近年、クラウドファンディングを地域活性化に活用するケースが増えています。地方自治体による、ふるさと納税を利用したプロジェクトやタイプ別での活用、実際の成功事例などを元に、クラウドファンディングが地域活性化に貢献できる点を詳しく解説します。
なぜクラウドファンディングが地域活性化の切り札となるのか?
地域活性化のために活動を始めると、すぐに直面する壁。それは「資金」と「認知度」です。限られた予算、地域の人脈だけでは、大きな夢を実現するのは簡単ではありません。
そこで注目したいのが、クラウドファンディング。単なる資金調達ツールではなく、地域活性化に欠かせない価値の再発見や人集めにも活用できるのです!
クラウドファンディングで地域活性化とは
クラウドファンディングで地域活性化とは、具体的にどんなことができるのか。2つの大きなメリットである価値創造と、資金調達という点から詳しくみていきましょう。
地域独自の価値創造や魅力の再発見手段
地域活性活動にクラウドファンディングを活用するメリットとして注目したいのが、独自の価値創造や地元の魅力を再発見する手段になる点です。
地域活性化において価値創造が必要な理由は、単なる一回限りの経済的支援では持続可能な発展が望めないからです。地域の独自性を活かし、 今すでにある資源に新たな意味や可能性を見出すことで、外部からの共感を呼び起こすことができます。
クラウドファンディングを活用して、価値創造をすることで、地域の自立的な成長サイクルを生み出すきっかけができます。
つまり価値創造は地域の未来を切り開く、最も重要な要素なのです。
地域活性のための資金調達手段
クラウドファンディングを地域活性化の活動資金の調達に使うこと。これは、一番イメージがしやすく、わかりやすいメリットであると言えます。
もちろん、クラウドファンディングを実行すれば、必ず資金が集まるわけでもありません。しかし、銀行や公的資金などの融資を受ける上での信用材料として、クラウドファンディングは実績として評価されます。
クラウドファンディングは、誰でも実行できるという実行面での柔軟性やハードルの低さがあります。その特性が、従来の資金調達とは違うメリットなのです。
地域活性化は、単なる資金調達の問題ではありません。それは、地域の持続可能な発展と未来に向けた価値創造のための総合的な戦略が必要なのです。
タイプ別クラウドファンディング活用方法
クラウドファンディングには、大きく3つのタイプがあります。地域活性化のプロジェクト実行には、どのタイプが適しているか。
それぞれが持つ特性からみた、活用方法について、自治体実施型であるガバメントクラウドファンディングを加えた4つのタイプ別に解説します。
購入型:具体的な価値提供による支援獲得
購入型クラウドファンディングでは、地域の特産品やサービスを通じた具体的な価値を提供することで支援を集めることができます。
食品や体験型リターンなどの価値を提供することで、支援者からの反響を直接知ることもできるテスト販売など、マーケティングとしての活用も可能です。
代表的なプラットフォームとしては、CAMPFIRE、Makuakeなどです。
寄付型:活動への共感による協力者獲得
寄付型クラウドファンディングは、公共性の高いプロジェクトへの支援に適しています。リターンなしでの支援募集のため、本当に地域のことを考えている支援者を集めることができます。
地域の社会的課題解決に向け、単発だけでなく継続した支援を募集することも可能です。
代表的なプラットフォームとしては、For GOOD、READY FORなどがあります。
寄付型クラウドファンディングについての詳しい解説は、以下よりご確認ください。
![](https://subakiri.net/wp-content/uploads/2024/09/寄付型アイキャッチ画像-160x90.jpg)
投資型:地域経済への外部資本連携が可能
投資型クラウドファンディングは、地域内外からの投資家を巻き込むことにより、新たな地域産業を立ち上げる可能性を高めるという特徴があります。
支援者もプロジェクトを支援することで、事業配当などの金銭的利益を得られるため、伝統ある地場産業の事業継承やスタートアップ支援に向いています
投資型については、株式投資型や融資型などリターンの内容によって、さらに種類分けされます。
詳しくは、以下をご参考ください。
![](https://subakiri.net/wp-content/uploads/2024/09/投資型クラウドファンディングとは-160x90.jpg)
ふるさと納税型:自治体主導での寄付型
ふるさと納税型クラウドファンディングとは、各自治体が地域で募集しているプロジェクトから寄付先を選び、支援する形のふるさと納税です。ガバメントクラウドファンディングとも呼ばれています。
ふるさと納税型クラウドファンディングでは、地域の課題や取り組みを「プロジェクト」として掲載しており、より具体的な使い道を選んでふるさと納税を行うことができます。
通常のふるさと納税と同じで、支援者は税金の控除を受けられます。
地域活性化プロジェクト実行でのプラットフォーム選び方
地域活性化のためのクラウドファンディングには、どのプラットフォームでプロジェクトを掲載するのが良いのか。
プロジェクト実行の際、プラットフォームを選ぶポイントについてまとめてみます。
クラウドファンディングプラットフォームの比較分析
主要プラットフォーム3社が持つ特徴と適しているプロジェクトについてまとめています。3社とも、ふるさと納税を活用したプロジェクトは専用ページがあり、支援者からの注目度が高いことがわかります。
CAMPFIRE
- さまざまなジャンル、分野が得意
- 小規模~中規模プロジェクトに最適
- 多様なジャンルの地域プロジェクト
ふるさと納税型のプロジェクト実行については、以下よりご確認ください。
![](https://subakiri.net/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/cafb03caa1503cd581b844a570296839.jpg)
![](https://subakiri.net/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/cafb03caa1503cd581b844a570296839.jpg)
READY FOR
- 社会的インパクトの高いプロジェクトに強み
- 地域課題解決型事業
- 寄付型と購入型の両方が実行可能
ふるさと納税型プロジェクトについては以下をご確認ください。
Makuake
- 商品開発・特産品マーケティングに特化
- 地域ブランド育成、特産品販路開拓
ふるさと納税型プロジェクトについては、以下よりご確認ください。
![](https://subakiri.net/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/c97d3a192484b34d7a18498528a85e91.png)
地域活性化を実現する7つのクラウドファンディング戦略
地域活性化を実現するためのクラウドファンディングを実行する時に知っておくべき、7つの戦略について解説します。
⒈計画段階:目標設定とターゲット戦略
まず、最も重要なのは、何のためにクラウドファンディングを実行するのか?というはっきりとした目的設定です。
「何のためのクラウドファンディングなのか」
「クラウドファンディングするのは何のためか」
ここがきちんと言葉で説明できれば、次は「誰に向けて伝えたいのか」というターゲットとなる支援して欲しい人たちが見えてきます。
誰に共感されたいか、一緒に活動を盛り上げてほしい人はどんな人か。支援して欲しい人について、的をしぼっていく。それが、プロジェクトをどのように伝えるか。どこで他との違いを出すか。
目的が明確になれば、告知する人やアピールする点なども明確になり、全体の流れが決めやすくなります。
⒉ストーリー構築:価値の見える化戦略
目的が決まれば、次はプロジェクト独自のストーリーを組み立てていきます。
地域の歴史・文化・課題を織り交ぜたエピソードや苦労話、時には失敗も含めたこれまでの経緯を「ストーリー」として組み立てることで、プロジェクトがさらに魅力的になr、独自の価値を持ちはじめます。
また、支援者の共感を呼ぶ具体的な未来予想図や今後の展望を組み込むことも必要です。
⒊リターン設計:価値提供に関する戦略
共感を呼ぶストーリーが組めたら、支援に対する見返りの準備です。
地域活性化目的の場合、経済的価値だけでない、体験型リターンや関係性という数値化しにくい価値にも焦点を当てることが重要です。
農作業の体験や、現地視察、BBQでの交流会参加など地域の魅力を最大化するリターンを取り入れ、価格帯などをバランスよく設計しましょう。
リターン設計については、以下にて詳しくまとめています。
![](https://subakiri.net/wp-content/uploads/2024/06/成功するクラウドファンディングの-リターン設計-160x90.jpg)
![](https://subakiri.net/wp-content/uploads/2025/01/M-EYECATCHのコピー8-160x90.jpg)
⒋告知活動:プロモーション戦略
クラウドファンディングをすると決めたら、告知活動は始めていきましょう。
最初は、「クラウドファンディング実行するので、応援してほしい」その程度からで告知を始めて大丈夫です。
対面で直接話したり、SNSで発信していくことで、プロジェクト実行に協力してくれる人も出てきます。
ある程度、リターンの設計や募集時期、プロジェクトページの段取りが整った時点から、新聞や地域広報誌などのメディアや SNS 発信を毎日行うなどの計画的に告知活動の規模を広げていきます。
地域施設でのポスターや簡単なチラシ作成などし、地域で影響力のある人たちとの効果的なコミュニケーションも重要です。
⒌資金計画:透明性ある管理戦略
クラウドファンディングは、資金調達活動です。お金の使い道への透明性がプロジェクトの信用を強めます。何のために幾ら必要なのか。明確な金額と資金の使い道を提示しましょう。
支援が集まったら、支援総額に対していつどのようにお金を使ったかという活動報告も都度都度行うことが肝心です。
⒍実行段階:情報共有と関係性づくりの戦略
プロジェクトページが公開されたら、リアルタイムでの進捗具合を SNS や活動ページで共有していきましょう。
SNS でのコメントや支援者との継続的な対話を丁寧に続けることで、プロジェクトを縁にした関係性が作られます。
SNSでの告知については、以下で詳しくまとめています。
![](https://subakiri.net/wp-content/uploads/2025/01/M-EYECATCHのコピー-160x90.png)
⒎アフターフォロー:関係性を維持する戦略
最後に、募集期間後のアフターフォローについてです。
クラウドファンディングは、お金を集めて終わりではありません。むしろ、お金が集まってからがプロジェクトの本番です。
支援してもらったことに対する返礼としてリターンを完了すること。集まった支援金で活動のために何をしたか。詳細な成果報告を随時、支援者へ伝えていきましょう。
また、地域活性化には、支援者コミュニティの存在が将来的にも重要です。活動報告やリターンを通じてコミュニケーションをとり、継続的に応援してもらうことができる関係性を育てる。
これが、クラウドファンディングの持つ、お金と人を集めるという本質なのです。
成功事例から学ぶ!具体的なプロジェクトのヒント
スバキリ商店がプロデュースしたプロジェクトから、地域活性化目的で実行された事例を紹介します。
事例1:足尾銅山産のはちみつ(栃木県)
足尾銅山銅山の持つ歴史的な背景と、地元産のはちみつを掛け合わせる価値創造を成功させた事例です。
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銅山開発による樹木の過剰な伐採などにより禿山だったところに植林されたニセアカシアなどが根付き、山が復活したという足尾銅山の歴史から生まれた地元の養蜂家による無添加蜂蜜づくり。
健康に関心の高い人からの支援が集まり、追加リターンが用意されるほどの人気プロジェクトとして、255人から目標額の2倍超えとなる230万円以上の支援が集まりました。
事例2:八ヶ岳の貸切キャンプ場(長野県)
何もない。という一見ネガティブに取られる点を逆に唯一無二の価値とした、貸切キャンプ場のプロジェクトです。
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近年のキャンプ人口の増加から、八ヶ岳の雄大な自然を7千平方メートルの敷地から独り占めできる。しかも、1日1組限定。
都会では絶対に味わえない体験を価値として伝えることで、多くのキャンプ愛好家から支援が集まりました。
特筆すべきは、「ただただプロジェクトを応援する」という返礼品なしのリターンが人気だったという点です。
実行者への信用が高かったり、プロジェクトの目的に強い共感が集まると、物品リターンを求めない支援者が集まるということを表している成功事例だと言えます。
事例3:地域密着型食品量り売り店(和歌山県)
地産地消とゴミを出さない量り売り形式で地域に密着する食品店のプロジェクト事例です。
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フードロス、使い捨て容器ゴミの軽減など、最近注目されている社会課題に取り組むと同時に、地元の生産者と消費者の交流の場として店を運営したいという目的で実行されています。
最近、地方移住して個人店舗を開業するケースも増えています。その背景には、丁寧な暮らしや昔ながらの自然食品への強い関心という要素もあります。
そうした需要をうまく取り込んだ個人プロジェクトから、地域全体で取り組めるプロジェクトが生まれると、世代を越えた地域内のつながりができていきます。
地域活性化には、住んでいる当事者の取り組みから生まれるまちづくりも重要だといえます。
まとめ 地域活性化にクラウドファンディングは起爆剤となる
地域活性化活動を進めていく人たちにとって、クラウドファンディングは活動の起爆剤となります。
クラウドファンディングは、単なる資金調達ツールではありません。地域の経済や文化を未来へつないでいくための戦略的役割を持っているのです。
地域の未来を切り開く。そのためには資金も必要ですが、協力してくれる地元の人達や外部からの共感も欠かせません。
クラウドファンディングを実行することで、地域内での交流だけにとどまらず、遠隔地とのつながりが生まれることで、別の視点から地域が持つ価値や魅力がさらに見えてくることもあります。
ぜひ、いろんなプロジェクトを研究して、地域独自の魅力を伝えるプロジェクトをクラウドファンディングで実行してください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
地域活性化プロジェクトならスバキリ商店へ
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スバキリ商店代表の小西は、クラウドファンディングについての入門書もいくつか出版しており、豊富な経験を元にアドバイスを行っています。
地域活性化にクラウドファンディングを取り入れたい人は、ぜひ一度お問い合わせください。
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