起業・副業が一般化してきている現代——。
「ホームページ、ECサイトを作ります!」
「パンフレットやカタログ制作はお任せください!」
という発信をしているWebデザイナーは多い。そんな中、Webデザイナーのマサダさんは一線を画す。マサダさんの強みは、「店舗経営者の集客・採用の課題をワンストップで解消できるデザイナーであること」だ。
なぜそう言えるのかというと、メガネ・サングラスなどの開発・販売を行っている株式会社オンデーズで10年間勤務をしてきた経験があるからだ。(現在のオンデーズの事業規模は、日本国内に約240店舗、シンガポール、台湾、インドなど世界13の国・地区に530店舗以上)
年々成長し続けるオンデーズだが、マサダさんが入社した2007年はちょうど「V字」の谷だったという。学生時代に経営やマーケティングを学んだこともない中で店長として入社。集客と採用の壁を乗り越えながら店舗の売上を2倍に伸ばし、全国一位にもなった。その実績を買われ、中国・四国地区のスーパーバイザーとして10〜20億のエリアの店舗の指導にも携わっていた。
『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』の著者でもある田中修治社長の元で、企業理念の「関わる人が豊かになれる会社」を胸に、オンデーズの再生と発展に貢献。
マサダ:「入社したばかりの頃は、泥臭く街頭や近隣でチラシを配り続けていました。毎月1万枚は配っていたのを覚えています。アナログな取り組みをしながらWebでも発信して。スキルは現場で必要に駆られて身につけていきましたね」
“マーケティング”
“マネジメント”
という言葉から、【論理派】【クール】という人柄をイメージするかもしれない。しかし、マサダさんはそういった冷たいタイプではない。インタビュー中、ニコリと笑顔で楽しく話してくれた。論理・感情のバランスがとれて調和している人、それがマサダさんの人柄だ。
マサダ:「店舗ビジネス経営者の気持ちがすごくわかるんです。集客も採用もしないといけないし、成果に結びつけないといけない。『ホームページができました』『こんなデザインできました』と納品して終わるんじゃなくて、寄り添いながらしっかり課題を解消したい。そう思って今はフリーのWebデザイナーとして活動しています」
マサダさんの
ポートフォリオ
集客・採用で悩む店舗経営者の課題を”ワンストップ”で解消できるWebデザイナー、マサダさんの人生ストーリーに迫ってみた。
みんなで豊かになっていきたい
インタビューを進めていくと、その華やかな実績の裏には影もあった。オンデーズに入社してから常に順風満帆ではなかった。特に悩んだのは、組織マネジメントだ。
マサダ:オンデーズ入社から2年目までは、スタッフにキツい接し方をしちゃってました。なぜかというと、入社するまでは夢を追いかけてバンドをしていたんですけど、それがうまくいかなかったこともあり、“ビジネスでは成功したい”と気合いが入りすぎていたからです。「もっと頑張らないと!」って自分に言うだけならいいんですけど、スタッフにも言い過ぎていました。それが原因でみんなのモチベーションも売上も上がっていかなかったです。
自分一人で頑張っていても、ゴールには辿り着けない。
そう痛感していた入社3年目に心に響いたのが、オンデーズの企業理念である「関わる人が豊かになれる会社」だった。スタッフと向き合い、それぞれの好きなことや得意なこと、苦手なことをもう一度理解し直した。個性を生かし合い「みんなが豊かになれるマネジメント」に舵をきったことで、成果が出ていったという。
マサダ:スタッフが出世したり、役職についたり、給料が増えたりするのを直に見ることになって、すごく嬉しかったです。この価値観は今でも心に根付いていて、自分だけが儲かるとかじゃなく、取引先もお客様もみんなが儲かったり、喜びが広がるようにしたいです。
フリーのWebデザイナーになるまで
30代前半になった頃から「いつか独立したい」と思うようになった。どんなビジネスをするか考えた時、「メガネ」などの在庫を抱えるものではなく、IT業界やWebデザイナーの仕事に興味を惹かれた。
マサダ:独学でプログラミングを勉強していたこともあったし、店舗の集客・採用をしていたことから、Webデザイナーだ!!って思いました。
その後、デザインの修行をするためにWebデザインの制作会社に転職。ただ、そこで任されたのは営業やディレクターとしての仕事だった。前職のマサダさんの経歴からすると仕方ないのかもしれない。それでも、仕事が終わった後や、休みの日には独学でデザイン制作を続けスキルを磨き続けた。
そうして、2023年1月にフリーのWebデザイナーとして独立。
とはいえ、独立時の取引先は0だった。その後、独自の営業力や、周囲からの案件の紹介もいただけたことで案件を獲得していけたという。
スバキリ一味との出会い
独立し5ヶ月が経過していた2023年5月のある日のことだった。
マサダさんは、クラウドファンディングの制作代行をしているスバキリ一味が、サムネイルのデザイナーを募集していることを知る。
マサダ:「サムネイルの制作って面白そう!」と思って応募しました。それまでチラシやパンフレットのデザインをすることが多かったんですけど、サムネイルはチラシとかよりもコンパクトに写真やデザイン、キャッチコピーで心をつかむもの。読者・支援者の”入口”として重要な部分だし、チャレンジしたいと思いました。
その後、スバキリ一味でサムネイル制作の研修がスタート。実際に一味の中で活動してみると、プロジェクトの案件数やメンバーの多さに驚いた。案件数が多い中でも、メンバー同士で配慮しあって活動していることが好印象だったという。
マサダ:研修中に3つのクラウドファンディングプロジェクトのサムネイルを作りました。サムネイルを仕上げた後に、フィードバックをいただけるんですけど、的確だし言い方が優しい!傷つかずに技術もアップできました。チームみんなでプロジェクトを作り上げていてすごいなー!という印象を持ちました。
「みんなで豊かに」という価値観を持つマサダさんにとって、クラウドファンディングは刺さった。広告・マーケティングの資金を考える際、補助金を申請しようとする人もいるが、クラウドファンディングで資金調達とファン・顧客とつながれる世界観があったのも新鮮だったという。
マサダ:まだまだ世の中にはクラウドファンディングっていう選択肢を知らない人もいますよね。営業スキルを生かして、一味の中で営業の役割も持たせてもらえたら嬉しいなと思っています。引き続き、よろしくお願いします!
クラウドファンディングプロデュース件数が1000件を超え、マサダさんという新メンバーを迎えたスバキリ一味。これからも「チャレンジャーを応援するアーティスト集団」としての挑戦は続く——。
取材・執筆ークラウドファンディングライターHARU