「偏愛」は世界を救う

メンバー対談

この『対談!スバキリ一味』では、チャレンジする人を応援するアーティスト集団「スバキリ一味」の“中の人たち”50人超のなかから、毎回テーマに合わせた2人で対談を繰り広げます。

第8回の今回は、ユニークなスバキリ一味メンバーのなかでも、特に「偏愛」にあふれるおふたりによる対談です。

リターン文入力担当の、なおさんこと森本直子さんの好きTOP3は「B’z・ももクロ・ココナッツ」。音楽が好きで、ライブで見ることに最大の価値を感じるのだそう。ココナッツは、日本初のココナッツ専門店ココウェルで働きはじめてからどんどん好きになったそうです。「推しは生きる糧!」と言い切ります。

”とりあえず迷ったらやる”という武器を手に入れて、自由の海を突き進む|スバキリ
森本さんは、日本初のココナッツ専門店ココウェルに勤務する、ココナティスト(ココナッツ専門家)だ。ココナッツにどっぷりはまり、催事の店頭で、SNSで、セミナーで、ココナッツについての様々な情報を発信している。ココウェルの催事での一コマ。イチ押しは有機プレミアムココナッツオイル!「一番最初は出荷業務の3か月短期バイトだった...

一方のフォロー担当、めぐっちさんこと菅めぐみさんは、アニメ作品・声優・映画・小説と、「好き」の範囲が広いのが特徴で、特に好きなのはアニメ『ヴァイオレットエヴァーガーデン』と、『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公・碇シンジ役の声優、緒方恵美さん。緒方さんが演じる役が見るいろいろな世界を一緒に味わってきたのだそう。

無理に上を見なくてもいい。足元にある幸せを伝えたい。|スバキリ
福岡在住のめぐっちこと菅めぐみさんは、スバキリ一味にフォロー担当として参加する。主な仕事は、クラウドファンディング公開が決まってからの、宣伝活動のサポートだ。クラウドファンディングは、公開前後に支援のお願いをする活動がプロジェクトオーナーにとっては大きな山場であり、不安や迷いを感じる方も多い。そんなときめぐっちさんは、...

さて、強いパワーを生み出す「偏愛」ですが、おふたりはどうやってその愛にたどり着き、どのように人生のなかで楽しんでらっしゃるのでしょうか?

自分の「好き」を発信するということ


聞き手:「偏愛」のパワーって、これからの時代に何か重要な役割がありそうな気がしていて、今日は私の独断と偏見で、偏愛の強そうなお二人の対談をセッティングさせていただきました。
ところで、どうしてお二人には「偏愛が強い」感じが漂っているのでしょう??

もともと私もなおさんも、わいざんサロンに入っていたんです。そこで好きなものを発信していこう、それで好きでつながる人を増やしていった方が人生楽しいよね、という環境にいたんですよね。それで、自分の好きなものを発信して、同じものが好きな人同士が集まって、というのを自然とやるようになっていました。

私はももクロつながりでわいざんのことを知って、オンラインサロンに入ったんです。とりあえず自分の好きを発信しよう、それでやりたいことがあるならまずはやってみよう!という場所でした。推し活だけじゃなくて、社会人だけど喫茶店をやりたい、みたいに、好きを突き詰めていろんなことをやろう!って。

私は、この人から発信を学んだら面白いかもしれないな、と思ってわいざんサロンに入りました。「好きなことを言い続けて、それを否定されても覆すな」みたいなところでメンタルを鍛えられましたね。

もともとは私だけが好きでいいや、みたいな感覚だったんだけど、わいざんサロンに入って、同じものが好きっていうだけで、年齢や住んでいる地域や環境が違うのに、こんなに盛り上がれるのか!って驚いたんですよね。

同じわいざんサロンでも、ももクロ好きはみんな熱量が高かったですね。私はそっちには入ってなくて、1対1でZoomで好きな作品を語り合ったりするのが多かったですね。同じコミュニティだけど、住み分けられるのがよかったですね。

わいざんサロンに入ってももクロ好きの仲間とライブに行くようになって、ひとりでこそっと行ってた頃とだいぶ変わりましたね。誰かと見に行くと、みんな違う視点での感動ポイントを分かち合える時間が、こんなにも楽しいのかと思いますね。

その様子を、語彙力はないのだけど、もう最高!楽しかった!好き!みたいにTwitterでつぶやくと、それを見た人が次行ってみたいってなるのが一番の快感(笑)

Twitterって、好きなことを発信していたら、同じようなものを好きな人が周りに集まってきますよね。好きなものをAIが選んで表示してくれるし。自分の目に入る世界を自分でちゃんと作ろうってことなのかもしれないですね。

偏愛を育てる

聞き手:では、どんな風に愛情を表現しているか、みたいなところをお話いただいてもいいですか?

ももクロで言うと分かりやすくて、メンバーそれぞれカラーがあるんですよ。私が好きな夏菜子ちゃんのカラーは赤だから、持ち物はできる限り赤を買う(笑)。ライブに行くときなんか、私真っ赤なんですよ。ライブで自分の推しカラーが多いとテンションあがるから。
だから、周りの人は、私と言えば赤、赤のもの見つけたけどいる?って声かけてくれたりするんです。もう染まっていきます。

あと、B’zの稲葉さんが好きだから、スマホを替えるときに、下四桁を0178(イナバ)にしたかったんです。取れなかったけど……。
ライブに行くと、車のナンバープレート、178ばっかりですよ。もう、あ~そうよね~って感じ(笑)。
全部こじつけたくなっちゃうんですよね。もう多分、体の一部、みたいな感じ?私を取り囲むものすべてをそうしたいんですよね。

私は好きな声優さんが出てるアニメをいろいろ見ますが、もう全部好きー!!ってなる。極端な話、犯人の役やってても好きだし、刑事の役やっててもかっこいいなって思います。自分の見てる小さな世界がどんどん広がっていく感じ―ドアがいっぱいある感じなんです。

例えば、ラップのアニメがきっかけになって、作り手の歌手の歌を聴きに行ったりとか……自分の「好き」がフックになって、また違う世界のドアがいっぱい開いて「好き」が増えていくんです。

気が付けば沼、ですよね(笑)。

そう、別に好きになるきっかけ、とかはないんです。

例えば、ももクロのなかでも夏菜子ちゃんが好きなのも、気が付けば。過去のライブ映像とか全部見てたら、気が付いたら夏菜子ちゃんを追っかけてたんです。う~ん、なんでしょう、この気持ちは。
ももクロ好きになったのも、女性アイドルが好きだからというわけではなくて、女性アイドルにハマるのは今回が初めてなんですよね。他のアイドルにも一切興味はない。

なんか自分が求めているものだったり、自分と似ていて共感している部分があったりするのかな?

偏愛はいいもの?困るもの?

聞き手:沼にハマって困ったことってありますか?

予定のない日は、朝からずっとアニメを24話まで見ちゃったりしますね。

わ~それはすごい!それは支障が出る(笑)

家族のご飯を作るのが面倒くさくなって、レトルトカレーになったり(笑)、リアルの世界に支障をきたすことがあるのは困った点ですね。グッズ買ったりはしないので、そういう損害はないかな。

う~ん、私はライブの費用がかさむくらいかな。でも、人生のスケジュールは、ライブが中心なので(笑)。コロナがあって、「次見よう」がもうないかもしれないと感じて、一本一本を大切に見ていきたいなと思うと、優先順位がどんどん上がっていってますね。
推しは生きる糧! ライブのチケットが取れたら「そこまでは生きる!がんばる!」っていう活力になるので。

自分はももクロが特別に好きってわけじゃなかったんだけど、周りの人たちがももクロ好きになって、みんなが集まったら、私のTwitterも、ももクロ祭りになって(笑)。自分が特に推してない人でも、自分の周りの人が推しているものって気になる。

自分で推してるものがあると、人の推しにも敏感になるというか。
ゆかっぺさんが深海好きじゃないですか。この間、テレビで深海魚ビジネスを立ち上げたっていう女の人を見かけて、そしたらゆかっぺさんの顔がすぐ浮かんでメッセージを送ったんですよね。
そこでぱっと友だちの顔が浮かんだ自分も嬉しいし、「連絡くれて嬉しい」って言ってくれたのも嬉しい。

わかる~!!ニヤニヤしちゃう。

大好きなものがある人に、その人の推しに関するものを「ご存じかもしれませんけど、こんなの見つけましたよ」って言ったときに「知らない!」って言われたらニヤっとして渡す、みたいなね。
これってすごくハッピーな循環じゃないですか?
今回の対談のトークテーマ『偏愛は世界を救う』って聞いたときに、そうそう!これが平和をもたらす推しの力!そう!世界平和ですよ!って、もうドハマりだなって思ってました。

偏愛と仕事はどうつながるか

聞き手:偏愛が仕事にいかせるといいな、なんて思ってしまうのですが……まずは、なおさんの「異色の推し」ココナッツについて教えてください。

ココナッツ専門店ココウェルで普通にパートとして働きはじめたんですが、気が付いたら「ココナッツめっちゃ好き!」ってなってたんです。

ももクロとかB’zは、別に私ひとりが楽しんでいれば別にいいんですが、ココナッツに関して言うと、みんなも巻き込みたいというのがあって。何て言ったら興味を持ってもらえるかなって、今試行錯誤の真っ最中なんです。
ただ南国への新婚旅行で飲むだけのやつじゃなくて、体にもいいっていうのは可能性も広がると思うから、時間をかけて知ってもらいたいなって。それこそ、生涯をかけられるならかけてもいいって思ってます。

お~かっこいい!!

そう言ってて、すぐ飽きるかもしれないけど(笑)

私は、手芸を楽しみたい人たちのためのコワーキングスペース「Kibiru」で働いているんですが、私も手芸が好きなので、自分が好きなことを人に伝えられる仕事がいいなって選びました。
もうひとつ、最近整骨院でも働きはじめたのですが、そっちは全然自分の「好き」と関係なくて。だから何か職場に「好きなもの」を発見していこう、「推し」を見つけよう、みたいな気持ちになってます。

役所の戸籍係で働いていたときも、死亡届を担当していたときは、「自分はデスノートを持っている死神だ。私が死亡と打てば死亡になる」って、好きなアニメに状況を重ね合わせて、働いていたんです。そうしたら、戸籍に関係する法律などの勉強が苦にならなくて。私、好きが絡むから動けるんです。

なるほど!私は食べるのが好きなので、スバキリ一味の仕事も、食品のプロジェクトだと特に頑張ってほしいなと思うんですよね。「おいしいからぜひ食べてほしい!みたいな文章とともに、その食品ができるまでの経緯などがたっぷり書かれていると、自分も食べたい!って思う。そうなると自然とリターン文にも熱が入るんですよ。

食べ物は特に、一味のメンバーで盛り上がって私も買いたい!ってなって広がっていくこと、ありますよね。一味に依頼するってことは、メンバー58人にどこよりも先に宣伝できるわけですもんね。

オーナーさんがめちゃくちゃ気合入ってて、いい打ち合わせだったら、ライターさんたちのディスコードへの書き込みも活発な気がする。そうなると、支援って伸びることが多いかも。
自分が好きで広めたいっていうのをどれだけアツく語れるかですよね……ほんとに好きで広めたいと思ってたら、勝手に相手に伝わって、熱量を植え付ける感じになるんですかね。

北海道の、子どもたちに花火大会をプレゼントしたいというプロジェクト。

コロナ禍で元気をなくしている子供たちに花火大会をプレゼントしたい!!
キャンプ、バーベキュー、肝試し大会…コロナ禍、子どもたちが楽しみにしていた夏の行事が中止に。北海道十勝地区、音更町の木野東小学校の生徒に思い出に残る花火大会をプレゼントしたい!と保護者が立ち上がりました!音更町の特産品のPRも兼ねた、みんなが笑顔になるプロジェクトです。

あのプロジェクトは、オーナーさんがすごく頑張ってるし、素直に頑張ってるし、この人は放っておけない、みたいな気持ちになったよね。

やっぱ人なんですかね。あの花火のプロジェクトは特に、自分じゃなくて、子どもたちのためにあそこまで動ける人はそりゃいい人に違いない(笑)。お金も労力もかけて、この子たちの笑顔が見たいって言われたら、われわれ世代は心をつかまれますよね。
最終的には、その人がそんなに売りたいんだったら応援しちゃうってなるんだろうな。

だから、フォロー担当としては、活動報告などでなるべく人柄を出しましょう、とか、どうしてやりたいのかを伝えていきましょう、ってプロジェクトオーナーさんに言いますね。だから直接オーナーさんとお話されているライターさんから、そういう人柄に関する情報を伝えてもらったらすごくありがたい。

一味内にも推し!?

聞き手:「推したい」というパワーをクラウドファンディングにつなげて、みんながハッピーになる世界を作っていけるといいですよねぇ!

前に、ちびぃが間違ってクライアントから言われた日にちより前に公開しちゃったことがあったでしょ?

からあげ専門店が作る『魔法のたれ』で肉や野菜をさらにおいしくワンランク上の食卓を
絶品あっさり塩からあげ専門店が作る、秘伝の自家製たれ『魔法のたれ』を全国に広めたい!にんにくと生姜の風味を生かし、唐揚げに合うように美味しさを追求し作り上げたこだわりの逸品です。からあげにはもちろん、サラダ、目玉焼き、しゃぶしゃぶ、ハンバーグなどのお肉料理や野菜とも相性抜群です。

あのとき、ちびぃは変に隠さずに、私が間違えました、助けると思って支援してもらえませんか?ってみんなにお願いしたんですよね。そんな姿がかっこいいな、自分にはできないなって思って応援したんだよね。

私も気づいて慌てて買ったんですけど、あのときの支援者のいちばんが小西さんだったんですよ!なんかピンチにシュルッと駆けつけて、かっこいい!て感じだった!

確かに(笑)。ディレクターさんとかライターさんとか、一味内でも「推したい」って思う人たちがいるっていいですよね。「週刊スバキリ一味」で、人柄が分かったり共通点が見つかると、メンバー間のつながりができて、一味内でも応援しあえる状態になる。人って共通点を見つけると嬉しくなるんですかね。

そうそう!好きがものが似てると、じゃああれも好き?とか話が広がっていくよね。

全く好きじゃなかったものでも、推しが一緒の人が勧めるなら見てみようとか思う。

そうそう、あと好きなものを発信するようになって変わったのは、「あの人のファンってダメだよね」って言われたくないっていう気持ちがわいてきて、自分の人柄磨きに精を出すようになりました(笑)。推しのアーティストに迷惑かけちゃいけない、みたいな気分で。

それ、声優さん界隈でもめっちゃありますね。自分の推しを褒めるのに、他の人を下げない、というマナーは大事。その下げた人も誰かの推しなのだから。そういう発信を自分が普段してないか、ときどき振り返ったりします。ね。

聞き手:ファンの名に恥じないように、と自分を磨くというのはとてもいい循環ですね!偏愛するものをきっかけに、人とのつながりが広がったり、新たな世界が広がっていくというのもすばらしいし、熱が低めの私は「偏愛」にとても憧れを抱きました。

社会としても、いろんな「偏愛」で経済が回ったり、いいことの連鎖がおきていそうですね。偏愛、奥深い!

またぜひ偏愛談義を聞かせていただきたいです。ありがとうございました!

まとめ

・「好き」を発信し続ければ、自分の周りの環境を心地よいものにできる

・ひとつの「好き」から別の世界のドアが開くことがある

自分に偏愛するものがあれば、人の偏愛にも敏感になり、そこからハッピーな循環が始まる

・「好き」の熱を仕事にも活かすことができたら最高!そのために仕事の中に「推し」を見つけられると楽しくなる

偏愛=熱につながり、その熱は人に伝播し、応援したくなる。この図式はクラウドファンディングに有効では?

イラスト―さちよ

「自分にもやりたいことをさせてあげよう」 思い込みを捨てたら夢が動き出した!|スバキリ
写真はお友達が作ってくれた「さっちゃん人形」「私、すごく人見知りなんです……」はにかみながらそう話すさちよさんは、おだやかでゆったりとした雰囲気をまとっている。控え目で、おとなしい人。スバキリ一味で出会わなければ、そんな風にさちよさんのことを「誤解」してしまったかもしれない。いや、誤解というのは少し違う。おっとりした部...

取材・執筆―石原智子

仕事のカタチは変わっても、「柱」は変わらない! 〜変化を味方に、自然体で今を生きる〜|スバキリ
「別に『頑張って決断した!』ってわけじゃないんです。なんか自然の流れで決まったかんじ」穏やかな表情、けれど真っ直ぐなまなざしでこう口にした石原さんは、取材した今年1月、「変化の只中」にあった。これまで8年間続けてきた「整理収納アドバイザー」の仕事を終了し、新たな方向へと舵を切ろうとしていたのだ。「その時できること」で創...