「これだ! 」を信じて進んだ先にある、自分だけの道

メンバー紹介

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スバキリ一味のクライアント、メンバーともに、田邉さんと関わったことのない人は恐らく一人もいないだろう。
スバキリ一味の“ミギー”担当、田邉歩美さんの仕事は、依頼が発生した瞬間から始まる。初回打合せのスケジュール調整、ライター・サムネイル担当アサイン、参考資料の送付、終了後の請求書送付……。その業務は多岐に渡っている。さらに、プロジェクトの全体像を俯瞰で把握し、スムーズに進めるようにテコ入れする。スバキリ一味にとって「なくてはならない」存在だ。

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今ではこれらの仕事の一部を担当してくれるチームメンバーが2名いるが、半年以上、ずっとこの膨大な業務を一人で回していた。
ちなみに、“ミギー”というのは田邉さんが作った造語で、プロジェクトやその人の業務の「右腕」となって、手取り足取りサポートしてくれる役割を指している。

子どもが1歳で自宅セミナー開始!

田邉さんは、とにかく仕事が早い! バリバリと実務をこなしならが、一瞬のよどみもなくプロジェクトを回していく。そんな彼女の口から、「実は専業主婦志望だった」という言葉を聞いた時は、あまりの驚きに、思わず「えーーー!! 」っと大声で叫んでしまった。

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「結婚前は仕事に疲れきっていたのかな。13年の社会人生活で7回転職して、それぞれ充実した仕事ではあったけど、とにかく休みたかった。それで婚活をして専業主婦になったの。だけど、結局どっぷり『専業主婦生活』を楽しんだのは1年くらい。娘を出産して少ししてから、ママ起業している人やこれからしたい人を自宅に招いて、『セミナー』をするようになって。そこが今の仕事のきっかけだったかな」

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結婚前は投資用不動産の会社で働いていた田邉さん。結婚と同時に自身も投資用アパートを購入したが、確定申告などの知識が全くなく、手続きの過程で手痛い失敗も経験した。

そこから得た知識を、フリーランスの友だちに伝えていたという。気軽な「自宅セミナー」だったとはいえ、子どもがまだ1歳で新しいことを始めるとは、その行動力には感服する。とても専業主婦を希望していたとは思えない(笑)

「やりたいこと」と「できること」がつながった! NPO設立支援

セミナーで「人の役に立つことの楽しさ」を実感し、再び仕事の楽しさに目覚めた田邉さん。子どもが幼稚園に入園したら本格的に何かやろうと考えるようになっていた矢先、自分を必要とする機会に遭遇する。

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当時、田邉さん自身も子どもと参加していた「絵本づくりワークショップ」の会で、主催者1人の海外転居が決まり、存続が危ぶまれる事態となっていた。助けを求めていると知った田邉さんは、知り合いの行政書士を紹介し、自身も積極的にかかわり始めた。

専門家に相談した結果、「NPO法人」にすれば税制優遇が受けられ、最低限の経費でプロジェクトが存続できることがわかった。早速準備に取りかかったが、書類は膨大でわかりにくく、手続きも煩雑。専門でない人には難しい仕事だ。

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「私は仕事で不動産取引の書類をたくさん作ってきたの。行政文書にも慣れているから、読むのも書くのも苦にならない。だから手続き関係は全部私が引き受けて、半年弱でNPOを設立できた。大変ではあったけれど、この時の経験で、私は『スタートアップ』がすごく好きなんだと自覚できた。プロジェクトのコンセプトや理念を考えるのは楽しくて、ワクワクする! 実務では私のこれまでの実績が生かせるし、やりたいこととできることが、すっと結びついた経験でもあったかな

プロジェクトを成功させるためには、大きく分けて2つの要素が必要だ。一つは理念などの「目的」、もう一つはそれを達成するための仕組み、つまりは「手段」だ。この両輪がうまく回ってこそプロジェクトは走り出しせるし、継続もしていける。

しかし、これらを両方できる人は、あまりいないと思うのだが……。田邉さんはそのどちらもできてしまうのだ。コンセプトづくりを楽しみながら、実務をガリガリこなせる。しかもそのスピード感といったら……! 事業を進めていく上で、こんなに強い味方はいないだろう。

小西さん直々。 スバキリ一味への「スカウト」

自身の「右腕力」を自覚した田邉さんは、「ミギー(右腕)」と「最初の一歩」のサポートを組み合わせたスタートアップ支援を形にしようと、2019年後半から新サービス立ち上げの準備をしていた。ちょうどその頃、もう一つのやりたいことだった、子ども向けのお金セミナー「おうち経済教室」も、仲間とともに準備を進めていた。この「おうち経済教室」を通して、小西さんと出会うことになる。

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当時小西さんが主宰していた「お金の料理教室」の評判を聞いた田邉さんが、友だちのつてをたどって、小西さんに「おうち経済教室」の講師を依頼した。小西さんは快諾してくれ、準備も順調。あとは開催するだけ、となった2020年3月、コロナの急拡大により中止せざるを得なくなった。

しかし、そこで諦める田邉さんではない。その後仕切り直して再準備を進め、5月にはオンライン講座として再スタート。全7回の講座を無事にやりきった。

講座を終えた2020年秋、友人とともに大阪に行く機会があり、小西さんに挨拶をした時のこと。「スバキリ一味のミギー担当」としてスカウトされたのだった。

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これは別の場所で小西さんから聞いた話だが、「おうち経済教室」での田邉さんの一連の段取りがあまりにも完璧で、こんな素晴らしいマネージメントをする人に、是非自分たちのプロジェクトも手伝ってもらいたい!と思ったという。

こうして、スバキリ一味への参加を決めた田邉さん。そこからはどんどん忙しくなって、しばらくはスバキリ一味の仕事一色になった。
とは言え、自身のビジネス「スタートアップ支援サービス」を忘れたわけではない。多忙な時間の隙間を縫うように、本格化に向けて新たな分野にチャレンジしていたのだった。

新しい挑戦! 心理セラピストの資格取得

2022年1月、田邉さんは半年間の猛勉強の末、「心理セラピスト」という新たな資格を取得した。人の行動を無意識に制限してしまう、「メンタルブロック」を外すことができる技術だという。この技術で、田邉さんは「新たにスタートする人の背中を力強く押すことができる」と確信している。

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「これまでの経験で、スタートアップのサポートは、『知識を伝えるだけでは前に進めない人がいる』と感じてきたの。自分の価値を低く見積もりすぎている人や、お金を受け取れない人。このタイプは、いくら言葉で理由や価値を説明しても納得してもらえない。そんなときに心理セラピストの西澤先生に出会って、『これだ! 』ってピンときた。講座は高額だったけど、すぐに説明会に行って受講を決めちゃった」と笑う。

メンタルブロックとは、一種の「思い込み」で、心理セラピストは、思い込みの原因を丁寧に読み解いて、根本から消していく役割だ。ブロックが外れると、見えている現実が変わるという。

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「実務面での知識のサポートと、精神面でのメンタルブロックをなくすこと。この二つをバランスよく組み合わせれば、多くの人がスムーズにスタートアップできるようになると思ってて。行きたい未来があるのに、何か“ひっかかり”があってスタートできない、うまくいかない人たちに、その『ブロック』を全部取り除いて、信じた道を進めるようにサポートする。そんな人になるのが今の私の目標かな」

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個人のスタートアップでも、組織のプロジェクト推進でも、田邉さんは物事を前進させるために必要なことを、いつも冷静に見つめている。そして、「これだ!」と思うものに出合ったら、迷わず進んで自分のものにする。自分にとっても相手にとっても必要な、「本質」を見抜く力がずば抜けている。
田邉さんのモチベーションは、「出会った人が笑顔になっていくこと」。
目の前の人を笑顔にするための「本質」を、常に全力で追いかけているのだろう。

「真っ直ぐな人生」とは?

これまで私は、「真っ直ぐに進む」という言葉の意味を誤解していたのではないかと思う。

「真っ直ぐ=回り道せず一つのことだけ追いかける」というイメージを持っていた。しかし、人生を「真っ直ぐに進む」というのは本来、外野の声や世間の常識にとらわれず、自分の気持ちやその時の直感を信じて進むことではないだろうか。他人からはぐねぐねの回り道に見えても、そこを追いかけていくことでしか見えない景色、手に入らないものがある。

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田邉さんの歩いてきた道の本質は、転職回数や専業主婦の選択など、その表面的な経歴からは見えてこない。自分の「これだ!」を信じて真っ直ぐに進んできたからこそ、彼女特有の強みや優しさを存分に生かした、今の仕事につながっていると感じる。

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「自分の使命に近づいているのを感じる」と彼女が口にする通り、「心理セラピスト」という新しい技術を手にした田邉さんは、ますますその能力に磨きをかけ、「真っ直ぐ」に次なる道を進んでいる。
これから始める新しいサービスで、一歩を踏み出す人を全力でサポートし、たくさんの笑顔の花を咲かせている姿が目に浮かぶ。

取材・執筆 川崎ちづる