仕事のカタチは変わっても、「柱」は変わらない! 〜変化を味方に、自然体で今を生きる〜

メンバー紹介

「別に『頑張って決断した! 』ってわけじゃないんです。なんか自然の流れで決まったかんじ」

穏やかな表情、けれど真っ直ぐなまなざしでこう口にした石原さんは、取材した今年1月、「変化の只中」にあった。

これまで8年間続けてきた「整理収納アドバイザー」の仕事を終了し、新たな方向へと舵を切ろうとしていたのだ。

「その時できること」で創った2つの肩書き

石原智子さんはこの8年間、フリーランスとして、「整理収納アドバイザー」と「ライター」という2つの肩書きを持って仕事をしてきた。

それまで石原さんの仕事の7割を占めていたのが、個人宅の「整理収納レッスン」。2〜3ヶ月間、月に1回お客様のご自宅に伺い、それぞれに合った収納方法を提案しながら一緒に片付けの作業をしていくサービスだ。

整理収納アドバイザー時代のHP画像。映える収納より、お客様の生活に寄り添った方法を提案していた。

そして、残りの3割は、「ライター」としての取材・執筆。工務店関連の記事や地域のフリーペーパーを担当してきた。その他、プロフィール作成や、人生の節目にこれまでの想いを文章にする独自のサービスも展開する。

「それぞれ別々の経緯で始めた仕事だけど、やっているうちに徐々に『似てるな』って思うようになりました。片付けの仕事もライターも、どちらもまずはお相手の話をじっくり聞く。その後に内容を吟味・整理して方向性を考え、私なりの『提案』としてまとめます。伝える相手や内容は異なるけれど、この流れは同じなんです」

写真のキャラクターは「ぺたこさん」。友人のイラストレーターにデザインしてもらった、石原さんの大切な相棒。

「整理収納アドバイザー」と「ライター」。石原さんにとって、どちらも自分が好きなこと、得意なことを生かせる仕事だったそう。けれど、元々経験があったわけではなく、結婚を機に栃木県に引っ越してきてから始めたものだ。その時の関心やできることから、新たに生み出した仕事であり、肩書きだった。

オンライン取材で世界が広がって

この2つの仕事のバランスを変えたのが、「コロナ禍」と「クラウドファンディング」だ。

コロナの流行が半年以上続き、お客様のご自宅で行う片付けの仕事は大幅に減っていた。そんな時、以前別の仕事で知り合った小西さんから依頼を受けた。クラウドファンディングのライターが足りないから、是非手伝って欲しいという。最初は「人助け」くらいの気持ちだったが、その面白さに「どハマり」していくことになる。

「これまでライターとして取材してきたのは、ほとんどが『栃木県内』でした。それがクラウドファンディングのライティングを始めて、zoom取材で一気にぐんと世界が広がって! 私が全然知らなかった分野で、たくさんの面白いチャレンジが行われていることに驚きました。自分とは『遠く離れた世界』だと思っていた映画やアートに関わる人への取材もあって、楽しくてたまらなかったんです」

「なら国際映画祭」のクラウドファンディングのライティングも担当した。

気がつけば、週に2回もクラウドファンディングの取材・執筆を行っていた。これに、定期で行っていた記事の取材と執筆が重なると、なかなかのハードスケジュール。さらに、「スバキリ一味」の新しいライターの教育係も担当するようになる。片付けとライター業の比率は逆転し、どっぷり「ライティング漬け」になっていった。

ライティングが楽しくて仕方ない! 整理収納アドバイザーからの卒業

チャレンジする人を取材し、たくさんの刺激を受けるうちに、自分自身の仕事に対する想いにも変化が生まれた。日に日にライティングの面白さが増し、いつも「今書いている内容」と「これから取材すること」で頭がいっぱいに。

石原さんが本格的にライターとして活動をはじめた栃木のフリーペーパー「TANOKURA」。12号から参加し、最新号は36号!

片付けの仕事でお客様の自宅に伺うのは、まだしばらく難しそう。かといって、オンライン相談や講師業はいまいち気乗りしない……。そんな日常が続くなか、試しに、「自分よりも適任の人がいるんじゃないか」と感じていた整理収納の仕事を一つ辞めてみた。これが意外にもスムーズに進み、急速に気持ちが傾いたという。

「これまでは、『せっかく仕事を依頼してくれたのだから』『始めたからには長く続けなきゃ』と考えてきました。でも、この先の“展望”を描けないのに続けていくのは、なんか違うじゃないかな……という気持ちが強くなって。

片付けの仕事は大好きだったけれど、状況が変わるなかで、もっとライターの仕事に時間をかけたい! という気持ちが大きくなったのかなと思います」

栃木のクリエーターやプロジェクトなどを応援するフリーペーパー「PUSH」でも執筆。アーティストの取材などが多く、刺激をたくさんもらっている。

決めたら早かった、という石原さん。新規のお客様の受付を停止して、ブログでもはっきりと「卒業」を宣言。夫にも、「随分あっさりやめちゃうね」と言われたのだとか(笑)

実は、過去にも似たようなことがあった。結婚でそれまで勤めていた会社を退職した時のことだ。大手企業で、結婚・出産へのサポートが整っていたこともあり、結婚で仕事を辞める女性はとても少なかった。

「寿退社なんて8年ぶり」「辞めちゃうなんてもったいない」と周りから言われたものの、「今無理して続けなくても、仕事はどこでもできる」という気持ちで、それほど迷うことなく退職した。

卒業と共に屋号を「ココロツムグ研究所 かげいろ」に変更。現在は上記2つのメニューを中心に展開している。

自分のなかで「答え」が出るとすっきり手放して、軽い足取りで前へ進んでいく石原さん。その潔さと柔軟さがまぶしい。

「新しい何か」は、既に自分のなかにあった

片付けの仕事を卒業し、空いた部分にプラスしていける「何か」をゆっくり探していこうと考えていた石原さんだったが、すぐに「これから力をいれたい分野」が見つかった。

クラウドファンディングをきっかけに知った、「SPトランプ」。トランプのようなカードを使って、人の性格や特徴、強み、弱み、成長課題などを顕在化させ、「心を育てる」ためのツールだ。

子供からお年寄り、すべての世代に伝えたい!自己肯定感を上げる「SPトランプ」
「自分の気持ちがわからない」「自分が本当にやりたいことって、何?」もし、そうお悩みでしたら私たちの「SPトランプ」を試してみませんか?ご自身のことを知ることは、自己肯定感を上げ、心の安定につながります。そのことを少しでも多くの方に気がついてほしい。そんな思いから、このプロジェクトを立ち上げました!

これに興味を持って講座を受けていくうちに、新しく始めたいメニューが浮かんできたという。

これまでライターや整理収納アドバイザーとして取り組んできた、人の心の奥底に眠っている“何か”を引き出し、それを組み立て直して知らせること。そこにカウンセリング的な部分を強化することで、しゃべっている本人も気づいていなかった「心の中の核心」を掘り出し、文章でアウトプットできるメニューを模索中だ。

現在、SPカードを使ったセッションをモニターの方に実施中。セッション後、「あなたに贈る一言メッセージ」をプレゼントしている。

そしてこのメニューは、石原さんの「大学時代の研究」にもつながっているという。当時から心理学や「人の心と行動」に興味があり、卒論のテーマは『コミュニケーションと他者理解』だった。

「いろいろやったけど、結局ここに戻ってきたのか、という気がしています。自分の関心って、そんなに簡単に変わらないものですね。整理収納アドバイザーもライターも、これからやろうとしている新メニューも、『人の心の深い部分を知って、その人に知らせることで役に立ちたい』という真ん中に通っている柱は同じ。

全部つながっていたんですよね。今は新メニューのための準備としてモニター募集などを進めていますが、毎日とても充実しています」

手放して出合った「ずっと進みたかった道」

本当にこれでいいのかと違和感を持った時、進む道に迷った時、これまでの仕事や役割を手放して新しい方向へ進むのは、ものすごく勇気のいることだ。

自分の気持ちに変化を感じていても、これまでの実績や経験をそう簡単には手放せない。何とか折り合いをつけて続けられないものかと、ついつい考えてしまう……。

でも、しっかりと自分自身を見つめ、「今本当に大切にしたいこと」と真摯に向き合っていれば、「手放す」ことは「新しい何か」への入り口になる。そしてそれは、「自分が一番進みたかった道」へとつながっていく。

小西さんにもいろいろと相談し、新しい道を模索・展開している。

常に自然体でありながら、環境や自分の気持ちの変化に真っ直ぐ向き合い、しなやかに受け止めてステップアップする石原さん。

その軽やかで気負わない姿を見ていると、私ももっと肩の力を抜いて今の自分と向き合ってみたい、その先にある「ワクワクする何か」に出合ってみたい。そんな気持ちが湧き上がってくる。


【その後の石原さんの活動】
インタビューは1月に実施したため、ここで、その後の石原さんの活動をご紹介します。

最近石原さんは、新しいサービス「『月刊あなたの会社』作成」というメニューをリリースしました!

早速HPにも追加されています!

「月刊あなたの会社」は、会社やチームメンバーの人生を「物語」として共有し、チームビルディングとして役立てていただくためのサービス

実はこのメニュー、「週刊スバキリ一味」から発展したものなんです。スバキリ一味のチーム内でも、「オンラインで仕事をしているから頻繁に会うことは叶わないけれど、読むと一気に距離が縮まる「毎週楽しみ」などの声が聞かれ、チームメンバーの様々な面を知ることで、実際に仕事がやりやすくなったという人もいます。

関心のある方、うちの会社でも取り入れてみたい、という方は、上記HPからお問い合わせください!

取材・執筆 川崎ちづる