「やりたいこと」をやって、自分の世界を設計するUIエンジニア

メンバー紹介

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「なんでこんなに書いているんだろう? というぐらい書いているんですよ〜」
最近の活動状況について聞いたら、堀中さんはちょっと軽い悲鳴のような声を上げつつ笑って答えてくれた。

スバキリ一味や、地元栃木で年4回刊行されるフリーペーパー「TANOKURA」とその周辺メディア、そこから派生してハウスメーカーや工務店などのパンフレット、Web……、と生活に関わるメディア系での執筆、新聞への寄稿など幅広い分野でのライティング活動、ご自身もまたブログ「かづけこびとのみつけかた」を運営している。

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2022年に入り、さらに新しい仕事が加わった。
4月にリリースされる「新しい働き方を応援する」というコンセプトのWebメディアに参画することになったのだ。独立起業や副業を立ち上げた人々を探し出し、その実績と知見を記事にまとめるもの。

「その仕事も、もう半年先分ぐらいまでのコンテンツで予定が埋まってきています」と堀中さん。

これほどまでの仕事量、悲鳴にも似た声が上がるのも思わず納得する。

しかし、これは「ライター」としての堀中さんの姿。このほかに、「整理収納アドバイザー」としての堀中さんが、まだいる。その話を聞くほどに、堀中さんの幅の広さというか、深さというものにちょっと圧倒される。

 

ちょっと予想外だった

「前職はエンジニアでした」

前職の質問をして、出てきた堀中さんのこの言葉に、一瞬わが耳を疑った。

「2012年に一身上の都合で辞めるまでは、ソニーでソフトウェアエンジニアとして働いていました」

整理収納アドバイザー&ライター、その前身は……エンジニア???

理系のご出身とは、まったく予測すらしていなかった。

「どんな経緯でいまに至ったのだろう?」
そんな素朴な好奇心と疑問が、連続して湧きおこる。

大学での専攻は電気電子工学。しかも大学院まで卒業されているとは、まさにエンジニアとしての王道を歩んできているではないか。

「父親がコテコテの理系でして、小学生の頃、家にはすでにパソコンがありました」

父親が持っていたパソコンは、「ベーシックマスターレベル3」。現在の家庭用パソコンの先祖ともいえる機材だ。それを子どもの頃から触っていたことから、自然と理系への道へと向かっていった。

でも、その一方で、国語も大好きだったという堀中さん。

「父親は本も大好きで、それも影響されました」

文学、SF、推理、科学系といろんなジャンルの本があり、子どものころから夢中になって読んでいた。本を読む、文章を書くのも好き。ライターとしての素質は、子どものころにすでに芽生えていた。

「オズの魔法使い」シリーズに登場する、勝手気ままにしゃべったり、憎まれ口をたたく、まるで人間みたいなラジオが大好きだった。いつもチューニングを狂わせながら、楽しそうに歌ったり喋ったりするそのラジオが、堀中さんの気持ちを和ませると同時に、ある想いを募らせていく。

「ロボットを研究したい、つくってみたい」

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『そんなラジオのようなロボットをつくりたい』と、就職活動の面接で言ったら受かっちゃいました(笑)」

その言葉がささったのか、入社したソニーで最初に配属された部門は、ロボット「アイボ」のソフトウェア・チームだった。

 

自分の「やってみたい」を見極める達人

将来の選択肢を決めるにあたって、堀中さんは一度迷っている。本が好き、ということもあって、エンジニア以外に出版や編集という仕事に就くことを考えたことがあったのだ。

でも、結局その道は選ばなかった。

「いまやるなら電子工学かな、と思ってそっちを選択しました」

仕事として携われる機会、環境といったことを考えると、電子工学のほうが限られる。電子工学から出版関係への転身できる可能性は高いけど、その逆はさすがに厳しい、と堀中さんは考えたからだ。まさに理系的で冷静さを感じさせるような判断。

堀中さんの担当は「4足、2足ロボット本能・感情アルゴリズム研究開発」。

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大好きな調子っぱずれなラジオ……とまではいかないにしても、ロボットの本能・感情を開発するという点では、抱いていた憧れに近いのではないだろうか。

このロボット開発部門で6年間を過ごし、堀中さんは新しい部門に異動となる。

次の配属先はスマートフォンのUI部門。

UIとはUser Interfaceの略で、「上流設計」とも呼ばれる。ユーザーが使いやすいように、ボタン配置やアプリを配置する場所などを設計していく部署だ。

「あれをやりたい、これもやりたい、と夢物語を語るのが商品企画部門。そんな夢物語、どうやって実現するの? と反発するのがソフトウェア部門。UIはまさにこの両者を連結する位置で、夢物語を現実化させていくための設計図を描く部門です」

夢物語を現実にするなんて、なんと素敵な響きなのか。

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しかし、現実はそんな甘いものではない。言葉のイメージとは裏腹に、負担は大きい。夢物語の企画ということは、当然今までにないモノであり、前例や実績は基本的にはない。そこに「ユーザーが使いやすいように」という絶対的条件が加わる。しかも、そのユーザーとはひとりだけではない。何万人、何十万人ときには何百万人といったユーザーの「数」もイメージしなくてはならない。

ユーザーはどのような動線をとるのか?
いかに多くの人にわかりやすく設計するか?
盛り沢山の機能を持つアイコンを、どこに配置するか?
使いやすいアイコンの並びはどれか?

ひとつずつ課題を解決し、具体的な製品設計へと導いていく。相反する部門のはざまに立って製品設計を組み立てていくことにも、やりがいと面白さを感じていた。

しかし、一身上の都合により2012年に14年間勤めたソニーを退職する。

 

新しい「やってみたい」は、自分で動いて突きとめる

退職後は、1年間は何もしないと決めた。

自分に余白をつくってぶらぶらしてみよう。

まずは「住んでいる栃木のことについてもっとよく知ろう」ということから行動を開始する。会社員時代から栃木で暮らしていたが、新幹線通勤で都内まで毎日出勤していたこともあって、実は暮らしている地元のことはよく知らなかった。

栃木で開催されるイベントや交流会などに向けて行動し出逢ったのが「整理収納アドバイザー」だった。自分のなかで「ちょっと面白そう」というセンサーが働く。

そのセンサーの感覚は正しかった。

会社員時代でも、属していた部署のデスクの上や棚を率先して片づけていたぐらいだから、整理整頓は好きだった。そして、整理収納のことを学んでいくなかで、あることに気がつく。

「整理整頓、防災備蓄の流れって、U Iとまったく同じなんですよ」

まず不要のものはどれか?
使うものをどこに収納したらいいのか?
部屋のなかの動線を考えて邪魔にならないように、どう片づけるのか?
何を必要として何が不要かを切り分け、必要な物の置き場を考える。
上手に設計すれば、暮らしの空間はとても快適なものとなる。無駄な動きをする必要がない「快適」さは、防災面への「安全」にもつながる。

すべてがつながり面白みを感じていく堀中さん、ほかにも様々な資格があることを知り、自らの興味のおもむくままに講座に参加し、資格の取得を重ねていく。

整理収納アドバイザー、防災備蓄プランナー、防災士、マイタイムラインリーダー、つっぱり棒マスターなどなど、そのときに自分がやってみたい、必要だなと感じた資格を次々と取得していく。その内容たるや、「いったいどれだけの顔をお持ちになるのですか?」と思わず聞いてしまうぐらいの数だ。

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それぞれの資格を取得してからは、整理収納アドバイザーを認定する講習、防災備蓄に関する講習、といった活動も増えた。多いときには週で複数の講習会を開催する。

そして、ここに「ライター」としての活動が加わる。

ライターへのきっかけは、整理収納アドバイザーとして活動しはじめたときに、地元フリーペーパーのライター募集案内を目にしたところから始まる。本が好き、文章を書くことも好きで出版社も目指していたこともあり、迷うことなく応募する。同じく栃木に住むスバキリライターの石原智子さんとここで出会い、ともにフリーペーパーライターとして活動を開始する。

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「結局、やりたいことをどんどんやっていったら、こんなんなっちゃったんですよね〜(笑)」

「なんでこんなに書いているの〜?」という悲鳴のあと、さらに笑いながらそう語った。

自分のなかにあった「やりたいこと」として選び進んできたソフトエンジニアの道。それに一区切りをつけて、次の「やってみたい」センサーを働かせて新しく見つけた整理収納アドバイザー、防災備蓄プランナー。そして、自分のなかで長らく温めていた文章を書くという仕事。

「整理収納 × 防災備蓄収納 × ライティング」

新しく見つけた道を、憧れ続けていたものと、それぞれを掛け合わせて自身の活動の場を見事に創り上げ、そして広げていった。

 

人生を創りあげるUIエンジニア

4月からリリースされるWebメディアの名前は『I am(アイアム)』
大和書房という出版社から配信されるメディアだが、ここでの活動も整理収納関連のイベントからつながったもの。

UIでは、Media系や日本語入力などを担当。-3

起業や副業など「新しい働き方」にチャレンジしようとする人たちがその目的を果たせるように、成功体験からの知識・知見といった情報を提供する。

終身雇用という言葉が風化しつつあるなかで、人生100年という言葉が浮かび上がってきている。これからの時代、自らの働き口を「誰かに、何かに頼るだけ」では先細りとなる可能性は高い。そうなると必要なものは、自分で生き方を決め、自ら働き口を創り出していく力だ。

『I am』では、取材対象の人を探すところから始めないといけないから本当に忙しい、という堀中さん。

いやいや、他の人に当たる前に、結構ご自身のお話でも十分いけません??。ご自分の心のなかにある「やりたいこと」を追いかけつづけ行動し、ここまで見事に自分の世界を創り上げ、そして広げてきているではないですか(笑)

自分というUserの声を聞いて現実を創りあげる。まさに人生のUIエンジニア。

堀中さんのこれまでのお話は、きっと『I am』の掲載基準を十分に満たす内容だと思うのは私だけではないはずだ。

 

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「やりたいこと」は仕事だけではない。バイク、ダンス、カーリング…いろんな趣味を持っている堀中さん。

「思ったことはとりあえずなんでもやってみたい人のようです(笑)」

自分に制限を設けないところに、UI設計者としての真骨頂を発揮しているのだろう。

取材・執筆:白銀肇

【告知!!】
『I am』には、我がスバキリ団長、小西光治さんも登場される予定だそうです。
皆さま、乞うご期待!!

『I am』HPは、こちらです⬇️

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