クラウドファンディングは、クリエイターの才能を世の中へ送り出し、創作活動や表現活動でのマネタイズを実現する最強の武器となり得ます。
創作活動や表現活動でのクラウドファンディング成功事例を紹介し、クリエイターがクラウドファンディング挑戦に対して持つ2つの不安についても、Q&A形式で具体的なアドバイスを回答します。
クリエイターが活動を続けるには、お金と人と場所が必要
クリエイターが創作活動や表現活動に専念するには、3つ必要なものがあります。それは、お金と人と場所です。何かを制作するには材料費が必要ですし、作品を見たり聞いたりする観客や作品を展示公開する場所も必要です。
クラウドファンディングを実行すると、その3つを一度に手に入れる可能性があります。
ゲームや映画といった大規模なプロジェクトから、自主イベントや個展の開催、自費出版まで、あらゆる表現活動がクラウドファンディングで実現されています。
クラウドファンディングを活用して、制作費や活動費、応援してくれるファン、そして作品を展示公開する場を一度に手に入れられるプロジェクトに挑戦する。クリエイターの表現活動をレベルアップする上で、クラウドファンディングを実行することは、一度はやってみる価値がある手段なのです。
クリエイターの悩み1:活動資金を集めたい
創作活動や表現活動を続けていくには、現実問題として活動資金が必要です。ハンドメイド系の活動なら材料費、美術系なら画材類、音楽活動なら練習スタジオのレンタル費用や楽器のメンテナンス代。誰かに自分の表現活動を見てもらおうと思えば、ネット上だけでなく個展やライブなどのリアルタイムイベントへの参加も必要。
そうなると、自分の創作したものをマネタイズ、つまりお金と交換できる仕組みが必要になります。
解決案1.自分の活動を発表する機会をクラウドファンディングでつくる
クラウドファンディングとクリエイターの表現活動は、とても相性が良い組み合わせです。事実、映画やゲーム、出版などはクラウドファンディングを活用して制作費を集めることが当たり前になってきています。
最初から大きなチャレンジをする必要はありません。むしろ高すぎる目標額は支援者を集めにくく、成功を遠ざけます。
小規模のイベントを開催する。音源や動画を予約販売する。10ページ程度の小冊子を制作する。
あと少し、資金があれば叶えられるようなことから小さく試してみることも、クラウドファンディングを活用する上で重要な挑戦です。
その場合には、プロジェクトに本当に必要な最低限の資金を正確に算出しましょう。具体的な目標設定のポイントとしては、以下の必要経費を計算して幾ら必要かを逆算することが重要です。
- 活動に必要な原材料費
- 場所を借りる会場費
- ポスターやチラシ、チケットなどの印刷費
- リターン品の送料
- 予備費(想定外の出費に備える)
クリエイター活動を発表する機会をクラウドファンディングを活用して作ってみることは、今後、本気で創作活動や表現活動を続けていくことができるかの覚悟を決める機会にもなります。
クリエイターの悩み2:活動を応援してくれるファンを増やしたい
創作活動や表現活動を続けるモチベーションは、応援してくれるファンの存在抜きでは上がりません。クラウドファンディングを実行することで、自分の活動を応援してくれるファンとの交流を始めることが出来ます。
クラウドファンディングで自分の活動を応援してくれるファンをつくるには、クリエイターの独創性や個性がはっきりと確立していること、そして信頼関係を築くコミュニケーションが必要となります。
解決案1.創作や表現にかける情熱と個性が最大の武器
応援してくれるファンを増やすには、クリエイター自身の活動への情熱、活動する目的を丁寧に伝えることが重要です。クラウドファンディングを活用することは、単なる資金集めではなく、支援者と想いを共有する旅に誘うというストーリー性が必要になります。
何かを表現し、多くの人から認められるには、その人にしか表現できない独創性や世界観、表現者としての個性が欠かせません。クラウドファンディングでは、その人の持つ活動への情熱や想い、バックグラウンドや人柄などもプロジェクトに注目を集める最大の武器になります。
クラウドファンディングは、支援者との信頼関係を積み上げていくことでファンを増やすことが出来る仕組みです。そのため、スキルの上手さや作品の完成度よりも、「この人を応援したい!」と思えることが重要です。
クリエイター活動への信頼構築のためには、これまでの活動実績や制作工程についての明確な説明、過去の作品の写真やポートフォリオなどを支援者に見てもらい、クリエイターが活動にかける情熱や個性を知ってもらうことから始まるのです。
解決案2. 信頼を得るコミュニケーションを重視
クラウドファンディングを実行すると、支援者とのコミュニケーションが始まります。支援者は、実行者の正直さと誠実さをちゃんと見ています。リアルな進捗報告を行うことで、実行者への信用を高め信頼関係を積み上げていくことが出来るのです。クラウドファンディングを実行することは、支援者との約束をすること。そのためには、プロジェクトに関する小さな情報でも、コツコツ発信していくことが大切です。より、効果的な情報共有として、以下のポイントを押さえましょう。
- プロジェクト公開準備中から毎日1回以上 SNS 近況更新
- 率直でオープンなコミュニケーション
- 感情表現は大げさ気味でもOK
- 具体的な制作状況の共有
- 想定外の遅延は早めに報告
クリエイターとして活動し続けていくには、社会とのコミュニケーションが欠かせません。クラウドファンディングを実行することで、表現者として欠かせない社会やファンとのコミュニケーション力も鍛えられます。
クラウドファンディング実行に対する2つの不安と解決案
クリエイターをはじめ、多くの人がクラウドファンディングに挑戦したくても実行できないのは、2つの不安があるからです。
リターンに対する不安とプラットフォームの選び方に対する不安、2つの不安に対する解決案を紹介します。
1.喜ばれるリターンがわからない
クラウドファンディングに挑戦してみたいけど、リターンってどうやって準備していいかわからない!これは、クリエイターに限らず、クラウドファンディングを実行しようとするときに出てくる、全ての実行者の悩みです。
リターンは、支援の見返りだからこそ、万人受けしようと考える。その視点が、悩みの原因だったりします。
解決案1.オリジナリティと限定品で差別化
リターンは、プロジェクトの目的に関係する内容から選んでいくことが鉄則です。クリエイター活動でのリターンであれば、作品を単なるグッズとして提供するのではなく、あなたならではの特別な体験を提供しましょう。
クラウドファンディングで喜ばれる特別感があるリターンとして、以下のような実例があります。
- クリエイターの直筆サイン入りの作品
- シリアルナンバー付の限定品
- 制作過程の特別映像を支援者限定公開
- 少人数限定の特別イベント
- 世界に1点だけの支援者による特別注文品
クラウドファンディングのリターンは、特別感や貴重な体験を味わえることも重要です。クリエイターの持つオリジナリティ自体が既に、リターンとして価値があるということを理解して、リターン設計を行いましょう。
解決案2.過去事例を参考にする
クラウドファンディングのリターン設計は、成功したプロジェクトを参考にすると真似できるリターンは見つかります。また、過去事例を参考にすると、プロジェクトページの作り方や活動報告の内容など、リターン以外でも参考にできる部分が見つかります。
同じジャンルのクリエイターが実行者のプロジェクトや、自分が支援者として他人のプロジェクトを研究することは、クラウドファンディングを制するためにかなり役に立つ事前準備です。
後ほど、3つ成功事例を紹介しますので、そちらもプロジェクトページの隅々までご覧になってみてください。
リターン設計についての基本的な解説は、以下の記事をご参考ください。
2.どのプラットフォームが正解か、わからない
クラウドファンディングに挑戦する人が、最も悩むベスト3に入るプラットフォームの選び方。知名度だけでなく、クリエーターならではの視点で、おすすめのプラットフォームとその理由を解説します。
解決案1.誰もが知ってるプラットフォームを選ぶ
クラウドファンディングのプラットフォーム選びの王道として、みんなが知っているプラットフォームを選ぶという選択があります。みんなが知っている=一度は聞いたことがある。このネームバリューは、クラウドファンディングの成功に少なからず影響します。ここでは、特にクリエイターがクラウドファンディングを実行する場合のおすすめプラットフォーム4サイトを紹介します。
1. Campfire(キャンプファイヤー)
日本最大のクラウドファンディング総合プラットフォーム。支援者人数累計1000万人以上という数字から、「誰もが知っている」プラットフォームだと言えます。エンターテイメント系プロジェクトは、カテゴリー分けされているだけでなく、手数料的にも特典があることも重要です。アート系プロジェクトにも強く、 月額制のオンラインファンクラブを作成できるため、支援者との継続的なコミュニティ形成や課金システムづくりにも向いています。
2. Makuake(マクアケ)
日本のクラウドファンディング業界で、CAMPFIRE と同じくらい知名度が高いプラットフォームです。「応援購入」という独自の表現で、クラウドファンディングでの商品販売を重視している特徴があります。特に、ものづくり系クリエイターを応援する姿勢があり、革小物やアクセサリーなどの事例が多くあります。Makuake でプロジェクトを実行した商品を販売する EC サイトも運営しています。
3. Kibidango(キビダンゴ)
Kibidango も、クリエイターの活動を応援したいという目的で運営されるクラウドファンディングのプラットフォームです。デジタルツールやガジェット系、ゲーム系のプロジェクト事例が豊富なことが特徴です。「新しい買い物体験を提供する」という理念から、自社ECも運営しています。手数料が10%という点もクリエイターにはありがたいプラットフォームです。
4. MotionGallery(モーションギャラリー)
MotionGallery は、アメリカのプラットフォーム Kickstarterとの提携があるので、海外へのアプローチが可能という強みがあります。和小物など日本独自の技術を用いたクリエイターには、グローバルな活動を目指した支援者づくりに有利です。その他、映画や映像系のプロジェクトにも強く、CAMPFIRE と同様に月額制のコミュニティを作るサービスもあります。
詳しくは、それぞれのプラットフォームから雰囲気やサービス内容を比較してみてください。
解決案2.自分の活動に合ったプラットフォームを選ぶ
音楽活動やハンドメイド系の創作活動では専門のプラットフォームがあります。一つのジャンルに特化、または得意ジャンルがあるプラットフォーム3つを紹介します。
1. Muevo(ミュエボ)
音楽活動に特化したクラウドファンディングが実行できるプラットフォームです。予約販売を前提にしたプロジェクトを実行することもでき、コミュニティサイトや独自メディアなどミュージシャンの登竜門として幅広く活用もできるサービスを実施しています。
2. Creemasprings(クリーマスプリングス)
Creemasprings は、ハンドメイド系クリエイターに特化したクラウドファンディングのプラットフォームです。ハンドメイド系WEBショップで有名なクリーマが運営しています。アクセサリーから、洋服、バッグ、陶芸まで幅広いクリエイターの作品がプロジェクトとして紹介されています。他のプラットフォームと違い、企画を提出して、審査を受けてからのプロジェクト実行という流れになるので、クリエイターの目的によっては、ややハードルが高いプラットフォームかもしれません。
3.Mikosea (ミコシ)
デジタル系のクリエイターや NFT や DAO といった部分に興味ある人には、NFT 型クラウドファンディングプラットフォームの Mikosea もお勧めです。従来の NFT 取引とは違い、現実世界の作品やサービスに NFT を組み合わせ、これまでの NFT ではできなかった商品設計や中長期的なプロジェクトを作り出すことを目的で運営されています。
クラウドファンディングに NFT を組み合わせることで、NFT が持つ唯一無二性をファンとの「仲間のしるし」に出来、クリエイターとファンとの心理的な繋がりを強くするという面白い活用方法が出来るプラットフォームです。
その他にも、クラウドファンディングのプラットフォームはたくさんあります。プラットフォームの手数料とサービス内容を紹介したきじもございますので、そちらもご参考ください。
クリエイター&表現活動のクラウドファンディング成功事例3件を紹介
創作活動や表現活動の活動資金を調達したクラウドファンディングの成功例を3つ紹介します。
映画製作、オペラの上演、そして知る人ぞ知るニッチなアイテムであるシーリングスタンプのプロジェクトです。
アイドル×ホラー映画制作プロジェクト
実行者は、株式会社WALLOP3.0。ライバーやタレントのマネージメントやインターネット放送局を運営している制作会社です。
ありそうでなかった「アイドル×ホラー」という組み合わせが注目を集め、先行上映会や出演者サイン入りの台本など、「映画製作に関われた」という特別感を味わえるリターンがまんべんなく支援されています。
誰でも楽しめる名作オペラ上演プロジェクト
2021年に実行されたオペラ上演のプロジェクトです。
実行者は、東京で音楽教室を運営する、Cantante Lirica 株式会社。日本とイタリアを音楽で繋げる活動をしています。
コロナ禍で舞台などの上演が困難になった状況で、オペラをみんなで楽しみたいとプロジェクトを実施。エキストラ出演できる3万円のリターンなど、このラウドファンディングでしか体験できないリターンを用意することで目標金額を達成しています。
超ニッチなアイテム、シーリングスタンププロジェクト
最後は、知る人ぞ知る超ニッチなマニアックアイテム、オリジナルシーリングスタンプのプロジェクトです。
実行者は、フリーランスのイラストレーターでシーリングスタンプ好きな弐壱四さん。
雑貨好き女子や文具好き女子の間でひそかに流行っている「シーリングスタンプ」のオリジナルスタンプ台を作成するオーダーメイドサービスをクラウドファンディングで募集したところ、最初の目標金額30万円を大幅に超え130万円以上の支援が集まったという事例です。もちろん、一番人気のリターンは、オリジナルスタンプ台付シーリングスタンプセット。自分だけの世界に1つしかない刻印を作れるという唯一無二のアイテムという特別感が支援につながったと考えられます。
ハンドメイド系は、知る人ぞ知るマニアックなアイテムにほれ込んで制作活動をしている人も多いので、マニアックなアイテムこそ、クラウドファンディングでファンに出逢うことが出来るという見本として紹介しました。
その他にも、クラウドファンディングで出版やCDリリースなどの事例もありますので、いろんな事例を知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
クラウドファンディングに挑戦したい人から、よくある質問 5選
クラウドファンディングって、最近よく聞くけど、挑戦するには、悩みも疑問もある。そんな人から良く聞かれる質問を5つ紹介します。
Q. 目標金額に届かなかったらどうなりますか?
目標金額に届かなくても、支援金を受け取ることは可能です。多くのプラットフォームでは、支援の集め方を2通りから選ぶ事が出来ます。
All-or-Nothing(オールオアナッシング)形式でプロジェクトを実行した場合、目標金額に達しない場合は支援金が返金されます。
スバキリ商店でプロデュースさせていただく場合、目標金額に達成しなくても支援金を受け取れるAll-in-One形式での実行をお勧めしています。
Q. クラウドファンディングを実行したらどのくらい時間がかかりますか?
プロジェクトによって異なりますが、クラウドファンディングを実行しようと企画立案から、プロジェクトページの公開まで平均3〜6ヶ月を想定しましょう。支援の募集期間は、平均30~60日です。
支援金の受け取りは、募集期間終了した翌月末にプラットフォームから直接、銀行口座へ振り込まれます。
目安として、90日間でプロジェクト起案から公開までのスケジュールを記事にまとめていますので、そちらもご参考ください。
Q:クラウドファンディングを実行してトラブルが起きたらどうなりますか?
クラウドファンディングに限らず、予期せぬトラブルは起こります。大切なのは、トラブル発生した後の支援者に対する誠実に対応する姿勢です。リスク対策として、いくつか気を付けるべき点は以下の項目です。
- プロジェクトの準備期間やリターンの準備期間に時間的余裕を持たせる
- プロジェクト実行に協力してくれる人を2~3人確保する
- 万が一の場合に備えて代替プランを準備する
- 問い合わせなど支援者への丁寧な応対を行う
トラブルの予防策や対処方法などは、以下の記事にも紹介していますので、そちらも併せてご確認ください。
Q:クラウドファンディングを実行した時、税金はどうすればいいですか?
クラウドファンディングで集めた資金は「雑収入」として確定申告が必要です。身近に税理士がいれば、相談するのが最も安全ですが、以下の注意点を守っておけば大丈夫です。
- 1年間で受け取る支援金の総額50万円を超える場合は確定申告する
- クラウドファンディングに関係する支払いの領収書は必ず保管しておく
- クラウドファンディング実行にかかった経費は確定申告で経費として計上できる
クラウドファンディングを実行した時の税金と確定申告については、以下の記事で詳しく解説しています。
Q:初めての挑戦でもクラウドファンディングを実行して成功できますか?
はい、丁寧な準備と情熱があれば、初挑戦でも成功は可能です。スバキリ商店でプロデュースさせていただくクライアント様の大半が、初めての挑戦です。
成功する確率を高くしたいなら、プロの手を借りることも必要です。
クラウドファンディングを実行するときに代行サービスを活用するメリットなどは、こちらの記事をご参考ください。
創作活動に時間を使いたいから、クラウドファンディングを実行するために使う時間なんて無い。そんな人には、スバキリ商店に丸投げしていただいて、プロジェクトを実行することも可能です。
まとめ:創造力と独自性こそクラウドファンディング実行での最大の武器
何か新しいものを生み出す創造力と独自性こそ、表現活動をする人がクラウドファンディングを実行する上で最大の武器となります。
クラウドファンディングは、単なる資金調達だけの手段ではありません。あなたの持つ個性や才能を世界に伝え、応援してくれる人たちとつながる、魔法のような仕組みを持つ「お金と人を一度に集める」手段です。
誰にも真似ができない独創性や、斬新なデザイン、リアリティがある表現力。それらが持つ魅力を伝え、多くの共感を得ることで、あなたの創作活動や表現活動を応援してくれるファンとともに育てていく。これも、クラウドファンディングを実行することで得られる、これからのクリエイティブ活動の在り方です。
もし挑戦したいという気持ちが少しでもあれば、ぜひ情熱を持って挑戦してください。あなたの持つ個性が、きっと道を切り開きます。
スバキリ商店はクリエイターの挑戦を応援します
スバキリ商店は、累計1300件以上のクラウドファンディングをプロデュースしている、サポート集団です。スケジュール管理から、リターンの選定、プロジェクトページの作成や、告知のサポートなど、忙しいクリエイターの皆さんが、創作活動や表現活動の時間を削ることなく、クラウドファンディングを実行するお手伝いをしています。
映画製作、個展開催、ステージ上演、イベント運営などさまざまなプロジェクトをサポートした豊富な経験から、あなたのお悩みを解決するアドバイスも可能です。詳しくはお気軽にお問い合わせください。
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