今回よりはじまる、新企画『対談!スバキリ一味』。
チャレンジする人を応援するアーティスト集団「スバキリ一味」の“中の人たち”50人超のなかから、毎回テーマに合わせた2人で対談を繰り広げます。
第1回の今回は、スバキリ一味団長の小西光治さんと、ライターのかなっぺこと、上原佳奈さんによる対談。テーマは「自分らしいビジネスの見つけ方」です。
これまでにいくつかのビジネスにチャレンジし、現在「クラウドファンディングプロデュース」というビジネスで「シンボルになる」ことを目標に掲げ、日々前進を続ける小西さん。
そして今回小西さんの対談相手をつとめるかなっぺは、学生の頃に決めた「自由に生きる」をテーマに、さまざまな働き方を試行錯誤し、現在はライター業を中心に活動しています。
規模感は違うものの、それぞれ「ビジネス」に向き合ってきたふたりは、どのように今の自分のビジネスにたどりつき、これからどこへ向かっていくのでしょうか。
これまでに手掛けてきたビジネスは?
聞き手:これまでお二人はどのようなビジネスをされてきたのでしょうか?
僕は大学を卒業後、HISのグループ会社の証券会社でファンド運用とか、現金調達とかの仕事を社員としてやっていました。
29歳のときに独立、自分でファンドを作り、20~30億を集めて運用していたのですが……はじめた瞬間にリーマンショックが起こり、倒産。それで2000万円の借金を背負ってしまい、自分の実力に関係ないところでつぶれてしまうビジネスはダメだな、とファンド業界から足を洗いました。
2000万!どうやって返済したんですか?
いろんなことをしましたね。深夜のガソリンスタンドで、クレジットカードの勧誘をしたりして、毎月40万返済していました。ビジネスというより、効率のいい稼ぎ方を探して、手あたり次第何でもやっていたって感じですね。
5年間1日も休まず働いて返済し終わったあとは燃え尽きて、そこから5年くらい世捨て人みたいに引きこもり、アニメを見たりゲームしたりの毎日でした。もともと住んでいた持ち家をシェアハウスにして、生活するのに最低限の収入はあったので……。
持ち家を売って、すぐに借金返済に充てようとは思わなかったのですか?
売却しても、ローンよりマイナスになるから、それよりも5~10年の長い目で見た収支計算をして貸すことを選びました。僕、お金の計算得意なんですよ(笑)。土地を担保にお金を借りて、ビジネスに活かすこともできます。民泊をやろうかと思ったのですが、当時民泊の許可を取れなかったので、シェアハウスにしました。
さすがですね!
そんな隠居生活から、どうやって今に至ったんですか?
キングコングの西野さんの本を読んで、自分がどこまでいけるかのチャレンジをしたくなったんですよね。自分にできることはなんだろう?と思って切り絵でビジネスを立ち上げてみたんです。切り絵をやっているうちに、いろんな人と出会って、それが今のスバキリ一味の元になっていますね。
切り絵作家だったんですけど、クラウドファンディングのことを教えてくださいという相談ばかり受けるようになって、需要があると感じてリサーチしてみると、今後も伸びそうだと思ったので、みんなでクラウドファンディングを手伝えるようになろうぜ! ってなって、今に至ります。
なるほど……。私の場合は、やってきたことがいっぱいありすぎです。
バナナを大量に買ってきて、夜の繁華街で酔っぱらってるおじさんたちに売るとか、テキーラを売るとか。オーダースーツのフィッターもしたし、出張整体みたいなこともしようとしましたね。「せどり」もやったし、沖縄の塩を仕入れて売るのもやりました。
路上でバナナって、寅さんやん!
寅さん(笑)。会社員をしながら、副業でいろいろな商売をやってみたんです。
大学を卒業する少し前に出会った独立系のファイナンシャルプランナーさんが、「どういう人生を送りたいの?」って聞いてくれたのがきっかけで。
私は「行きたいところに行ったり、会いたい人に会いに行ける人生がいい」と思って、そうなると自分で商売しないとって思ったんですよね。でもいきなり自分の商売で食べていくのは難しそうだから、副業として育てていこうとしていました。
ビジネスのはじめ方、終わり方
聞き手:どうして、そのビジネスをはじめようと思ったのですか?
当時はそんなに深くは考えてなかったのですが…せどりの例で言うと、「オンラインでできるビジネスをやりたいな」と漠然と思っていたところに、知り合いの人がやっているのを見かけたから、という感じでしたね。
それでコンサルのような方にやり方を教えてもらって、実際に少しやってみて、いけそうだなとはじめました。
僕は、まずその市場分析をして、そこでだったら絶対儲かるな、というのが分かるからはじめる、という感じです。僕が参入するのは、好きだからというわけじゃなくて、そこでやったら儲かるから。
市場規模が大きくなっているとか、他社はどういうものを売っているのか、だったら自分はどういうものを売っていけばいいのか、というあたりを考えて参入されているんですね。
切り絵でも全然やっていけるなという感覚はあったんですけど、クラウドファンディングでこういう風にやれば利益が出るなというのが分かったので、シフトした感じですね。
飲食店なんか特に、好きだからやってみたけど、すぐにお店つぶしちゃったという方多いですね。そういう方は、周りの状況を調査して、その場所で出店したら、どれくらいの利益が出るのかって調査をしていないことが多いです。
ビジネスとしてはじめるんだったら、ちゃんと調査して、プラスになるという確信を持ってスタートした方がいいと思います。
私は若い頃は、ご縁とか、タイミングとか、面白そうだな、とか、わくわくに従ってはじめることが多かったですね。
ここのところは、自分がかなえたい生き方が、その働き方でできるか?という点を大切にしてきた気がします。
事前に調査をするという視点はなかったなぁ!
小西さんは、ファンドの会社をやっていたときから、そういう視点を持ってらっしゃったんですか?
そうですね。ファンドは投資をするわけですから、その会社のこと、めちゃめちゃ調べるんですよ。投資したお金が戻ってこない可能性もあるわけですからね。その会社の5年後はどうなっているか、今投資したらどれくらいになるかというビジョンを持ってないと。
今は、クラウドファンディングのシンボルになることを目標に、人生でいちばん貢献している感じはありますけど、個人事業主として、家族を食べさせていくくらいの規模なら、僕は何をやっても結果を出せる自信はあります。
さすがですね!
あと「はじめ方」で思うのは、とりあえずやってみないと分からない、ってこと。
それは本当にそう。はじめ方を考えてたら、はじめられないんですよね。マラソンで成功している人って、どうやったらタイムが伸びるだろうとか考える前に、まず走ってみますよね。走りながら、こうやったら速くなるとか、体力が落ちるとか分かってくるはずです。ビジネスもそう。
やる前の「どうしよう」みたいな期間が長いより、やってたらそのうち見つかるんじゃないかと思いますね。どんどんこれじゃない、これじゃない、って分かってくる。
僕はいろんな人にビジネスの相談を受けますけど、「将来こんなことをやりたい」って言っていた人に、1年後話を聞いたら、同じことを話している人は結構多いんです。1年間そうだったら、いつまで経ってもビジネスははじめられないですね。
やっぱりどこかでスタートすることが必要で、それにプラス、事前に調査しておけば鬼に金棒です。何かをスタートできるという時点で、90%の人には勝っているんで。
終わり方、の面ではどうですか?私は、やっているうちに、自分に合わないなと感じたり、興味の移ろいを感じて辞めたりしてきましたが、小西さんがひとつのビジネスを辞めるときってどんなときでしたか?
切り絵の場合は、今やっていることよりクラウドファンディングのほうが儲かるから、あっさりと終わりましたね(笑)。僕には好き嫌いは関係ないです。別にクラウドファンディング自体が好きなわけではないですしね。
縁起でもないですが、小西さんが、クラウドファンディングプロデュースを辞めるときって、どんなときだと思いますか?
え~CAMPFIREに30億円で売ってくださいって言われたら、売っちゃうかもしれませんね(笑)。僕は別にクラウドファンディングにこだわっているわけじゃないけど、今だったら、CAMPFIREの力を借りずに、ひょっとしたらクラウドファンディングのシンボルになれるかも、という可能性を信じてやってるんです。
はじめから終わりまで、全部調査と利益なんですね(笑)。想像はしていましたけど、小西さんはやっぱり理論的で、私の真逆ですね。
「クラウドファンディングのシンボルになりたい」というのは、「やるからにはいちばんになりたい」というのがモチベーションになるってことですか?
利益を出すだけだったら、今のままのスバキリ一味を続けていたら十分だと思いますが、YouTube=HIKAKINさん、みたいなポジションの人がいないから、そこを取りにいくのは面白いと思ったんですよね。
ただ、どうなったらクラウドファンディングのシンボルになれるのか、まだ見えていないところはありますね。今プラットフォームをつくろうとしていますが、シンボルになるのとはイコールではない気もしていて模索中ですね。
自分らしさとビジネスの関係
聞き手:お二人は、ビジネスにおいて、「自分らしさ」って意識されていますか?
僕らしさってよく分からないけど……意識しているのは、自分をオープンにすることですね。
例えば、僕はお金が大好きなんですよ。でも、以前はそんなことを言ったら意地汚いと印象を持たれるかなと思って、そんな発信はしてなかったんですよね。
でも、友だちのインフルエンサーに「小西さんはお金のこと発信したら面白いと思う」って言われて、ブログで書きはじめたんです。そしたら、その話を聞きたいと言われて、「お金の料理教室」になり、いろんな人に呼んでもらって自分のビジネスにつながっていった感じですね。
へぇ!勇気はいりませんでしたか?
はじめは勇気がいりましたけど、取り繕うのをやめて自分らしくいたら、僕はこういう人だって分かってくれている人だけが付き合い続けてくれて、それが嫌なら離れていくから、楽ですよね。
その方がビジネスはうまくいくと思います。
私も、自分を偽ってまで、仕事をしたくないなと思って転職したことがあります。例えば……お金の勉強をして、生命保険が必要なのは限られた場合だと感じたときに、それを自分が人に売ることはできないなと思ったんです。
ビジネスに限らずですけど、自分がしんどいと思うことは続かないですね。
僕も嫌なことはやらないですね。でも別に好きなことを仕事にしようと思ったこともない。よく「好きなことで稼ぐ」みたいなキャッチコピーがありますけど、あれは間違いですね。
好きなことでちゃんとお客さんをつかまえたら、稼げるってことですか?
そうですね。YouTubeで上位の人たちだって、ちゃんとお客さまニーズに応えてるんですよ。
ここだ! と思うところがあったら全力で取り組んだらいいと思うんです。そういう感覚になったこと、ありません?釣りで言うと、ピクピク、あ!きた~!グルグル全力で巻け~!みたいなところがビジネスにはあるんですよ。
クラウドファンディングプロデュースをはじめて2ヵ月くらいのとき、1カ月で10件ご依頼をいただきました。あ、これはいけるなって感じて、切り絵とか、民泊をやる予定も全部やめて、クラウドファンディングに集中したんです。
ビジネスと時代の関係性
聞き手:お二人はビジネスを考える際に「時代」を意識してきましたか?
個人事業主として、お客さんが20人くらいで十分なビジネスをやっていくのだったら、別に時代とか関係ないと思いますね。どこまで広げたいかによるんじゃないですか。
僕は市場調査とか、トレンドを見るのが好きなので、それは生かすようにはしています。
それでいうと、クラウドファンディングはとても時代にあったものですよね。
そう、アメリカなどでは、今や銀行がクラウドファンディングを薦めるようになっているんです。新しい商品をつくりました、これで融資を受けたいです、って銀行に行く、すると銀行から「先にクラウドファンディングをやってください」って言われるんです。
クラウドファンディングで300万円集まったら、1000万円融資しても大丈夫だね、という判断を銀行がするようになっています。つまり、アメリカでは、クラウドファンディングの結果が銀行の担保になる時代になっているんですよ。
面白いですね~!わくわくしますね!
金融の業界って、大体アメリカで起きたことが5年から10年くらい遅れて日本に入ってくるので、今後日本の銀行も、間違いなくクラウドファンディングを先にやってくださいって言いだします。
そうすると、今後ビジネスをする人は必ずクラウドファンディングの知識を持っておかないといけなくなりますよね。そんなときにスバキリがクラウドファンディングのシンボルになっていたら面白いことになると思います。
自分らしいビジネスをするんだったら、ファンとか、協力や賛同して応援してくれる人は多いほうがいいと、私は思います。
私はうねうねといろんなことをやってきましたけど、ビジネスに限らずですが、都度こういう風にやってみたらいいんじゃないって手を差し伸べてくれる人がいて、ちょっとずつ自分が理想としている生活スタイルに近づいているような気がするんですよね。
一昔前に比べたら、本当に挑戦しやすい社会になったと思いますね。Zoomが普及して、交通費や人件費を削ったかたちでサービスを提供できるようになりましたからね。
「チャレンジする人を応援する」がビジネスとして成り立つし、そのスバキリ一味の理念に、クラウドファンディングプロデュースはぴったりなんですよね。いちばん利益もでるし。
応援される人間であることって大切ですよね。
あれ?大丈夫?僕、ひとりでしゃべりすぎたかな?ビジネスとかお金の話大好きなんで、2時間くらい余裕でしゃべりつづけられますね。
とっても勉強になりました!ありがとうございました!
まとめ
・ビジネスをするなら、はじめる前に市場調査をしよう
・うじうじ悩んでばかりいないで、まず走りだそう
・自分らしい発信をしていたら、ビジネスにつながることもある=めっちゃラク!
・どれくらいの規模でビジネスをしたいかによって「時代」を加味する塩梅は変わる
・小西さんは30億円でなら、スバキリ一味を売るらしい!