支援者数128人!昔の不良仲間にも告知して支援されるマメさが達成の秘訣

プロジェクトオーナーさん

これまで1,000件以上のクラウドファンディングをプロデュースしてきたスバキリ一味。ひとつのプロジェクトに複数のメンバーが関わり、全員で目標金額の達成を目指して動きます。そのなかでのライターの役割は、プロジェクトオーナーさんのお話を直接じっくりと伺い、文章へと仕上げていくこと。そのため、終了したプロジェクトであっても、「その後、どうなったかな……?」と非常に気になります。

この「聞かせて!プロジェクトオーナーさん」は、そんなスバキリ一味のライターたちが持ち回りで、今まで担当したなかで特に印象的だったプロジェクトオーナーさんに対談をオファー。プロジェクト実施中や、その後の話を聞かせていただき、クラウドファンディングの実態を深掘りします。

第9回目のゲストは、書籍「自分らしく生きるための自己分析」出版のためのクラウドファンディングで目標金額の228%を達成し、支援者数128人という数字を収めた株式会社エデュコンサルティング代表、キャリアコンサルタントの根本豊さんです。

2023年4月4日にスタートして5月10日の終了まで毎日支援され続け、勢いが止まらなかったプロジェクトがこちらです。

読み物として楽しめて、自己分析シートを使って自分らしく生きる書籍を広めたい!
「あなたの強みは何ですか?」人材業界35年、キャリアコンサルタントとして年間400組の転職希望者を支える株式会社エデュコンサルティング代表・根本豊の初の書籍を出版。60年間、順風満帆ではなかった著者をモデルとした私小説と、強みを活かして自分らしく生きられる自己分析ワークシートを楽しめる書籍です。

書籍は自己啓発書ではありますが、ほぼ大半が根本さんの壮絶な過去や前向きに生きてきた人生などを綴った私小説になっています。

1年かけて18万文字を書き上げた書籍を1人でも多くの方、とくに学生や転職を考えている若い世代に読んでもらい「自分らしく生きてほしい」という想いを込めたプロジェクトでした。

ライティング担当は鈴木亜里子でした。

遊ぶと働くの互換性
「ありちゃん、今日は何飲みたい?」鈴木家の夕食は、そんな夫の一言から準備が始まる。「今日はスパークリングの気分」「白ワインが飲みたいな」「もらった日本酒を飲もうか」―鈴木さんがリクエストするお酒に合いそうな料理を、夫が作る。「結婚してからも...

10代の(かなりの)不良だった頃の友人や柴犬仲間、仕事関係など300人以上にメールを送り、SNSでもマメに発信をし続けて書籍出版のプロジェクトとしては驚異の128人、そして100万円超えの支援

40年以上ぶりの友人に連絡をしたり、文中に名前が出てくるビートたけしさんにもお礼とともに献本するという、本当に「マメ」で一生懸命な根本さん。

18万文字を5回も読んだという、忘れられない私のエピソードもあり、もう一度お話をうかがいたく対談をお願いしました。

18万文字の書籍出版、おめでとうございます!

根本さん、ご無沙汰しています。急なお声がけにも関わらず、ありがとうございます。そして出版おめでとうございます!

書籍出版に際して、鈴木さんには本当にお世話になりました。まさか文章や文字のチェックをしていただけるとは思いもしませんでした。

18万文字の原稿を繰り返し読む機会をいただきました。最初に取材前に読んだ時は校正前だったためか、文章の表現や誤字脱字が気になったのですが、プロジェクトページの作成中に再度内容を確認する過程で、自然と細かい修正点を赤入れしてしまい、結果として5回も読むことになりました。

何回も読んだというのもあり、根本さんの圧倒的な人生に深く感情移入しました。壮絶すぎて……。

元カノ、不良仲間、ご両親、仕事先の方々といった登場人物の姿が vividに浮かび上がり、とくに柴犬コロとの別れのシーンでは涙しながら読み進めましたよ。

根本さんが今でも柴犬が大好きでずっと飼っているのがよくわかります。
スズといつまでも仲よく暮らしてくださいね。

校正のお力添えに感謝し、書籍の文末には特別な思いを込めて鈴木さんの名前を掲載させていただきました。本当にありがとうございました!

読者の方々からは、「続きが待ち遠しい」「元カノ・奈々とのその後は?」という熱のこもった反響を多数いただいていて、続編の制作を真剣に検討中です。その際も、鈴木さんのご協力をぜひお願いします。

続編のときも、スバキリ商店でクラウドファンディングのPRを手伝わせてもらえると嬉しいです。

次回もしっかり5回は読んで、文字のチェックしながらプロジェクトページを作りたいと思っています!

どうしてクラウドファンディング?

ホームページのリニューアルを検討中に、WEBや製本を手掛ける会社に相談しました。

途中、「実は書籍出版も考えている」と触れたところ、1000部の出版費用が200万円との見積もりを受け取りました。
この金額は手の届く範囲でしたが、私も還暦を迎え、老後の資金を冒険に使うのは避けたいと悩んでいたんです。

そんな折に、「クラウドファンディングを活用して資金を集めてみては?」とのアドバイスを受けて、スバキリ商店の小西さんを紹介していただきました。

目標金額は50万円に設定していましたが、最終目標の150万円にも届きそうな勢いでしたね。資金も集まり、無事に出版もできて本当によかった!

根本さんは若い頃から何歳でこれを叶える、次に何歳でこれ、老後はこうと常に目標を持って実現していっているので、「老後の資金」を無駄に使いたくないというのはよくわかります。
クラウドファンディングが成功して本当によかった!

グレて自暴自棄になっていた時代もありますが、20代のあるときからはがむしゃらに働いて、まずは「28歳で外車に乗る」の目標はBMWを購入して果たしました。
次に「35歳で家を買う」を叶え、「大学卒業」も40代で実現しました。
48歳で早稲田大学を卒業して、キャリアコンサルタントの資格を取得してからは少し無理をして働きすぎたのと、若い頃からの暴飲暴食、とくにアルコールを飲みすぎて血圧も高く、尿管結石で6回も手術したんです。
だからもう、これからは自分の体を大切にしながら仕事もして、時々は大好きなハワイで長期滞在しながらのんびりと暮らしたい。
そのための「老後の資金」を大切にしているんです。

根本さん、年間で400組もの転職希望者との面談や、高校や大学での講演もやっていますよね。
いつご連絡しても出張していて、「今週は北海道」「来週は九州」など日本全国飛び回っていて本当に忙しそう。

これからはもう少しゆっくりペースにして、ハワイにも通えるといいですね!

スバキリ商店にお願いしてよかった!

※私・鈴木は根本さんからたくさんの称賛を受け、少し恥ずかしく感じています。

プロジェクトページの作成を完全にお任せし、その完成度には大変満足しています。なかでも、鈴木さんのライティングが際立っていたと感じています。スバキリ商店のみなさんに助けていただきましたが、私のプロジェクトに至っては95%が鈴木さんのライティング、5%がリターンのアイデアだと思っています。

野球仲間や仕事関係、他もいろいろな方たちから「すばらしいプロジェクトページ」とかなり褒めてもらったんですよ。

気になる内容を一部分だけ見せるという書籍紹介だったので、「早く、書籍を手にしたい」といった感想も数多くいただきました。

公開期間中やその後も、丁寧なフォローをしていただき、全過程がスムーズに進行しました。スバキリさんに依頼して本当によかったと感じています。

根本さんの書籍を5回も読ませていただいたから、あのようなプロジェクトページができたのだと思います。

書籍紹介では、目次ごとに少しだけお見せして「え~ここで終わり?」「続きが気になる」と思わせる方法です。あの書き方は気になりますよね?(笑)

クラウドファンディングは、正直言うとかなり疲れました

クラウドファンディングについて、最初はよく知らなくて、大手プラットフォームに頼れば誰でも支援してくれると思ってたんです。でも、そんな簡単じゃないってことがわかりました。

メールやLINE、メッセンジャーで300人以上の人に「予告」と「開始」のお知らせを2回送って、SNSでも何回もシェアしたんです。

柴犬好きの友人がたくさんフォロワーを持っている人に広めてくれて、そこから知らない人たちが支援してくれたみたいです。

300人とは!たくさんの方に連絡されましたね。そして約半数の128人の支援が入っているのは根本さんの人望ですね。

クラウドファンディングが終わった後、みんなに感謝のメールを送るのはなかなか大変な作業でした。ありがたいのだけど、1人ひとりに返信するのは時間がかかりました。

最初はそういうのも自動でやってくれるシステムがあるんじゃないかと思ってましたが、全部、自分で手を動かすのですね。

でも、おかげで久しぶりに連絡とれた友人もいて、結果はよかったと思っています。

お忙しいのにたくさんの方に連絡されましたね!

今の穏やかで紳士な根本さんからは想像できませんが、昔は相当な「ワル」だったんですものね。

今回、書籍を出版することで不良仲間にも連絡されたとか?

10代の頃の仲間からも4人が支援をくれました。40年以上も連絡を取っていなかった友人に久しぶりに自宅に電話もしました。
携帯電話の番号はわからないので「家電」ですよ。でもたまたま住んでいたり、住民が繋いでくれたりして連絡がとれました。

昔の不良仲間の中には、社会とのつながりを失ってしまった者(反社会勢力)や、活字が苦手で「読まないからいらない」「漢字が読めないからいらない」と言った者もいました。

とくに嬉しかったのは、かつて私の彼女を奪った友人が驚くほどの高額支援をしてくれたこと。あの時の悔しかった気持ちは水に流そうと思いましたよ(笑)。

また、書籍に登場するブライダルの仕事やリクルート時代、早稲田大学の友人たちは「早く読んでみたい」と積極的に支援をしてくれました。

連絡を取り合う中で、東日本大震災や若くして自死で亡くなった友人の存在を知り、その知らせはとても痛く、悲しいものでしたね。

不良=リーゼントの時代でした(笑)

書籍は立教大学での講演に使用したり、大学の図書館やホテルなどいろいろな場所に置いてもらっているそうですね。

書籍を読まれたみなさんの感想はいかがですか?

「人間の不幸の上に人間が立っている」

私の60年間の波乱万丈な人生を元にした私小説で、その経験を読者と共有できる分析書籍です。人生の難しい時期や困難を読むことは、予想以上に興味深いものですよ。

これから大学の講演などで、学生たちにこの書籍を手に取ってもらい、自分を見つめ直す「自己分析」のきっかけとしてもらう予定です。九州の国立大学と神奈川の職業訓練校にはさっそく置いていただき、またいくつかの大学の図書館やキャリアセンターでも「推薦書」として並べてもらえることになりそうです。

北海道の函館のホテルや、鹿児島のトンカツ店をはじめ、全国各地の施設や店にも置いてもらっているんです。

受け取った反応は驚くほど。本の狙いは「自己分析」なのに、たくさんの人が私の物語に深く感情移入してくれています

1人の女性は「母としての立場から、自分ならどう感じただろうかと思った」と、また別の男性は「根本さんの気持ちになって読めた」と言ってくれました。

この書籍は、私の物語を通して「自己分析」のワークシートとして使ってもらうことを目的としていますが、「涙を流して感動した」との声をたくさんいただいています。
Amazonのレビューにも「私小説がおもしろい」と書いてあるのが嬉しいですね。

辛かったことも幸せだったことも、過去を振り返るいいきっかけになりました

昔を思い出しながら書籍を書いたり、昔の仲間に連絡をしたことで過去を振り返ることができました。私の中では、とくに幼少期は辛い記憶しかなく、思い出すのも苦しかったんです。

根本さんの辛かった過去、気持ちわかります。できれば、そんなことを思い出さずにすむような道を選びたかったですよね。

ついに過去を振り返る決意をして書籍を綴り始めたと思いますが、どれくらいの期間をかけて、またどんなときに書いていたのですか?

幼少期からあれだけ苦しめられた母も高齢になり施設に入り、先が長くないと感じたので穏やかな気持ちで過去を思い出し始めました

書籍を書く前にまずは年表を作りました。

「辛い思い出」はよく記憶に残ると言いますよね。でも、60年分の過去を振り返るのは本当に大変で、年表を3回も作り直しました。写真を見て時系列を精査する作業に、実は半年くらいかかったんですよ。

マインドマップを作ったら、思いがけず忘れていた出来事を思い出すきっかけが増えて、年表にメモを追加していきました。

書籍を書き始めてからは3~4か月で書き上げました。年間400組のキャリアコンサルティングを行っているので、全国に出張する際に移動時やホテルで書くことが多かったですよ。

幼少期の思い出もですが、昔の彼女の写真を見て嫌だったことを思い出したのも辛かった。
「奈々ちゃんとここで派手にケンカしたな~」とか、「この時期に愛実に裏切られたな~」とか(笑)。

けっこうモテていた根本さんですが、両親が愛し合い、思いやっている姿を見たことがないため「人の愛し方」がわからずに恋愛にも苦労したそう

文中に登場するビートたけしさんや矢沢永吉さんには連絡されました?

ビートたけしさんは、昔の水商売時代にとてもお世話になったので、そのときのお礼も伝えたく献本させていただきたいと連絡を入れました。店に毎週来てくださって、毎週、私を励ましてくれたんです。本当にいい方でした。

六本木で水商売をしていた時代。カクテルを作るのは得意だったそう

矢沢永吉さんもたびたび店に来てくださいましたが、いつもかなり酔っぱらっていたので私のことは覚えていないと思います(笑)。

過去を振り返り書籍を出版したことで何か変わりましたか?

今年、母を亡くしました。その時ちょうど書籍を執筆中でした。長い間、母とは感情的な距離がありましたが、書籍を通じて過去を振り返るうち、その困難な感情も徐々に和らいできました。今は、もう過去のことを許して、前に進む時だと感じています。

仕事に関してもそろそろスタイルを変えていこうと思っています。

キャリアコンサルタントとして採用コンサルと営業コンサルを数多く手がけていますが、年間300~400人とオンラインや対面で面談するのは少しずつ減らして、教育事業のコンサルに力を入れていきたいと思っています。

教育関連の事業や組織に対して、ビジネス戦略の策定や運営の効率化、質の向上、新しい教育プログラムやサービスの開発、マーケティング戦略の構築などのアドバイスやサポートを行っていきたい。

全国の学校や教育機関を回る活動をしていきたいと思っています。

教育事業のコンサルでは、高校時代に進学の夢を断念したり、大手企業での昇級試験での経験など、学歴に関する過去の挑戦や葛藤が貴重な経験として役に立ちそうですね。昔はストリートファイターだったんです(笑)。高校はケンカのせいで退学になり、次の高校もちょっと荒れてたところだったし、家の事情で大学に行けるとは思っていませんでした。

大学進学を断念して、アルバイトをいくつも経験したけど、それが今思えば価値ある時間だったと思います。失敗もたくさんしたけど、自分を信じて、その都度「自己分析」しながら「自分らしく」進んできたから「今」があるんです。

これまで、自分を見失ってる人や仕事に悩む人にキャリアコンサルタントとして「自分を知ることの大切さ」「強みを知ること」を伝えてきたけど、これからはとくに高校生のような若い人たちにも伝えていきたいと思っています。根本さんの永遠のテーマは「自分らしく」ですね。キャリアコンサルタントとして、就職や転職を希望する方とお話しするとき、最初に「あなたの強みは何ですか?」と質問します。

実は、すぐに答えられる人は少ないんです。

しかし一緒に考え、整理し、深掘りしてみると、必ずその人独自の「強み」が浮かび上がってきます

「自分の強み」を知り生かすことで、もっと楽しく、そして“自分らしく”生きることができます。

ちなみに、私が大好きな柴犬は、縄文時代から変わらぬ性格で存在していると言われています。その“変わらぬ自分らしさ”に、私は幼少期から魅了されてきました。

この柴犬のような“自分らしさ”を持つことの大切さを、これからも多くの人たちに伝え続けていきたいと思っています。

幼少期に飼っていた「コロ」

対談を終えて

実はこの対談時、私はプライベートでも深刻な問題を抱えていて、気持ち的に晴れない毎日だったのです。 そんな時、対談のオファーが来て、これまでのプロジェクトの中でもすぐに思い浮かんだのは根本さんの書籍出版プロジェクトでした。

常に前向きな根本さんから、気持ちの上げ方を学びたかったのだと思います。

根本さんは高校卒業後、大学進学を見送りつつ、リクルートで頭角を現わし大出世。しかし、「一からの勉強」の渇望と恩返しのための教員免許取得、さらには一般教養を深めて仕事を学問的に支えるという志を持ち、44歳で早稲田大学に進学を果たしました

仕事と学業を同時に進める中、初めの2年では年間最大の40単位を取得。3年目には30単位を獲得し、4年目は研究室で、仕事に関するテーマの研究に専念。社会人としての忙しさにもかかわらず、4年間で見事に卒業を成し遂げました。

その後、日本大学でも「学び」、今も毎日の中で「学び続ける」という姿勢を持ち続けています。リクルート時代から35年、人材業界での経験を活かして活躍中です。

「自己分析」を繰り返し、時とともに変化しつつも「自分らしさ」を大切にして生きている根本さんの姿勢。その姿勢に触れることで、私も「自分らしい生き方」の大切さを再認識した対談となりました。

そしてたくさんの元気もいただきました。
根本さん、ありがとうございます。
名古屋への出張の際は、ぜひ一緒に乾杯しましょう!

スバキリ一味の「中の人たち」は、プロジェクトオーナーさんたちの挑戦を応援することに誇りをやりがいを感じながら、今日もプロジェクト作成に励んでいます。

取材・執筆:鈴木亜里子