります。数字的な裏付けや利用者のリアルな感想も、オリジナルストーリーに必要な情報です。
魅力的な写真撮影の準備
クラウドファンディングに限らず、広告宣伝のために撮影する際の注意点を紹介します。飲食店や家具、衣料品などの写真撮影では、以下の点に注意して準備を進めましょう。美容サービス、フィットネスジムなどでは、サービスを提供しているスタッフ自体が、商品だと考えて応用してください。
プロに撮影を依頼する上でも、この3つの注意点を理解しておけば、撮影をスムーズに進めることが出来ます。
撮影準備物
- 料理の完成見本や商品の現物
- 装飾用の小物
- 適切な照明機材
撮影環境の整備
- 撮影する対象を活かせる撮影場所の確保
- バックグラウンドの整理
- 清潔な撮影スペースの確保
撮影項目リスト
- 商品の全体・断面写真
- 調理工程や制作状況のスナップ
- 店舗外観・内装
- スタッフの作業風景
撮影項目については、どんな風にみせたいのか、お客様にどの部分を強く伝えたいか、という具体的な視点からリストを作っておきましょう。撮影するカメラマンもどんな写真を撮ればいいかイメージをつかみやすくなります。撮ってほしい写真のイメージがカメラマンに伝わると、「そうそう、こういう写真が欲しかった!」というようなイイ写真の撮れる確率が上がります。
集客につながる告知方法の準備
クラウドファンディングを実行する上で、一番重要なのは告知です。特に、店舗運営では、既に今通ってくれているリピーター客への案内が成功を左右します。
既にリピーター客がいる店舗で出来る効果的な告知方法について、店内での告知方法と SNS の活用の2点から紹介します。
実店舗での効果的な告知方法
お店でできる告知は、お客様の目に留まる回数が多く、地味に効果があります。飲食店だけでなく、エステサロンや整体、フィットネスジム、美容院や雑貨店など、お客様が長時間滞在する店舗であれば、以下の3つをぜひ取り入れてください。
1. 卓上POPの活用
- A5サイズ(ハガキ程度の大きさ)のスタンド型が◎
- プロジェクトページやSNSのQRコードを必ず掲載
- 写真で視覚的に訴求
2. レシートへの案内掲載や告知カードの配布
- クラウドファンディング挑戦中と印字
- プロジェクトページのQRコードを掲載
- 特典情報を簡潔に記載
3. スタッフからの声かけ
- 日々の接客時に自然な形で紹介
- お客様の反応をメモして改善
- 説明しやすいトークの共有
レジ前や出入り口などのお客様が立ち止まる場所や、お手洗いなどのスペースも、POPやフライヤーなどを設置して、お客様の方から話題にしてもらえる工夫も取り入れましょう。
公式 SNS での告知準備と投稿計画
SNS 上での告知活動を本格化する、公開2週間前から公開までの投稿スケジュール例としては、以下のような流れが自然です。
- 14日前~13日目:プロジェクト概要の説明
- 12日前~11日目:メニュー開発や改装計画の裏側
- 10日前:公開カウントダウン告知開始
- 9日前~8日前:リターンのチラ見せ
- 7日前:公開1週間前告知、店舗・スタッフ紹介、協力してくれる応援団募集
- 6日前:お気に入り登録への御礼と案内
- 5日前:カウントダウン告知、プロジェクトページ紹介
- 4日前:数量限定リターンの紹介、応援メッセージの紹介
- 3日前:ページ公開に向けての意気込み、3日前カウントダウン告知
- 2日前:直前の心境を告白、支援協力へのお願い
- 公開前日:数時間おきのカウントダウンスタート
- 公開当日:募集開始案内、初日の動向を随時発信
投稿のコツとして、大きくつのポイントがあります。
- 1投稿に、1つのテーマ→情報は1つに絞って、細かく分けて伝える
- ハッシュタグ(#クラファン挑戦 など)は関連キーワードを複数使用→検索される可能性を上げる
- フォロワーとの対話を大切に→プロジェクトへの共感と信頼を高める
SNS の活用については、別記事で詳しくまとめていますので、そちらも併せてご覧ください。
プロジェクト公開前の最終準備チェック
プロジェクト公開前にチェックしておくべき最終準備について解説します。店舗運営をしながら、プロジェクト実行する場合は、スタッフ全員の理解と協力が成功につながります。
従業員への説明資料と情報共有の準備
お客様から「クラウドファンディングやってるんですか?」と質問されたとき、スタッフ全員が自信を持って説明できるように、プロジェクトの内容についての説明資料やマニュアルを用意しておくことも重要です。
説明用マニュアルの作成
プロジェクトについて説明するためのマニュアルとして、以下の4つは必ず図解やイラストなどお客様に直接見せられる資料を用意しておきましょう。
- プロジェクトの目的
- リターンの詳細情報
- よくある質問と回答例
- 支援方法の説明手順
特に重要なのは、「どうやって支援したらいいの?」という支援方法の説明です。クラウドファンディングを支援したことがない人でも、スタッフが誘導して簡単に操作が出来るマニュアルを用意しておくだけで、支援のハードルが下がります。
2. スタッフ内での情報共有のポイント
スタッフ全員が、プロジェクトページをしっかりと読んだ上で、空き時間に接客シーンを想定した練習をしておきましょう。質問対応のロールプレイングなども、スタッフ同士で行っておくと、支援者への適切な対応の練習にもなります。説明のNG例も共有して、スタッフの誰もが丁寧で適切な説明が出来る状態でプロジェクト公開を迎えることが理想的です。
プロジェクト実施後を見据えた事前準備
クラウドファンディングは、プロジェクトの目的が達成されるまで終わりません。また、支援者との関係性は、プロジェクトが完了してからも続けていくことが、店舗の存続には欠かせません。
プロジェクト後の支援者との関係性を継続するための事前準備について解説します。
支援者フォロー施策の準備
支援者を常連客に育てることができれば、店舗運営は安泰です。クラウドファンディングは、見込み客との関係性を始める手段として活用できるのです。
支援者への定期的な進捗報告で、店舗の裏側について共有したり、内輪ネタを紹介することで、お店に対する関心を持ち続けてもらう工夫をしましょう。クラウドファンディング終了後も、半年、一年と節目を決めて、感謝の気持ちの伝えるというコミュニケーションも効果的です。
プロジェクトのリターンで来店した支援者に対して、リピーター客になってもらうための利用特典を用意することも販促効果があります。次回使える割引券や優先予約ページの案内、お誕生月特典などで、再来店に繋げるような特典をいくつか準備しておきましょう。
集客施策との連動準備
プロジェクト終了後も継続的に集客できる仕組みとして、メールアドレスのリスト化や SNS を使った施策もあります。
1. リピーター化の仕掛け
店舗運営で多くの企業が利用している SNS といえば、公式 LINEです。クラウドファンディングの支援者に向けて、公式 LINE を案内し、お友達登録の特典を用意することも事前準備として行いましょう。
リターンで店舗へ来店した際には、ポイントカードの作成や SNS 上で タグ付けした口コミ投稿をしてもらうなども工夫のひとつです。口コミ投稿に特典をつけることで、お客様には特典を受けられるメリットがあり、店舗としては SNS 上 に店舗の口コミを紹介でき、集客にも活用できるというメリットがあります。
2. 情報発信の継続
プロジェクトへの支援者は、お店のファンになってくれる見込みが高い人達です。そのため、お店の周年や新メニューの開発などの情報を定期的に案内することが大切です。店舗にとって節目となるようなタイミングでの参加型のイベント案内を行うことで、ロングエンゲージメントと呼ばれる、お店への興味関心を常に持ってもらえる関係性を続けていくことが出来ます。
ロングエンゲージメントについては、トマトジュースで有名なカゴメ株式会社などが積極的に取り入れている事例があります。佐藤直之さんの「ファンベース」には、カゴメ株式会社をはじめ多くの大企業のファンづくりについてとりあげれていますので、興味がある方は是非、ご一読されてみてください。
プロジェクト準備段階でよくあるトラブルと対策方法
準備段階で発生しやすいトラブルとその対策をまとめました。特にトラブルとなりやすいのは、スケジュールの遅れとリターンの設計ミスです。それぞれ、詳しく見ていきましょう。
スケジュールが遅れることで起きるトラブル
クラウドファンディングで最も起きやすいトラブルは、スケジュールの遅れが原因となるトラブルです。
対策としては、以下の3つを常にチェックすることです。
- 余裕を持った工程計画を立てる
- 重要タスクの優先順位付けをする
- 週1での情況確認を行う
リターン設計ミスによるトラブル
支援者とのトラブルにもなりかねないのが、リターンの設計ミスが原因となるトラブルです。リターン関連のトラブルは、支援募集期間後に判明するケースがほとんどです。
対策としては、事前に以下の3つを徹底することです。
- 原価や経費計算の徹底
- 配送方法の事前確認
- 少量テスト提供による実現可能性の検証
リターンの履行に関するトラブルが発生した場合、支援者への説明が必要であれば、きちんと説明することも大切な対応です。
まとめ 店舗運営でのクラウドファンディングはファンづくりの準備である
店舗運営でのクラウドファンディングは、単なる資金調達の手段ではありません。お店のファンを増やし、地域に根付くきっかけにもなります。しっかりと準備を重ね、支援者との良好な関係を築いていくことで、長期的な経営の基盤を作ることができます。
クラウドファンディングの準備で行うさまざまな活動は、そのまま集客や告知に応用できます。準備に時間をかけた分だけ、必ず結果につながります。
SNS を活用するだけでなく、実際にお客様と対面でコミュニケーションを取ることも、クラウドファンディングの成功には重要な行動です。
店舗運営に欠かせない宣伝効果や集客、そして運営資金の調達など、クラウドファンディングを挑戦することは沢山のメリットがあります。
新店舗の出店や店舗の改装などをお考えの際は、クラウドファンディングを活用するという選択肢も検討してください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
新規開店&改装、店舗宣伝のクラウドファンディングならスバキリ商店
スバキリ商店のプロデュースした店舗運営に関するクラウドファンディングは、さまざまな業態があります。飲食店をはじめ、エステサロンやフィットネスジムまでこれまで多数のプロジェクトをプロデュースしています。
累計1300件以上の豊富な事例から、クラウドファンディングをもっと身近に手軽に実行できるように、専門スタッフが全力でサポートします。貴重なスケジュールを無理やり割かなくても、文章やデザインが出来なくても大丈夫。日々の業務をしながら、隙間時間でクラウドファンディングを実行できます。
Facebook上の「スバキリ一味ファンクラブ」ページにご参加いただくと、毎週月曜夜22時半から、オンライン交流会に無料で参加できます。
クラウドファンディング実行中の皆さんとスバキリ商店のスタッフに、直接質問できるチャンスです。ぜひ、ご参加ください。