人生100年時代といわれますが、定年後の生き方を考えることはありますか?クラウドファンディングは、60歳以上のシニア世代の挑戦にも活用されています。
クラウドファンディングって難しそうな印象があるかもしれません。しかし今の世の中、スマートフォンが使えれば大概のことは、なんとかなります。IT初心者でもプロジェクト挑戦、大丈夫です。
定年後のシニア起業や、還暦での開店実例などの具体例から、プロジェクトの始め方、支援集めのコツ、成功事例まで詳しく解説します。よくある不安への具体的な解決策も紹介します。
何歳でも挑戦できる!クラウドファンディング事例
クラウドファンディングなんて、若い人にしかできない。
そんな風に思っていませんか?クラウドファンディングを実行するのに、年齢も性別も関係ありません。
ここでは、定年後の新しい挑戦や還暦から新店舗オープンという、2人の60代実行者によるプロジェクト事例をご紹介します。
定年後に一念発起した児童支援施設への挑戦!
実行者の⼭極 孝司さんは、60歳を機に定年し郷里の滋賀県でシニア起業。社会と地域の両方へ貢献したいという想いから企業コンサルティングの傍ら、福祉施設でも勤務し、児童療育の現場を学んでこられました。
困っている人や助けを必要としている人がいれば、手を貸したり、協力していくことで、自分も他人も幸せになりたい、と考えています-会社HP「ごあいさつ」より抜粋
2024年夏に実行したクラウドファンディングでは、同県彦根市での児童発達支援施設開業に伴う資金調達を目的にされ、199人の支援者から111万もの支援が集まりました。
シニア起業を考えていらっしゃる方には、山際さんのブログをぜひご一読ください。
還暦で僧侶兼バーテンダーとして人生の集大成を実現!
こちらのプロジェクトは、還暦を機に2店舗目の会員制バーを開店しようとする、修験道の僧侶であり会社経営者の進 龍圓(しん りゅうえん)さんが実行されています。
地元北九州で水商売暦35年という俗世の経験と、50代に仏門を叩き仏の道を生きる現役僧侶という肩書。
この2つを活かすために、人生の集大成としてのお店をつくりたい。
どこか少しでも迷いがあったり、悩みがあったり、無意識に疲れていたり、、そんな心身を包み込むのがBARカウンターです。
飛び続ける鳥が羽を休める止まり木のように、人はBARで魂を休めるのです。
まさにBARとお寺の役割は実は酷似しているし、お坊さんとバーテンダーの役割も似ているのです。
“テンダー”とは”世話人”の意味があります。私などが皆さまのお世話を、、などと傲慢、僭越ではありますが、それでも誰よりも欲にボケ、欲を知り、されど欲から少しは抜け出せた私ならではの役目も今なら果たせるのではなかろうかと思うのです。~クラウドファンディングプロジェクトページより抜粋~
そんな挑戦に対し、80人以上の支援者から100万円を超える支援が寄せられています。
なぜ、定年後にクラウドファンディングなのか?
人生100年時代。そう言われてから、周りの60代以上の人を見ると、高齢者と呼ぶにはちょっとまだ早いような人たちもたくさんいます。
70代の現役ロックシンガーや、80代のファッションモデル。プロの世界だけに限らず、日頃会っている人たちの中にも、年齢を感じさせない見た目や活動的な60代以上の人が、昔より増えている印象があります。
定年後にクラウドファンディングをする人が増えている現状について、シニア世代人口のこと、年齢ではなくライフステージの重要性、シニア世代の強みという3つから詳しく見ていきましょう。
シニア起業が増えている現状
日本に限らず、多くの国で平均寿命が延び、人口高齢化が今後数十年続くとみられています。
2020年時点での日本国内の世代別人口比率は以下の通りです。
15歳未満人口:11.9%
15〜64歳人口:59.5%
65歳以上人口:28.6%
この人口構成から、日本の高齢化が進んでいることが分かります。特に、65歳以上の人口比率が28.6%に達しており、世界で最も高い水準となっています。同じ2020年の時点で、アメリカでは、65歳以上の人口が全人口の17%でした。
アメリカのユーイング・マリオン・カウフマン財団が2016年にアメリカ国内のスタートアップを調査した結果、新しく起業する人の25%、全体の1/4が55~64歳であるというデータがあります。また、2018年のアメリカ国内の中小企業統計によると、経営者に最も多い年齢は50代であるというデータもあります。
世界的にも人口の高齢化にともない、ライフスタイルや働き方の変化が起き、シニア起業やシニア経営者は増加しているのです。
人生は年齢ではなくライフステージで考える
クラウドファンディングを活用することで、自分らしい人生を年齢を関係なく選び、それぞれのステージを生きることが今後、重要だと考えられます。
2024年12月に日本語訳が出版されたこの本は、これまでの「定年=引退」という人生モデルではなく、「人生はライフステージで考える」という新しい人生モデルについて、詳しく紹介されています。
同じ年代であっても、健康状態や経済状況によって、個人差が起きている。つまり、何をする場面にいるかというライフステージが、それぞれに違っているのです。
これは、多くの企業が意識し始めている事実です。上記の本では、NIKE の高年齢アスリート向け戦略などの具体例を挙げ、年齢に関係なく、趣味や仕事を楽しむさまざまなライフステージを生きる人が今後も増えていくことを示唆しています。
クラウドファンディングを活用することは、いくつになってもやりたいことに挑戦する社会や文化をつくることでもあるのです。
シニアが持つ「強み」を活かす
クラウドファンディングには、シニア世代が持つ「強み」が活きるのです。その強みとは、以下が挙げられます。
- 長年の経験や技術がある
- 人生経験を活かした共感を呼ぶストーリーが作れる
- 地域とのつながりがある
これらは、50代以上の経営者が持つ強みと同じです。この強みを活かすことで、クラウドファンディングの本質を上手く活用できます。
クラウドファンディングの本質は、お金と応援してくれる人を同時に集めることが出来ることです。
定年後にクラウドファンディングを活用することは、起業だけでなく、本当にやりたいことを始める手段として、とても有益なのです。
シニア世代のクラウドファンディングに対するよくある不安と解決策
年齢に関係なく、クラウドファンディングに対する不安はつきものです。その中でも、特に50代以上の人が感じる不安について、解決策を交えて取り上げてみましょう。
「年齢的に遅すぎるのでは?」という年齢に対する不安と解決策
クラウドファンディングの成功に、年齢は関係ありません。むしろ強みになる場合もあります。全体のプロジェクト傾向から見ても、60代、70代の方のプロジェクト実行数や成功事例は年々増加しています。
技術面での経験や、これまで積み重ねてこられた生きた知恵を活かしたプロジェクトが若い世代から支持されています。
具体的な解決策としては、身近にいる若い世代に協力をしてもらうことです。自分とは違う価値観を持つ友人や仲間がいることで、考えもつかなかった視点や前向きな姿勢をもてるようになります。
「IT知識が不安…」というパソコン操作面での不安と解決策
クラウドファンディングの実行には、IT知識がなくても問題ありません。基本的なスマートフォン操作ができれば大丈夫です。
具体的な解決策としては、プロジェクトページの作成を得意な人に依頼することです。専門家に頼まなくても、パソコンに強い友人や知人、家族に頼むことで、応援してくれる人を増やし周りを巻き込んでいくという相乗効果もあります。
また、各プラットフォームには専門スタッフによるサポート体制があります。有料無料どちらでもサポートを活用することで、不安やストレスを解消できます。
「支援が集まるか不安」という失敗に対する不安と解説策
クラウドファンディングに挑戦するとき、実行者の誰もが「支援されなかったらどうしよう」という不安を抱えています。挑戦することには、勇気がいるものです。
しかし、いざ、プロジェクトが公開されると、支援してくれる人への感謝のほうが大きくなっていきます。
クラウドファンディングは準備と情報発信を適切に行えば、年齢に関係なく支援は集まります。プロジェクトに関する告知も、SNS だけではなく、直接口頭で話すことや手紙、電話などを使えば大丈夫です。
具体的な解決策は、応援してくれる人をある程度集めてから、クラウドファンディングに挑戦するという方法です。何かを紹介するのが得意な人が身近にいれば、その人に協力して人集めしてもらうことも良いでしょう。
【基本】クラウドファンディングの始め方4ステップ&注意点
クラウドファンディングに挑戦するためには、準備を順番通りに進めていくことが大切です。ここでは、簡単に4つのステップと注意点についてまとめています。
ステップ1:アイデアを明確にする
あなたがクラウドファンディングに挑戦する目的は、なんのためでしょうか?どんなことを実現したいですか?
以下の4つを、誰もがわかるように言葉で書き出してみましょう。
- やりたいことは何か?
- 必要な金額は?
- 誰に価値を提供できるか?
- どんなストーリーで伝えるか?
この4つがはっきりと説明できれば、告知活動がスムーズにできます。
ステップ2:プラットフォームを選ぶ
クラウドファンディングに挑戦する理由や目的をはっきりとさせられたら、次は、プラットフォームを選びます。
プラットフォームというのは、クラウドファンディングを実行する上で、さまざまな役割を担当してくれるインターネット上のサービスのことです。
実行者は、プラットフォームが運営するインターネット上のサイトと呼ばれるページへ登録し、自分のプロジェクトを掲載します。
掲載されたプロジェクトページを見た人が、実行者へ共感や応援したいと感じたら、プラットフォームを経由して支援金を支払います。
支払われた支援金はプラットフォーム運営会社によって一時的に全額取りまとめられます。
支援募集期間の終了後、集まった支援金の総額からプラットフォーム利用手数料が差し引かれて、残額が実行者へ入金されます。
主要プラットフォームの特徴は以下の通りです。
- CAMPFIRE
– 特徴:幅広い分野に対応、初心者向け
– 強み:操作がシンプル、サポート体制充実
– 手数料:支援総額の17%+消費税 - Makuake
– 特徴:物販・製品開発向き
– 強み:メディア露出が期待できる
– 手数料:支援総額の20%+消費税 - READYFOR
– 特徴:社会貢献系活動に強い
– 強み:寄付型や継続寄付の実例が多い
– 手数料:支援総額の14%+消費税
国内の主要プラットフォーム5社については、別の記事でもまとめています。
ステップ3:魅力的なプロジェクトページを作る
どのプラットフォームで支援を募集するかを決めたら、プロジェクトページを作ります。
プロジェクトページとはどんな役割があるか
プロジェクトページとは、誰が、何のために、クラウドファンディングを実行するのかを支援者へ伝える情報と支援を受け付ける窓口となるページです。
ページには、プロジェクトを実行する人がどんなことをしているかという自己紹介やクラウドファンディングを実行する目的、支援をした見返りに何を受け取れるか、といった情報が誰が見てもわかるように表示されています。
支援者は、プロジェクトページを見て、プロジェクトの目的や実行者への共感をして上で、見返り品となるリターンから希望するものを選び、決済をおこなうことで、支援が成立します。
クラウドファンディングには、All-in形式とAll-or-Nothing形式とよばれる、2通りの形式があります。プロジェクトページを作るときに、どちらかの形式を選択します。
目標とする金額を集められなければ、プロジェクトは実行しない。
プラットフォームによっては、そういう形も選べます。
プロジェクトページに必要な4つの共感ポイント
プロジェクトページを作成する上で、必ず必要なものが次の4つです。
- あなたの想いを伝える写真や動画
- 具体的な計画と内容
- 明確な資金の使い道
- 支援者が魅力的だと感じるリターン
この4つが、支援者の共感ポイントです。プロジェクトページを閲覧する人は、大体この4つからの印象で支援をするかしないかを決めます。
ステップ4:効果的な情報発信と告知活動
クラウドファンディングを挑戦すると決めたら、いろんな人にクラウドファンディングについて伝えていくことが大切です。準備を始めた時点で、身の回りの人に協力をしてもらえるかどうか、打診していきましょう。
クラウドファンディングの告知は、以下の4つの手段で行います。
- 家族や友人への直接的な告知
- 地域コミュニティでの告知
- SNSでの定期的な活動報告
- 支援者への丁寧なコミュニケーション
クラウドファンディングを実行して、支援してくれるのは、8割以上が友人知人やその紹介者です。全く知らない人からの支援はほぼ、ありません。何らかの形で、実行者を知っている人が支援をしてくれるのです。
ですから、告知活動で最も重要なのは、「今度、こんな事を挑戦しようと思うんだけど、ちょっとだけ話を聞いてくれる?」と頼める人が年齢関係なくいること。どんなにネット社会になっても、口コミに勝る告知活動はありません。デジタルが主流な今だからこそ、直接会って頼みごとをするのも、大切なコミュニケーションです。
SNS が得意な人は、SNS を活用したクラウドファンディングの告知のやり方について解説したこちらの記事も併せてご覧ください。
失敗を防ぐための注意点
クラウドファンディングを実行する上で、小さな失敗はどうしても起きます。ですが、注意さえしておけば、準備を進める段階で未然に防げる失敗もいくつかあります。
失敗を防ぎ、ミスやトラブルを最小限にするために注意すべき点は、次の4つです。
- 準備期間は最低1ヶ月確保する
- 目標金額は現実的な設定に
- リターンの配送コストも計算に入れる
- 支援者とのコミュニケーションを大切に
身近に、クラウドファンディングの実行経験者がいれば、いろいろ質問してアドバイスをもらうこともお勧めです。
知っておきたいクラウドファンディングでの実務ポイント
クラウドファンディングを実行するには、さまざまな事務作業や実務があります。
ここでは、税金と手数料について解説します。
税金について
クラウドファンディングでの収入は、原則として課税対象になります。確定申告が必要ですので、事前に税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。
クラウドファンディングの実行で発生した手数料や運送費などは、経費として計上ができます。どの項目として認められるのかを把握しておくことも、確定申告に役立ちます。
クラウドファンディングと税金については、以下の記事でも詳しく解説しております。確定申告についてもこちらでご確認ください。
プラットフォームに支払う手数料について
クラウドファンディングを実行するときに支払う費用として、プラットフォームの利用手数料があります。プラットフォームによって、支援総額に対する手数料の比率は異なります。
だいたい、集まった資金に対して、10~20%の手数料と消費税が差し引かれます。
手数料については、以下の記事でプロットフォームごとにまとめて紹介しています。
まとめ 定年後のライフステージにクラウドファンディングを有効活用する
シニア世代が定年後のライフステージを設計するときに、クラウドファンディングを活用することは、これから当たり前になっていくことでしょう。
インターネットが世の中に普及し始めたのは、1990年代後半です。そのころ、インターネットにいち早く飛びついたのは、当時ホームページを作ったり、携帯電話を持っていた人たち。
つまり、今の50代から60代前半の人たちは、インターネット普及期からソーシャルメディア全盛期にかけての時代の変化をリアルタイムで経験しているのです。
クラウドファンディングもまさに、今、全盛期を迎えようとしているインターネットを活用した新しい資金調達手段です。インターネット普及期を体験し、その便利さを実感されたシニア世代の皆さんには、きっと馴染みやすいのではないでしょうか?
クラウドファンディングを活用することで、地域のイベント実施や災害時の物品寄付などもできます。自分の人生設計にクラウドファンディングを活用することもできますし、地域活性のために若い世代と協力して地元のためにプロジェクトを立ち上げることもできます。
自然災害が起きたときにも、クラウドファンディングを通じて、支援を届けたり受け取ることもできます。
クラウドファンディングは、お金と人を同時に集める仕組みです。年齢関係なくクラウドファンディングを活用する人が増えていくことで、目標を掲げ挑戦しやすい社会へと進化していくことでしょう。
あなたの長年の経験と情熱は、必ず誰かの支援につながります。
まずは小さな一歩から、新しい挑戦を始めてみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
シニア世代のクラウドファンディングをスバキリ商店は全力応援します
今回紹介した、2人の60代実行者さんのプロジェクトは、スバキリ商店が全面的にプロジェクトをサポートさせていただきました。
スバキリ商店は、累計プロデュース件数1300件を超える、豊富な実績と経験があります。起業や独立、地域活性や社会貢献まで、さまざまな人の挑戦を全力で応援してまいりました。
電子書籍で、クラウドファンディングについての入門書も出版しております。
スバキリ商店代表の小西は、新聞やTVにも取り上げており、2024年はホリエモンこと、堀江貴文さんのYouTubeでも事業のプレゼンテーションをさせていただきました。
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