病気になったからこそ使命に出会えた! 「歩くパワースポット」までの道のり

メンバー紹介

スバキリ一味には、たった一組だけ、「夫婦」で参加しているメンバーがいる。
その夫婦のお一人が、今回ご紹介する「くりたまさん」こと、栗林良輔さんだ。

妻は、現在ディレクターとして活躍するくりまゆ(栗林麻由子)さん。夫婦でバリバリ、スバキリ一味を盛り上げてくれている。

最初に定例会でくりたまさんが紹介された時、「えっ、くりまゆさんの夫なの?! 」と、正直とても驚いた。けれど、ご本人たちは至って自然体。全然照れたりせず、普通に会議に参加していた。少なくとも私にはそう見えた……。

さらに言えば、画面の中のくりたまさんは、何事にも動じなそうな笑顔で微笑んでいて、「ただ者ではない」オーラがぷんぷん漂っていた(笑)

そして、その時の私の“勘”は間違っていなかったと、今回お話を聞いて再確認した。

年間のべ1,000社以上の神社仏閣に参拝

くりたまさんは、スーツケースや旅行バッグなどを製造・卸売している会社で、情報システム部のマネージャーとして働いている。元々は関西で勤務していたが、2019年から東京本社に異動となり、現在は単身赴任中。

スバキリ一味でのライターの仕事は、平日夜にこなし、2週間に1回は家族の暮らす兵庫県芦屋市に帰省。なかなか忙しい生活を送っている。

仕事で受けた取材動画。難しすぎて内容は全然わからない、と言われる(笑)

そんな中でも、趣味の「神社仏閣巡り」に費やす時間は守り抜き、年間のべ1,000社以上の神社や寺院に参拝。

「1,000社って……」と面食らっていると、くりたまさんは笑顔で解説してくれた。

「毎日、家の近くにある2社にお参りしてから会社へ向かっているんです。そして、会社の近くの1社へ参拝してから、仕事をして帰宅。これがルーティーンになっています。週末も、家族と過ごす時間以外はほぼ神社巡りに行っているので、1年間でのべ1,000社は余裕ですね! 」

毎朝参拝している王子稲荷神社の狛狐さん。前掛けはくりたまさんが奉納したもの。

もはや「趣味」の範疇を超えている……。そう思ったら、やはり、単なる「趣味」ではなかった。

病気とともに生きたつらい2年間

そもそも、神社仏閣に通うようになったのは、くりたまさんが患った「病気」がきっかけだった。

2016年、あまりの激務と人間関係の悪化によりうつ病を発症。残業時間が100時間を超える月が何ヵ月も続いて、体力的にも精神的にも参ってしまったという。それらに加えて、上司からのパワハラ……。2カ月間、休職することになった。

仕事を休み、心療内科に通って薬を処方してもらいはしたが、たった2カ月で快方に向かうはずもない。しかも、休職後はパワハラ上司のいる部署にそのまま復帰。その後2年間は苦しい状態が続き、文字通り「騙し騙し」働いていたという。

「うつ病って、経験しないとその症状を理解するのは難しいと思うんですが、例えていうなら、『車のフロントガラスに泥がベッタリついた状態で、前後左右10㎝くらいしか視界がないなかで運転している』ような感覚なんです。

前に何があるのか、道幅がどれくらいなのか、周りの状態は何も見えない。それなのに車を走らせなければいけない。とにかく不安で仕方がない……。出口のない真っ暗なトンネルを、ただひたすら這いずり回っている、そんな気持ちでした」

その状態で2年間も……。その時のくりたまさんのつらさ、そして、もし自分だったらと考えると、絶望的な気持ちになる。

しかし、「あること」がきっかけで、なんと突然、病気が「完治」してしまったのだ。

厄祓いからはじまった奇跡

きっかけは、地元の神社・芦屋神社で偶然受けた「厄祓い」

「ご祈祷を受けている間、ずっと号泣していて。自分でもなぜこんなに泣いているのか全然わからなかったんですが、とにかく涙が止まりませんでした。でも、ご祈祷が終わった後、すごくスッキリした気持ちになったんです。

それで、直感的に『きっと神社仏閣に何かあるぞ!』 と思って参拝を続けました。 神戸市の須磨寺の護摩祈祷(火を焚いて行うご祈祷)を受けて号泣し、奈良県にある「最古の神社」と言われる大神(おおみわ)神社へ参拝し、ご神体である三輪山へも登拝しました。

これが2週間くらいの期間だったのですが、三輪山の山頂で神様にお話ししたときに、「治った」と感じたことを、今でもはっきり覚えています。ご祈祷を受けはじめてから、視界を覆っていた泥がバサッと取れて、 一気に世界がクリアになった感覚でした」

職場の環境、パワハラ上司など、外的要因は何一つ変わっていないのに、すっかり元気になったというから、本当に不思議だ。いや、にわかには信じられないという方もいるかもしれない。実際私も、くりたまさんに何度も「2週間で突然完治したのですか? 」と確認せずにはいられなかった。

しかし、この不思議にはまだまだ続きがある。
「完治」から2カ月後に、なんとパワハラ上司がグループ会社へ異動となり、そのポジションに、くりたまさんが昇格したというのだ。

病気で悩んでいる人のために……ブログを開始

神社仏閣に通い始めてからの奇跡を、くりたまさんはこう自己分析する。

「私の場合、いわゆる『憑依(ひょうい)体質』だったのではないかと思っています。人の気持ちを感じ取りすぎてしまったり、共感しすぎてしまったりするタイプです。

うつ病を患った時も、人からの悪念や生霊(いきりょう)に「憑かれ」てしまっていたんだと思うんです。それで、私自身のメンタルも「疲れて」しまった。

神社仏閣へ頻繁に通うと、そうしたものが払い清められるので元気になれた。今も毎日参拝しているから、元気な状態を維持できているのだと思います」

神社仏閣だけでなく、日本全国の霊山(神様がいる山)にも年間20回ほど登っている。

その後調べたところ、こうした「憑依体質」が原因で病気になってしまう人が一定数いることを知ったくりたまさん。自分のように、病気で苦しむ人の何らかのヒントになれば、とブログの執筆も開始した。

くりたまのブログ
くりたまさんのブログです。最近の記事は「宮島彌山本坊大聖院(画像あり)」です。

くりたまさんが病気だった頃、自分で情報収集すると、圧倒的にネガティブな内容が多かった。その代表格が、完全に治ることはなく、「寛解(かんかい)」という症状が出なくなった人の割合が3割程度で、残りの人は治ることなく、再発を繰り返す……というもの。自分も一生治らないのか……と、不安に拍車がかかった。

「うつ病から復活して元気になって、すごく楽しそうに生きてる! って人の情報は、全然見つけられなかったんです。だから、完治している人もいる、しかも神社仏閣巡りという誰でも手軽にできる手段でよくなることもある、って私が発信することは、意味があるのかなと思って。

今病気で悩んでいる人、つらい思いをしている人の、何らかの役に立てたらいいなと思って、ブログを書いています」

ブログは、訪ねた神社仏閣や霊山の様子を中心に綴っている。写真は三峯神社。

2019年からほぼ毎日更新しているブログは、今や1日の平均アクセス1,500越え。直接メッセージが届いて、病気について相談されることも多いそう。

くりたまさんの経験が、多くの人の支え、そして希望になっていることがよくわかる。

ブログから「くりたまツアーズ」へ

実はくりたまさん、ブログで繋がった人たちと一緒に神社仏閣巡りをする会「くりたまツアーズ」を、年間約30回開催している。

ツアーに参加した方との記念写真。

信じる、信じないはお任せしますが、と前置きして、くりたまさんはこんなことを話してくれた。

「毎日神社仏閣に通っていたら、神様や仏様からメッセージを受け取ることができるようになりました。私としては、『神様や仏様とコミュニケーションしている』といった感覚です。それらのメッセージを、ツアーに参加してくださる方にお伝えしながら、一緒に参拝しています」

なんとくりたまさん、頼まれれば「守護霊を鑑定する」こともしているという。依頼があった方の氏神(うじがみ)様(その土地を守る神様)に参拝して、その方の守護霊様が誰なのかを直接聞きに行くそうだ。

「私が神様や仏様のメッセージをお伝えすることで、病気で苦しむ人の心が少しでも軽くなったり、生きる希望が持てるようになったりすればうれしいと思って、その一心でいろいろな活動をしていますね。

なんせ、毎日参拝して清められているんで、元気一杯なんですよ(笑) 日本中をぴょんぴょん飛び回っていますが、全然疲れません! 」

そう笑うくりたまさんから、溢れ出ているパワーが見えるような気がした。

きっかけは「神社仏閣」のため。スバキリ一味への参加

単身赴任に神社仏閣巡り、ブログ執筆、くりたまツアーズ……ただでさえ忙しいくりたまさんだが、さらにスバキリ一味にも参加しようと思ったきっかけは何だったのだろうか。

「元々は、神社仏閣にクラウドファンディングを紹介できないかと思っていたんですよね。重要な文化財などを保存していくのには、やはり費用がかかります。

だから、『こういう手法があって、資金を集めることができますよ』って住職さんや神職さんに知ってもらって、そのお金で建物や文化財が次の世代につながっていけばいいなぁ、と考えていました」

神社仏閣に営業するためには、自分もクラウドファンディングの仕組みや進め方をある程度知っていないといけない。そう思っていた矢先、スバキリ一味がメンバーを募集していることを知る。いい機会だから入って勉強してみよう! と軽い(?)気持ちで参加したという(笑)

そのわりには、今月から営業としても活動していて、どっぷりとハマっているように見える。

しかし、くりたまさんご本人は「いやーなんか面白そうなんで」と余裕そう。自分の使命を全うしつつ、次々新しいことに取り組むくりたまさんは、まさに「軽やか」そのものだ。

自立・信頼し合う夫婦関係

ここまで読んだ方が密かに気にしていること、それは、「くりまゆさんはどう思っているのだろう」ではないか? もちろん私も御多分にもれず気になって仕方なく(笑)、ダイレクトに質問してみた。

すると、「それ、みんなに聞かれるんですよね〜。家族をほったらかしにしているんじゃないか、という心配の声をよくいただきます」と笑いながら答えてくれたくりたまさん。

あまりにもよく質問(心配)されるので、一度くりまゆさんに向けて、くりたまさんがアンケートをしてみたという。その回答が下記だ。

この結果を踏まえると、現在の活動は、「くりまゆさん公認」ということになる(笑)

「いい意味で、お互い干渉しないというか、自由にやっている感じですね。それぞれ好きなことを追いかけて、その上で機嫌よく暮らせればいい、と考えているところはあるかもしれないです」

お互い精神的に自立していることはもちろん、根本部分で認め合っているからこそ、円満な関係が続いているのだろう。病気の時も、アドバイスなどをすることはなく、「いい意味で放っておいてくれたのがとてもありがたかった」とくりたまさんは言う。簡単なようで、相手を信頼していなければできない対応だと思う。

ご家族でティータイムを過ごす素敵な一枚♪

大学時代の同級生で、社会人になってから交際・結婚したというお二人。ミーハー心を抑えきれず、「結婚の決め手は何だったのですか」と尋ねてみると、またしても驚きの答えが!

「これは、くりまゆさんにも言ってないんですが、まだ学生時代、お互いに別の人と付き合っていた時、夢を見たことがあったんです。その夢では、くりまゆさんが妊娠していて、僕が甲斐甲斐しくくりまゆさんのお世話をしているんですよ(笑) その当時は起きた後、『あれ?相手が違う……。変な夢だな』くらいにしか思っていませんでしたが、今“決め手”と言われて、急にあの夢思い出しました」

まさに運命の相手! 神社仏閣巡りをする前から、くりたまさんの「勘」は冴えわたっていたようだ。

「使命」を生きる

神社仏閣巡りで人生が激変したくりたまさん。自身の過去の出来事への捉え方も、大きく変わった。

「今となっては、私がうつ病になったのは、『自分の使命』に気づくためだったと思っています。

神社仏閣巡りでうつ病が治った経験をしているからこそ、自分の言葉に説得力が出ると思うんです。

神社仏閣に目覚めるためにパワハラ上司がいてくれたと思っていますし、あの暗くてつらい2年間のおかげで神仏の素晴らしさに気がつけた。そして今、自分の力を他の人のために使うことができるようになったと思っています」

日光男体山から見た中禅寺湖

不思議なことに、くりたまさんへのインタビューを終えた後、私自身も、なんだかとてもスッキリとした清々しい気持ちになっていた。

個人的な話で恐縮だが、「大事な原稿が一向に進まない」という類の悩みをここ1カ月程抱え続け、日々悶々と過ごしていたのだ。しかし、インタビュー後は「それはそれ」と横に置いておくことができるようになった。

後日、くりたまさんにこのことを伝えると、「歩くパワースポットと呼ばれていますので」というお返事をいただいた。

パワースポットに癒されたい人は、是非一度くりたまさんに連絡してみることをおすすめする(笑)

取材・執筆 川崎ちづる