クラウドファンディングは、プロジェクトの資金を集めるだけでなく、支援者とのつながりを築く効果的な手段です。特にZ世代と呼ばれる世代は、デジタルネイティブとしてSNSや共感を重視する特性を持っているため、Z世代とクラウドファンディングという組み合わせは大きな可能性を秘めています。
Z世代に響くクラウドファンディングとはなにか? SNS 活用を中心とした成功ポイントを共感と分かりやすさの2つのポイントから解説します。
Z世代とクラウドファンディングの現状
Z世代って、どういう価値観を持っているか知ってますか?ここでは、Z世代の特徴とクラウドファンディングに対する反応などを解説していきます。
Z世代の特徴
Z世代は、1990年代後半から2010年代前半生まれの世代です。幼いころから、インターネットやパソコン、携帯電話が身近にあり、10代からデジタル技術に親しんだ生活環境から「デジタルネイティブ」とよばれることもあります。SNS を使い分け、社会的課題への関心が高い世代です。
代表的な人物は、メジャーリーガーの大谷翔平選手。将棋の藤井壮太名人。歌手のAdoさん。三人に共通するのは、”型破りな天才性”
三人とも、極めて若くして従来の常識や記録を次々と塗り替え、それぞれの分野で新たな時代を切り開いた革新者です。大谷選手は投打二刀流という新しい野球の形を確立、藤井棋士は最年少記録を次々と更新し、Adoさんは新しい歌唱表現で音楽シーンに衝撃を与えました。三者に共通するのは、既存の枠組みにとらわれない独自の才能と、それを開花させた若さです。
Z世代とクラウドファンディング
調査によれば、20代の4人に1人(25%)が、クラウドファンディングにチャレンジしてみたいと考えています。世代的には、クラウドファンディングの認知度は比較的高いものの、経済的な制約や情報不足が利用の障壁になっていることが分かっています。
Z世代のクラウドファンディングに関するデータから以下の情報が読み取れます。
- 支援の予算は10,000円以内
- 3人に1人が「クラウドファンディング自体がよくわからない・よく知らない」
- 寄付型クラウドファンディングへの支持や理解
- 推し活としてのクラウドファンディング
20代の過半数が「寄付型」のクラウドファンディングを支持し、約4割が「特定のクリエイターやアーティストを応援したい」と回答しています。この2点が、Z世代が「共感」を重視する世代であることを裏付ける要素です。
購入型クラウドファンディングの代表格である CAMPFIRE の公式統計データページと、寄付型クラウドファンディングプラットフォームで急成長している For Good の公式統計データページから利用者年代別の割合を見ると、For Good の方がZ世代や10代の利用者が多い状況がうかがえます。
Z世代に響くクラウドファンディングでの SNS マーケティングとは
ここでは、Z世代に向けたクラウドファンディングを実行する場合、どのような点に注意した告知やマーケティング方法が必要なのかを考えていきます。
Z世代を象徴するキーワードは、タイパ(タイムパフォーマンス)とコスパ(コストパフォーマンス)、バズる、エモいなどがあります。これらの言葉は、SNS で広まり共感性から他の世代へも広まりました。
Z世代に響く SNS マーケティングに必要な各プラットフォームの利用背景や、Z世代特有の SNS 利用特徴、SNS で重視される共感性について、掘り下げてみましょう。
Z世代が活用する SNS プラットフォーム5つ
Z世代のSNS利用について、主なプラットフォームごとに特徴と選択理由を解説します。
1. TikTok
Z世代に、TicTok が人気なのは、短い動画で情報をスピーディにキャッチできる点です。また、興味関心に対するプラットフォーム側のアルゴリズムが優れており、利用者が興味のあるコンテンツに素早く出会えるという特性が人気となっています。
フィルターやエフェクト、音楽との組み合わせにより、 クリエイティブな自己表現が簡単に発信できるところから、「バズる」可能性が高く注目を集められる点からYouTubeよりも手軽だと言えます。
心理的背景には、長いコンテンツに集中する時間的余裕が少なくても、エンターテインメント性と情報収集を同時に満たしたいという部分があります。
2. Instagram
TicTok とならんで人気なのが、Instagramです。Z世代のインフルエンサーと呼ばれる人たちは、Instagramを中心に活動をしていることも利用者が多い理由のひとつです。
写真や動画などのビジュアル重視のプラットフォームとして、SNS 初期から根強い人気があります。24時間限定のストーリーズ機能で日常の共有が気軽にできる点も特徴です。
心理的背景には、「インスタ映え」という言葉が出来たように、良い瞬間を切り取ることで、理想の自分を表現することが出来たり、友人や家族の様子をチェックできる点、おすすめ投稿によるトレンドや興味関心ある分野の情報を手に入れやすいという点があります。
3. X(Twitter)
SNS 文化を創り上げた X(Twitter)は、Z世代にも人気です。リアルタイムな情報収集が可能であり、共通の興味を持つ人々とコミュニティを形成しやすい点と、匿名でも本名でも活動できる柔軟性が世代を問わず人気である理由です。
心理的背景には、複数のアカウントを併用することで、素の自分を表現できる場所を得られたり、趣味や関心事について深い議論をしたいというコミュニケーション手段や社会問題への関心や発言機会としての部分が求められているようです。
4. BeReal
新しいタイプの SNS として、ヨーロッパやアメリカのZ世代に人気なのが、フランス発の SNS、BeReal です。加工なしの「等身大の自分」を共有できるという点と、1日1回しかもランダムに届く通知後の2分間しか投稿できない不自由さ、友人同士での親密なコミュニケーションが可能という点が、SNS の利便性に慣れたZ世代には逆に新鮮なようです。
心理的背景には、 SNS 上での完璧主義への反発やより本音での関係性を求める気持ち、情報過多や SNS 疲れへの対処などもあると言えます。
5. LINE
電話をかけるより、LINE でのやり取りが主流な生活環境で育ったZ世代には、プライベートなコミュニケーションツールとして LINE が定着しています。グループ機能で複数人との連絡が手軽にできること、LINE Pay をはじめとする支払いなど生活機能との統合なども、活用される理由と言えます。
心理的背景としては、クローズドな関係性を重視できること、実用的なツールとしての需要、日本独自の SNS 文化との相性が良い点が挙げられます。
Z世代の SNS 2大特徴と傾向
特に、Z世代に多く見られる SNS 利用での大きな特徴を2つ、解説します。
- マルチプラットフォームの活用
- プライバシーへの意識高い
デジタルネイティブと呼ばれる世代だけあって、個人情報の開示には特に慎重な姿勢があります。親しい友人にしか教えないアカウントを持つことで、SNS プラットフォームだけでなく、アカウント自体を目的に応じて使い分けたり、それぞれの SNS で異なるキャラクターを使い分けるという傾向が見られます。
その他にも以下のような傾向が見られます。
- 短時間で効率的な情報収集を好む
- エンターテインメント性の高いコンテンツを優先
- テキストよりも視覚的な情報を重視
- リアルタイム性を重視
- 画像や絵文字中心
- 軽いやりとりを好む
以上の特徴と傾向から、Z世代にむけた SNS 発信はプラットフォームごとに使い分けることや、瞬時に理解できる動画や画像中心で行うことが効果的だと言えます。
また、ショート動画でわかりやすく伝える工夫は、クラウドファンディングへの認知度を上げたり、プロジェクトへの興味関心を高める上で、今後さらに重要な要素となります。
共感を呼ぶストーリーを伝える重要性
SNS を活用して、Z世代へクラウドファンディングの情報を届けるには、共感されるストーリーが特に重要です。「エモい」という表現を使うZ世代には、感情の動きに対する敏感さや繊細さがあります。
「なぜこのプロジェクトが重要なのか」を物語として、視覚的にわかりやすく繰り返し伝えましょう。特に、個人の体験やプロジェクトの背景を感情的な部分からも伝えることが効果的です。
そのためにも、伝えたいことを細かく3秒動画や一言メッセージに分散し、目に留まるインパクトある投稿からのアカウントフォローにつながる SNS の導線設計が必要になるでしょう。
「短くわかりやすい」は、どの世代にも効果があるアプローチとして有効です。AI を活用した漫画やアニメなどでのストーリーを伝える告知コンテンツを作成し、強く共感される工夫をした発信を行いましょう。
Z世代からの支援を集める具体的なアプローチ
クラウドファンディングの支援を集めるには、リターン設計でいくつかの工夫が必要です。ここでは、Z世代を支援者のターゲットとしたプロジェクト実行での具体的なアプローチを、価格設定や巻き込み力の面から解説します。
手軽で参加しやすいリターン設定
Z世代からの支援を集めるには、少額から支援できるリターン設定が重要です。Z世代の3人に1人が、経済的な余裕の部分から「クラウドファンディング支援」に対して消極的であるというデータもあります。コスパやタイパという部分を重視する現実的な選択基準を強く持っているため、堅実志向があるとも言えます。
しかし、「推し活」「エモ消費」などの言葉がZ世代からも受け入れられているように、興味関心が強い活動者への「応援したい」という感情は、他の世代よりも強い場合があります。寄付や社会貢献に関心が高いのもZ世代の特徴です。
リターン特典として限定グッズや体験型リターン、ライブ配信などを提供することや、プロジェクトを支援すること活動へ参加しているという強い精神的な見返りが得られることなど、支援者の満足度をしっかりと意識したリターン設計を行うことが重要です。
「リアルな当事者意識」で支援者を巻き込む力
プロジェクトを応援することで、支援者がプロジェクトの当事者として参加している実感を持てるような仕組みを導入しましょう。例えば、ライブ配信でのQ&Aや、リターン品のデザインを支援者に投票してもらうなどのプロジェクトに巻き込む工夫をして、当事者意識や連帯感をリアルタイムに感じてもらうことも重要です。
Z世代は、「今ココ」という意識が高い傾向があるため、他の世代よりリアルタイム性が高い工夫への反応を期待できます。「バズる」という現象が起きるのも、共感をベースとした情報共有をエンターテイメントとして楽しむという心理的背景があるからです。
クラウドファンディングの成功には、支援者がプロジェクトに参加できているという当事者意識が必要不可欠です。支援者と積極的にコミュニケーションを取る目的もふくめて、リアルタイムの情報共有を行い、プロジェクトに巻き込める工夫ができないか、常に、Z世代の動きや支援者の反応を観察しましょう。
Z世代に最適化した SEO 施策
SEO 対策とは、検索キーワードを活用することで、インターネット上での投稿や発信内容が検索されやすくなる工夫です。Z世代が検索した時に目に留まりやすい工夫について、キーワードと視覚的要素の点から解説します。
キーワード選定のポイント
Z世代の検索行動には、以下のような特徴的なパターンや法則性が見られます。
1. 口語的・会話的な検索フレーズ
何かを調べる時に、よく使われるのが会話的なキーワードです。
- 「○○って何」「○○どうやって」
- 「○○おすすめ」「○○使い方」
- 「○○やばい」「○○神」のような感情表現を含む
- 「○○とは」ではなく「○○意味」
2. 体験や結果を重視した検索
「踊ってみた」「作ってみた」などの動画が人気となったように、リアルな体験からの情報を重視する目的では、以下のフレーズが検索キーワードとして使われています。
- 「○○してみた」
- 「○○レビュー」
- 「○○比較してみた」
- 「○○失敗」「○○あるある」
3. 時間や手間に関する修飾
タイパ=短時間で効率がいい、という表現が重視されるように、時間や手間を重視する場合は、以下の検索キーワードが使われます。
- 「○○即」「○○すぐ」
- 「○○簡単」「○○楽」
- 「○○時間」「○○分」
- 「○○無料」「○○格安」
コスパとタイパ。行動に対する対価を重視する部分もZ世代の特徴と言えます。
4. 具体的なシチュエーション検索
こういうときにどうすればいいか、という情報を調べるときには、次のような具体的な状況から検索がされています。
- 「○○な時」「○○場合」
- 「○○でも大丈夫」
- 「○○のやり方」
- 「○○向け」「○○におすすめ」
5. トレンド・バズワード重視
あるジャンルについてのトレンド情報を集める時は、以下のようなキーワードの組み合わせが活用されます。
- 「○○流行り」「○○話題」
- 「○○人気」「○○バズ」
- 「○○最新」「○○2024」
- 「○○いつから」
6. 視覚的情報を求める傾向
Z世代は、長文を読むよりもイラストや図解での解説から情報収集をする割合が多いです。そのため、以下のキーワードもよく使用されています。
- 「○○見方」
- 「○○やり方」
- 「○○図解」
- 「○○イラスト」
7. ショート動画を意識した検索
TicTok や Instagram のリール動画などをメインとして情報収集するZ世代は多く、あるジャンルに特化したアカウントでも検索するケースがあります。
- 「○○ TikTok」
- 「○○ Reels」
- 「○○ショート」
- 「○○垢」
8. リアルな評価を重視
タイパ、コスパという等価交換を重視する点から、利用した人のリアルな評価を知りたいという目的での検索も行われています。
- 「○○実際」
- 「○○ほんと」
- 「○○マジ」
- 「○○リアル」
検索キーワードの傾向から、Z世代特有のポイントとして以下の部分が重要だと分析できます。
- 素早く実用的な情報を得たい
- 他者の実体験を重視する
- ビジュアルで理解したい
- 最新のトレンドを把握したい
これらの検索パターンを理解することで、Z世代向けのコンテンツ作成やマーケティングにおいて、より効果的なキーワード戦略を立てることができます。
視覚的要素の活用
Z世代は、他の世代に比べて、動画や画像、イラストなどの視覚的情報を中心としたコミュニケーションに特化しています。YouTube や Netflix などで長編動画を視聴する反面、10秒以内のショート動画を中心とした TicTok や Reel の人気も高いです。
コンテンツ制作の際は以下の3つの要素を重視しましょう。
- 最初の3秒でフックを作り、15-30秒で完結する簡潔な構成
- 鮮やかな色使いと動きのある画面展開、トレンド音源との同期
- 意外性のある展開と共感を呼ぶ日常的な要素の組み合わせ
「見て、真似したくなる」を意識した制作により、Z世代特有の「参加型」コンテンツ消費習慣に寄り添える発信が出来ます。
クラウドファンディングのプロジェクトページでも、ショート動画の埋め込みや一目でわかるアイコンなどを活用することで、視覚的にわかりやすいコンテンツを提供します。これにより、Z世代に限らず多くの人からの関心を引きやすくなります。
まとめ クラウドファンディングはZ世代を意識して実行すべし
クラウドファンディングを実行する上で、Z世代を意識することは、プロジェクト自体の興味関心を高める工夫になると言えます。
Z世代に向けたクラウドファンディング戦略では、SNS を活用したマーケティングや共感を呼ぶストーリーテリングが重要な要素となります。これは、言い換えれば、Z世代に共感されるプロジェクトは、他の世代にとっても目的や内容がわかりやすく、伝わりやすくなるということです。
YouTuber やインフルエンサーと呼ばれる活動をしている人の大半は、Z世代です。Z世代に共感を得られるプロジェクトは、多くの人にとって魅力があり共感される部分があるということです。
特に、社会貢献などのプロジェクトを実行する場合、高齢者や当事者とされる30~50代の支援者だけでなく、Z世代からも応援される視点を持つことが、プロジェクトを成功させるヒントになるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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