クラファン挫折からの再チャレンジ!「コメコノトリコ」が150万円集めた舞台裏とは?

プロジェクトオーナーさん

これまで1,000件以上のクラウドファンディングをプロデュースしてきたスバキリ一味。ひとつのプロジェクトに複数のメンバーが関わり、全員で目標金額の達成を目指して動きます。そのなかでのライターの役割は、プロジェクトオーナーさんのお話を直接じっくりと伺い、文章へと仕上げていくこと。そのため、終了したプロジェクトであっても、「その後、どうなったかな……?」と非常に気になります。

この「聞かせて!プロジェクトオーナーさん」は、そんなスバキリ一味のライターたちが持ち回りで、今まで担当したなかで特に印象的だったプロジェクトオーナーさんに対談をオファー。プロジェクト実施中や、その後の話を聞かせていただき、クラウドファンディングの実態を深掘りします。

第10回目のゲストは、大阪の十三にある米粉パンとシュークリームのお店「コメコノトリコ」をPRしている伊藤幸弘さんです。

美味しい米粉パンと米粉シュークリームが人気ではあるものの、生産者がオーナーの北井さんお一人しかいないパンとシュークリームのお店だった「コメコノトリコ」。お店を改装して設備を整え、後継者を育てるべくクラウドファンディングにチャレンジして、195人から150万円超の支援を集めることができました。

ライティング担当は、上原でした。

ダントツ美味しい!グルテンフリーの米粉パン・シュークリームを全国に広めたい!
子どもや家族と安心して食べられる”コメコノトリコ”!パンは小麦・卵・牛乳不使用。アレルギーが気になる方、健康のために小麦ナシの食生活をしている方に、心からオススメします。催事や卸売でも引っ張りだこで生産が追いつかないため、工房を拡大し、安全で美味しい米粉製品をより多くの方に食べてもらいたいです!

 

心から推せる米粉パンとの出会い

伊藤さんの立ち位置って、ちょっと珍しいケースというか。

クラウドファンディングをメインで進行していったのは伊藤さんですが、お店のオーナーは北井さんという方なんですよね。

伊藤さんは、PR担当や広報担当のような役割、にあたるのでしょうか?ビジネスパートナー、っていう感じですかね?

オーナーさんはどっちなんですか、とかよう聞かれるんですけど(笑)まぁ形式っていうと難しいですね。

僕らはもともと、自分たちや子どものために良い米粉パンを探してて。北井さんのお店と出会って、おいしくてめちゃくちゃ感動したんですよね。

お子さんもコメコノトリコのパンとシュークリームが大好きだそう

 

周りで僕たちみたいに美味しい米粉パンを探してる人がいてたんも知ってたので、そういう人に行き渡ったら良いなぁと思って。お手伝いをはじめましたね。

自分たちが心からおすすめできるものを扱ってる人が、商品を広げるのに苦労してたからお手伝いをはじめた、という経緯だったんですよね。

 

一度は挫折したクラファン

クラファンは伊藤さんの案なんですか?

基本的に僕が提案して、動いてたって感じですね。北井さんにも相談して「良いんじゃないですか」って言ってもらって。

僕ら(夫婦)は案は出すけど、決定するときはちゃんと一応共有して、OKだったらGOする、っていう順番でやっています。

なるほどなるほど。たしか、スバキリ一味に頼む前に、ご自身でもチャレンジしてらっしゃったんですよね?

そうです。自分たちで1回やってみようと思って2022年の末くらいにチャレンジしたんですけど、挫折しました(笑)

審査を通すところがよく分からなくて、大変で。ライティング能力も無いに等しかったので、折よくスバキリさんをご紹介いただいたこともあって「プロにお任せしよう」となりました。

プロジェクトが出来上がった時はどんなお気持ちでしたか?

さすがプロ集団やと思いましたね(笑)どう考えてもあのプロジェクトのクオリティには自分ではならんかったでしょうし。

それから、スタート前は「本当にご支援は集まるのか」、不安と期待でいっぱいでした。

ワクワクする気持ちと、うまくいくかな、という気持ちはどちらもありますよね。皆さんプロジェクトが始まる前は同じような気持ちになる方が多いと思います。

 

クラファン中はどうしてた?

伊藤さんはプロジェクトのスタート前から、入念な準備をしてくださっていましたよね。スタートダッシュも素晴らしかったのが印象的です。

SNS、人のつながり、使える手立ては全て使いましたね(笑)

基本はInstagramと、リアルで会ったときと。

随時、経過報告と宣伝をしてました。初速が良かったので周りの人らも「なんかすごい!」ってなってくれて。

「コメコノトリコ」のプロジェクトに限らないですが、公開前の段階で、しっかり周りの方にお願いしてまわっていらっしゃる方は、公開直後の盛り上がりを作れている印象です!

やってみてわかったのは「身内の人からの支援が多いのかな」ってことでした。最後に助けてくれたのも身内の人が多かったですね。

プロジェクトがたくさんの人に広がっていくには、身内の方にどれだけ最初の段階で応援してもらうかがポイントにはなりますね。

プロジェクト終了前にも、知り合いの方が助けてくださったんですね!

1回支援したけど、もうちょっとで目標達成やからってことでもう1回支援してくれた方もいらっしゃいましたね。

それだけ伊藤さんが頑張ってることや、熱量が周りの方に伝わっていたっていうことですよね。ずっと発信ができていたからこそだと思いますし、素晴らしいです!

クラファン中にしんどい時期とかってありましたか?

中間が伸びにくかったっていうのはありますね。

とはいえ、経験者の方から「クラファンは最初と最後やで」っていうことは聞いてたので、ある程度予想どおりというか。心づもりができてたので良かったです。

事前に「こういう所が大変だよ」とか聞いていると、対策ができたり、落ち込みづらかったりすると思います。

そういった意味ではやっぱり、クラファンにチャレンジする人はいろんな方の事例を知ってほしいですね。

 

クラファンを経て

お店の改装や、生産用の機材を購入して新しい人を招き入れる体制を整えたいという目標がおありだったと思うのですが、その後お店はどんなかんじですか?

おかげさまで内装も外装もガラッと変えて、機器も買うことができました。支援額は使い切ったし、足りなかったですが(笑)

それでも次のフェーズに行けそうやなと思います。

改装前のお店

改装後の外装

改装後の内装

イートインができるような内装にしたので、イートイン専用のメニューも作りたいし、後継者さんというか、北井さん以外にも生産ができるようにしていきたいですね。

米粉パンやシュークリームって、まだまだどこでも手に入るって感じじゃないですもんね。私も頂きましたが、本当に美味しかったしもっともっと多くの方に広まってほしいです!

新しく卸先として保育園が決まったり、良さは少しずつ広がっていってるので、生産量を増やせるように動いていきたいですね。

コメコノトリコのInstagramもクラファンを経てフォロワーが200人くらい増えましたし、徐々に広がってきてるかなと思います。

 

クラウドファンディングをやりたい人へ

もしも伊藤さんの周りの人が「クラファンやりたい!」っておっしゃったら、なんていうアドバイスをなさいますか?

そうですね。「一人でやると心折れるから(笑)プロに頼むのも一つの手やで」って言うと思います。

あとは、これはクラファンに限ったことではないかも知れないんですが、「どこの誰の何がきっかけでバズるか分からない」じゃないですか。

だから、色んな角度で発信して、可能性を上げるための動きが大事だな、と思います。

なるほど。確かにいつ、どういったキッカケでバズるかって誰にも分からないですよね。

そうですそうです。

僕の友人の話なんですが、(大阪の)心斎橋でランチだけスープカレー屋さんやってる子がいるんですよね。でも、8月は売上が微妙やって。

「お店畳んだほうが良いんかなぁ」みたいに言うから、「真面目にやってたら報われる瞬間が来るって」っていう話をしてたんですよ。

そしたら、ある日関西で3本の指に入るグルメのインフルエンサーの人がたまたま入ってきて。「美味しかったんで載せても良いですか〜」っていうから、友達もそういう人とは知らずに「いいですよ〜」ってゆったら、もう次の日から行列(笑)

手伝ってくれる人を募集するくらいになってました。

すごい!良いものを作り続けてきたからこそ、巡ってきたチャンスですよね。

モノさえ良ければ、そういうことが起こると思うんですよね。でも、最初の「知る」キッカケがないといけない。

クラファンも、クラファンだからこその層にリーチできるかなと思ったので、やってみてよかったです。蓋を開けてみたら、全くの新しい人っていうよりかは身内の方が多かったですけど。これまでは知ってるだけだった人が、「じゃあ買ってみようかな」ってなってくれた人もいましたし。

クラファンを通して、新しいファンが増えたのは間違いないですよね。でもそのためには、クラファンをただやるだけではなくて、継続して知ってもらうための努力をすることが大事なのだな、と改めて思いました。

リアルなエピソードを、ありがとうございました!

 

対談を終えて

伊藤さんはプロジェクト中を通して、色々と私達に相談を投げかけてくださり、良い意味で「積極的にスバキリ一味を頼る、活用する」スタンスでいらっしゃった方だと思います。

うまくいくプロジェクトのオーナーさんを見ていて思うのは、良いものを「知ってもらう」ための努力を主体的に積み重ねることができる方だな、ということです。

「支援額が伸びれば、僕たちも嬉しいし、スバキリさんも(成果報酬で)嬉しいシステムだから良いですよね」という話を対談中にもしていただきました。

スバキリ一味でプロジェクトをご依頼いただいた方には、毎週月曜日にあるスバキリ一味ファンクラブzoom交流会の機会や、PRの方法を相談するなど、積極的に一味を活用していただければと思います。

 

スバキリ一味の「中の人たち」は、プロジェクトオーナーさんたちの挑戦を応援することに誇りとやりがいを感じながら、今日もプロジェクト作成に励んでいます。

取材・執筆―上原佳奈(かなっぺ)